公的統計の体系と見方 価格:¥ 3,780(税込) 発売日:2008-08 |
総務省統計局の広報活動について紹介しましたが、その結果として得られる公的統計について整理している本です。
リサーチでは、一次データだけでなく、公的データを扱うことも少なくないと思います。しかし、そのデータがどのようなデータかを本当に理解して利用しているでしょうか?
帯の紹介文が簡潔なので、まずそちらを紹介します。
統計を利用するときには、理解しておかなくてはいけないことがある。
わが国の公的統計がどのように作られているか、それをどのように利用すればよいのか。統計を探すときやそれを利用するときに必要となる基礎的な、また全般的な知識、考え方を学習してゆく。
で、もくじはこちら。
第Ⅰ部 公的統計の概要
第1章 統計制度
第2章 統計調査の仕組
第3章 統計の利用第Ⅱ部 分野別統計
第4章 人口統計
第5章 労働・雇用統計
第6章 家計統計
第7章 生活関連統計
第8章 事業所・企業統計
第9章 産業統計
第10章 経済の構造・動向統計
第11章 物価指数
第12章 その他の統計
第Ⅰ部は、いわゆる統計についての概説で、調査手法とか標本調査についてなど、あまり新味はないかもしれません。
重要なのは第Ⅱ部です。それぞれの分野について、公的統計がどういう体系をなし、どのように見るべきか、そして個別の調査についての概要、調査項目、結果の見方について整理されています。
たとえば、市区町村別の人口を調べる時には、どの統計をみるのか。
「国勢調査」を思い浮かべる人と、「住民基本台帳人口要覧」を思い浮かべる人がいると思います。では、この2つの調査で、気をつけないといけないことは何か?(「国勢調査」が5年おきにしか実施されていないというのは、もちろんですが・・・。)
「住民基本台帳人口要覧」は、その名の通り「住民基本台帳」を元にした統計ですので、その点の制約があります。つまり、日本国民でない限り、そして住民票移動の届けをしない限り、データには反映されないのです。たとえば、単身赴任中の方や学生などが実家に住民票を置いたままだと、その人は実家にカウントされているということになります。この点で、調査時点での居住地でカウントされる「国勢調査」とは異なるデータとなる可能性があるわけです。
この本で、実際に「国勢調査」と「住民基本台帳人口要覧」のデータを比べているのですが、20歳前後の人口においてかなりの差があることがわかります(たとえば20~24歳人口を、国勢調査人口に対する住民基本台帳人口の差率でみると、東京都は-7.24%に対し、和歌山県では+13.93%となっています~本書P127より)
このような基本的なデータの見方に対する知見はもちろん、よくある「○○率」という数字の計算方法も必要に応じて記されていますので、この点も便利です。
これまで、公的統計を利用されてきた人はもちろん、これまであまり公的統計を利用してこなかった方も、ぜひ本書に目を通してみてください。公的データだけでも、結構いろいろなデータがあるということがわかると思いますし、もしかしたら、マーケットを見る新たな視点が得られるかもしれません。
PS.
参考までに、公的統計を参照するのに便利なHPを紹介しておきます。
まず、総務省統計局のサイトは、外すことができません↓。
(「e-Stat」のリンク集で、各省庁の主要統計へのリンクを探せます。各省庁のHPで探すのは、結構たいへんなので、これは便利です。)
民間企業では、ここが便利です↓。主要な統計の月次データが見られます。
(ただし、データダウンロードにはメンバー登録が必要です)
個人の方が、運営されているようなのですが、かなり参考になります↓。
年会費や費用がそれなりにかかりますが、公的統計ばかりでなく、オープンデータも含めたデータの検索は、こちら↓。アバウトに「こんなデータは?」でも、探し当ててくれます。