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「マーケティングリサーチの現状」by JMA 2013

2年に一度行われるJMA(日本マーケティング協会)の「マーケティングリサーチの現状(今回は2012年度調査)」調査、先日(2013/4/18)報告会が行われたので参加してきました。
今回は、パネルディスカッションでの日本コカコーラさんのプレゼンが秀逸、このプレゼンを聞けただけで元が取れたような気分になりました。マーケティングリサーチの現状やこれからについて、的確に指摘いただいたように思います。

さて、内容ですが、個人的に調査結果から感じた課題は4年前に紹介した内容と大きく変わっていない、というのが正直な印象です。ですが、その深度は確実に深まっている気がします。
いくつか、代表的なデータを紹介したいと思います。
報告書の目次は、以下のようになっています。

1.MRの実施状況とMR担当部門に対する役割・期待
2.「定量調査」の実施状況と課題
3.「定性調査」の実施状況と課題
4.外部機関の利用状況と受託業務内容・期待・満足
5.「ROI」や海外リサーチについて
6.MR情報の意思決定寄与度と活用を高めていく施策

 

◆マーケティング活動の情報ソース:MA (報告書P19)

データの取り方が前回までと異なっているので時系列での比較はできないのですが、狭義でのマーケティングリサーチが情報ソースの one of them であることが、よくわかる結果です。
当たり前の結果でもあるのですが、状況の確認をすることは必要です。多様化する情報をどう編集するかが、新たな課題だとして見えてきます。(各課題のTOP3を紹介。他のソースも含めて確認してもらう方がいいかも)

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◆外部調査機関の選択重視点・不満点:MA (報告書P42)

これは前回のエントリーでもメインに取り上げたものです。結論を言ってしまうと、分析や提言・インサイトについての重視は、やはり低下しているということです。
前回から回答の取り方を変えているので長期のトレンドがわからなくなっていますが、低落傾向と見て間違いないように思います。(上位項目のみピックアップ)

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◆外部調査機関への委託を含むプロセスの主担当:SA (報告書P46)

こちらも前回エントリーで取り上げた内容。質問や選択肢が変わっているので、単純比較はできません。(質問項目が細かくなったので、%のベースが実施ベースになってます)
それでも、調査設計や調査票作成、結果の分析がこの程度でいいのだろうかという状況は相変わらず。一方で、ワークショップの実施率が結構高いという印象を持ちました(ワークショップの内容は不明ですが)。

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◆新たなリサーチ手法への実施、興味・関心:SA (報告書P51)

これは今回の新しい項目で、新手法への実施や関心度合いについて。
比較対象がないので、高いと見るか、低いと見るかの判断はお任せします。
(また、「プロモーション・リサーチ」については、言葉の捉えられ方に問題がありそうなので参考とした方がいいと思います)

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◆自由回答

いつものように、自由回答は考えさせられるものが多いです。
そして、分析者のまとめが的を射ているように思うので、紹介しておきます。
(こちらは、発表資料からで、報告書にはありません)

マーケティングリサーチのサービスと、リサーチユーザーのニーズに乖離があるのではないか? それは・・・

・統計理論に則った実査がますます不可能になっている
→代替え手法の開発を!

・データが速く、安く、大量に集まるのは望ましいが
→実際の行動に直結するような手法の開発を!
→ノイズの「除去力」と、リアル感を減衰させない「編集力」を!

・ネットリサーチの普及もありリサーチの装置化が進行している
→「マーケター」と「装置」の間に入る「人材」を!

 

とくに気になったのは以上なのですが、ここでは課題点のみをピックアップしています。他のデータでは、リサーチへの期待が垣間みえる項目や、海外調査増などの傾向も見て取れます。
これら他のデータや自由回答にも考えさせらるものが多いので、ぜひ報告書を入手して、ご自身で確認してみてください。
(人によって解釈が異なる結果も少なくないかもしれませんし・・・)

 

◆パネルディスカッション

そしてパネルディスカッションの内容ですが、さすがに主催者でない者が内容を書くのは憚れるので、こちらもとくに気になったフレーズをいくつか紹介しておきます。
(個々の発言をくっつけたり、はしょったり、言い換えたりしてるので、バイアスが入っていると思ってください)

  • リサーチテーマは、これまでは「何を作るか、どう改良するか」だったが、いまは「誰に、どんな価値を、どう実現するのか」という、より綜合的なテーマになっている。
    また、予測精度の向上や、上市後のフォロー調査の進化/深化も課題に。
  • 「なぜこの調査なのか」「この調査の意味は」を、一緒に議論できるパートナーになってほしい。
    (極端なことを言うと、現状は、間違っていようと、おかしかろうと、クライアントの言うままに形にするだけ、ということも少なくないよう)
  • リサーチャーの役割は、データ処理やサポートから、方向性を示す、目指すところを考えるという方向に進化している。
    (データ処理だけなら、海外へのアウトソースの方が良いことも)
  • リサーチ会社がM&Aで大きくなるのはいいが、結果として「なんでもやります」となり、個々の会社の特徴が見えなくなってしまった。
  • 勉強していますか?、新しいことにトライしてますか?、人材に投資してますか?

 

以上が、「マーケティングリサーチの現状」について、個人的に気になった部分です。
つまりは、コストを意識しながらも、アウトプットの高度化が求められていると言えます。しかし、これはリサーチに限らず、当たり前のことでしょう。
そのために何をすべきか。
やはり、これまでのやり方や考え方に囚われずに、これまでの延長線上ばかりで考えずに、視点やスタンスを変えてみたり、新しいことを学びトライしていくことが必要なのでしょう。自由回答を読むと、リサーチの変革を望む声がこれまで以上に多いように感じます。また一方で、リサーチの基本的な部分の劣化についても自由回答では指摘されています。

リサーチの基本的な部分をしっかりと学びつつ、視点を変えてみる、新たな取り組みにトライしていく、当たり前ではありますが、この当たり前のことを、いまいちど確認しておくことが大切なのだと感じた報告会でした。

マーケティング・リサーチ業界2012

しばらくマーケティング・リサーチ業界のことを書いていなかったので、久しぶりに。
(以前ほどの激動が無くなったということでも、あるのですが)

◆国内マーケティング・リサーチ会社売上ランキング
以前、リサーチ業界ランキングを書いたのは2008年5月でした。
このときの業界順位は、以下のようになっていました。(順位は2006年売上による。かっこ順位は2001年。宣伝会議推定)

1位(2位):インテージ
2位(1位):ビデオリサーチ
3位(3位):電通リサーチ
4位(-) :マクロミル
5位(5位):日経リサーチ
6位(6位):サーベイリサーチセンター
7位(-) :ジャパン・カンター・リサーチ
8位(-) :ヤフーバリューインサイト
9位(7位):日本リサーチセンター
10位(-):TNSインフォプラン

この記事のときも書きましたが、ネットリサーチと外資系リサーチ会社の躍進が明らかなランキングの変動でした。2001年から2006年にかけて、大きな変化があったことがうかがえます。

2010年度決算データによるランキングは、つぎのようになっています。
(『宣伝会議』2012.1.15号より。宣伝会議編集部調べ。かっこ順位は2009年度)

1位(1位):インテージ
2位(2位):ビデオリサーチ
3位(3位):マクロミル
4位(7位):サーベイリサーチセンター
5位(4位):電通リサーチグループ(現 電通マーケティングインサイト)
6位(5位):日経リサーチ
7位(8位):ジャパン・カンター・リサーチ
8位(10位):クロスマーケティング
9位(‐):Ipsos日本統計調査
10位(9位):日本リサーチセンター

YVIを飲み込んだマクロミルが、売上100億円超えで確実に3位に入っていますが、大きな傾向は2006年と変わっていないと言えそうです。そして、3位と4位の間には売上で倍の差(額では60億円の差)がありますので、(狭義での)リサーチ業界以外からの大型参入が無いかぎり、Big3時代は続きそうです。

蛇足になりますが、2012年4月から『宣伝会議』の広告業界トッピクス欄から「リサーチ」が無くなったようです。ここからも、リサーチの(というか、リサーチ業界 and/or 会社の、と言った方が正しいように思いますが)プレゼンスの低下を感じます。あるいは、リサーチという括りで言及すること自体に意味がなくなった、という判断かもしれませんが。
(このような事情もありますので、リサーチ業界ランキングは今回が最後になるかもしれませんので、あしからず。。。)

◆海外リサーチ会社ランキング
海外のリサーチ会社ランキングは、JMRAのホームページで確認することができます。
(一切の転用・転載禁止なので、リンクで勘弁ください)

ESOMARによる世界売上高トップ企業25(2010) (JMRAホームページ)

このランキングによると、インテージは9位、ビデオリサーチは13位、マクロミルは20位に位置しています。(金額がわからないので、上位企業との差がどの程度かわからないのですが。。。)

また、こちら ↓ の資料(PDFです)をみると、リサーチにおける世界の中での日本の位置づけが理解できると思います。多くの方が指摘しているのですが、人口一人あたりのマーケティング・リサーチ売上や広告費に対するマーケティング・リサーチ売上の割合などを見ると、日本でのリサーチ投資の少なさがわかります。

GLOBAL MARKETING RESEARCH 2011 LANDSCAPE
(PDF:JMRAホームページ)

◆いま、マーケティング・リサーチは?・・・
ここで、リサーチへの関心をGoogle Insight for Search で確認してみます。
「マーケティング・リサーチ」「ソーシャルメディア」「ビッグデータ」の3ワードで比較してみます。
(このグラフは、検索クエリの相対値を“人気度”としてグラフ化したものです。今回のグラフでは、2012年2月のソーシャルメディアのピークを100とした場合の、各ワード、各時期の相対値を示しています)

 

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このグラフではわかりにくいかもしれませんが、「マーケティング・リサーチ」は漸減傾向にあります。2005年の4月には45あったものが、2012年の4月には12まで減少しています。一方で、「ソーシャルメディア」は2010年に伸び始め、1月にはマーケティング・リサーチを超え、2011年に入りぐんと伸びました。ついで「ビッグデータ」も2011年に入って伸び始め、10月にはマーケティング・リサーチを超え、2012年に入って大きく伸び、とうとう5月にはソーシャルメディアとほぼ並ぶくらいまでになっています。

これは検索クエリの結果なので、「マーケティング・リサーチ」というワードがある程度理解されており、あえて検索する必要がないからだということもできるでしょう。しかし、それでも検索数が年々低下していることは危惧すべきことでしょうし、ネット上の関心が、ソーシャルメディア、そしてビッグデータに移っていることについては、疑いがありません。

そこで読んでおいてほしいのが、JMRAの会長メッセージです。

「すべての活動をリサーチャーのプレゼンス向上のために」
(JMRAホームページ:2012.4.2)

ここに書かれている、「顧客企業の海外シフト」「モバイル端末やソーシャルメディアの普及」そして「リサーチのコモディティ化による価格競争」という時代認識、環境認識は基本的に同意できますし、すべてのリサーチ会社が考えなければならない課題でもあると思います。
そしてキーとなる、つぎのフレーズ。

産業としての魅力は社会に対して 提供する価値であり、その価値を創造することができる専門性にあります。

リサーチ産業の価値とは何なのか、専門性とは何なのか、あらためて、この点を考える必要があるでしょう。

◆ここ1年でのリサーチ業界の動き
ついで、ここ1年くらいでのリサーチ業界の主な動きを見てみます。いくつかのトピックスにまとめられます。

1:合併や業務提携の動きは、まだまだ続いているようです。

  • 電通リサーチと綜研が合併し、「電通マーケティングインサイト」設立(2011.10)
  • 電通マーケティングインサイトとマクロミルが合弁で「電通マクロミル」設立(2012.4)
  • 電通マーケティングインサイトとインデックスアイがMROCで業務提携(2012.5)
  • マクロミル、マーシュとオフラインリサーチ分野で業務提携(2011.12)
  • マクロミル、エリアマーケティング分野でゼンリンデータコムと業務提携(2011.11)
  • クロスマーケティング、楽天リサーチとモニターデータベースの共同利用開始(2011.5)

 

2:海外進出も拡大しています。

  • インテージ、インドでの現地法人設立へ(2012.8予定)
  • インテージ、ベトナムリサーチ会社の資本取得・連結子会社へ(2011.9?)
  • マクロミル、韓国リサーチ会社を子会社へ(2011.2)
  • マクロミル、中国のマーケティング支援会社へ出資(2012.3)
  • マクロミル、中国法人でのサービス開始(2011.9)
  • クロスマーケティング、中国での子会社設立(2012.5)
  • GMOリサーチ、イギリスにヨーロッパオフィス設立(2012.2)

 

3:拡(超?、脱?)リサーチ、とくにプロモーション分野への進出が始まってます。

  • インテージ、docomoとの合弁会社「ドコモ・インサイトマーケティング」設立(2012.4)
  • マクロミル、連結子会社エムワープにて、「GREE」の広告誘導枠を活用したマーケティング支援サービス提供(2012.5)
  • マクロミル、マーケティング支援事業のための新会社「エムプロモ」設立(2012.2)
  • クロスマーケティング、モバイル向けソリューション事業、Webプロモーション事業のための子会社「クロス・コミュニケーション」設立(2011.8)

業務提携などは、もっとあるかもしれませんが、記憶にあるものをピックアップしています。
業務提携や海外進出は時代の流れから当然としても、マーケティング支援、とくにプロモーション分野への進出が行われるようになってきました。これまでは、基本的にはタブーといわれていた領域だと思います。
しかし、とくにネットの世界では、リサーチとプロモーション領域は隣接しているともいえますし、正直なところ、リサーチよりもプロモーションの方が予算が取れるということもあるので、とくに成長が求められる上場企業の新たな事業領域として魅力的なのでしょう。リサーチを行なっている本体とは別会社での運営が条件になりそうですが、今後、この領域への事業拡大は増えそうです。リサーチ綱領との整合性をどうするのか、そろそろ綱領の見直しが必要なのかもしれません。

 

そして・・・、
つい先日発表された、こちらのリリースに注目したいです。

トランスコスモス、CRM分析・コンサルティング専門子会社「トランスコスモス・アナリティクス株式会社」を設立 (トランスコスモス ニュースリリース:2012.6.11)

コールセンター運営やCRM分析では先頭集団にいるトランスコスモス社が、CRM分析・コンサルティングを専門に行う子会社を設立すると。基本となるのは、

コールセンターのみならず、インターネットプロモーション/Webサイト/ソーシャルメディア運用などで得られる、あらゆる顧客の声(VOC)や顧客の行動情報を収集し、CRM分析サービスを提供

することなのですが、「ダブルファネルをカバーする、調査・分析サービスメニューを整備」という一文が少し気になります。ビッグデータ解析だけではなく、サーベイや観察調査など、あらゆるリサーチ手法にウイングを広げる可能性があるのではないかと思っています。なにせ、『次世代マーケティングリサーチ』の著者である萩原さんが副社長に名を連ねているのですから。
2000年代、システム技術をもったベンチャー企業がネットリサーチ会社としてリサーチ業界の黒船として参入して来たように、今後はビッグデータの収集・解析技術を持った企業が旧来のリサーチ領域へ参入してくるという、第二の黒船の時代に入るのではないかと感じています。

そして、このことが脅威になると感じるのは、「KPO(Knowledge Process Outsourcing)」というキーワードゆえです。この「KPO」という言葉、このリリースではじめて知ったのですが、こちらのサイトで詳しい内容を確認してください。

アウトソーシングの新たなトレンド「KPO」って何? (ITmedia:2009.7.22)

これまでのBPO(Business Process Outsourcing)が「比較的単純な労働集約型業務の外部委託が中心」だったのが、KPOでは「データの収集や加工(データギャザリング)とデータの分析・アナリシスなどが中心」と指摘しています。まさに、本来はリサーチ会社が業務とすべき領域です。ただし、データの規模がビッグになりすぎ、これまでリサーチ会社が行なってきた程度の「集める・加工する・分析する」技術だけでは対応が難しくなっているという点で、ギャップがありそうです。
ほんとうに、KPOが新たなトレンドとして定着していくのか、そのときのプレイヤーは誰なのか、その中にリサーチ会社が含まれるのか。新たな、さざなみが見えてきました。。。

以上、2012年のいまのリサーチ業界を取巻く状況を整理してみました。
狭い範囲でのリサーチ業界は、ひと昔前の激動時代を過ぎ、優勝劣敗がほぼ決した凪の状態にあるように思われます。ただし、強いところはさらに動きを早め、つぎの布石を打っています。
そして、“KPO” という新たな波が、少し見え始めてきたようです。今度の相手は、ネットリサーチの時のようなベンチャーではなく、IT系コンサルのような、ある程度の実績と規模をもった企業になりそうです。
そのときに、これまでのリサーチ会社は、どのようなポジションをとるのか、とれるのか。
まさに、「リサーチ産業の価値とは何なのか、専門性とは何なのか」を、早急に考え、動くことが必要になりそうです。

 

※リサーチやマーケティングの旬情報は、Facebookページで発信しています。
こちらも、フォローしてみてください。 → 「マーケティング・リサーチの寺子屋」FBページ

 

リサーチ会社の情報発信

前回のエントリーから、7ヶ月も経ってしまいました。

このblogをはじめたのは2006年10月。
当時はリサーチ関連の情報発信が乏しく、ネット上でリサーチの情報を得ることは難しかったと思います。
だから、このblogも意味があったのかもしれないですが、ここ数年で、リサーチ関連の情報をネット上、その他で入手することが比較的容易になりました。そうなると、あえてここで情報を伝える意味も薄くなってしまい、更新から遠ざかるということになっているのですが・・・。

お会いする方からも、「最近、更新してませんよね」とか「やめたの?」とか尋ねられます(ありがたことです)。
blog未更新の間も、Facebookページ(→ こちら )では情報提供を継続してはいるのですが。。。(Facebookなので登録していないと見られないと思っている方もいるかもしれませんが、登録なしでも見ることができると思いますので、ぜひこちらもチェックしてください)
ただ、このFacebook、(仕様変更してからとくに)ちょっと見ずらいなと思うことも。さらに、単なる情報提供だけではなく、オピニオン的に書きたいと思うテーマも少しあったので、久しぶりに、このblogを書いてみようかと思った次第です。

とはいえ、いきなりテーマ性のある内容もどうかと思うし、このblog以外でも、リサーチ会社発の情報提供が行われるようになってきているので、まずはこちらを紹介するエントリーを。

以前は(今でも?)リサーチ会社の情報発信というと、自社調査の結果をパブ的に流すという形や、自社で可能なリサーチや解析手法の教科書的な解説というものが多かったのですが、もっと一般的で勉強になる情報や、オピニオン的な情報が増えています。

個人的に気づいて、ウオッチしているページを以下で紹介しようと思います。

◆「JMAリサーチ道場」(by JMA ジャパン・マーケティング・エージェンシー)

2010年から、月一回更新で続いているサイトです。
硬軟とりまぜて、リサーチ周辺のさまざまな情報が提供されている、お勧め度NO.1のサイトです。どちらかというと、ノウハウや実践というよりは、リサーチについて考えさせられる内容が多いかもしれません。
(個人的には「社会学のすゝめ」が好みです。馴染みがない人にはマニアックかもしれませんが、リサーチャーには、こういう知識も必要だよなと思うのです)

◆「GMO最新ネット業界レポート:マーケティング編」
     (by GMOジャパンマーケットインテリジェンス)

ついで、GMOグループから。こちらも2009年からなので、長く継続されています。
ネット関連のさまざまなレポートが提供されているのですが、この「マーケティング編」は参考になります。GMOリサーチグループであるGMOジャパンマーケットインテリジェンスによる執筆。こちらは、実践的な内容が多いと思います。
これまで、マーケティングリサーチ活用法、ソーシャルメディア活用法、顧客満足度調査、MROCなどがテーマとして取り上げられています。

◆「アウラマーケティングラボ:コラム」(by アウラマーケティングラボ)

図解 マーケティングリサーチの進め方がわかる本 図解 マーケティングリサーチの進め方がわかる本
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-01-26

↑ こちらの本(リサーチ入門としてお勧めの本です)の著者である石井氏の会社ホームページでのコラム。
実務家視点でのリサーチ考察という内容で、多くの気づきを与えてもらっています。
(ページ構造上、コラム全体のページがないので、とりあえず「その他」のもくじページへリンクしています。左サイドバーの「コラム」も参考にしてください)
あわせて、石井さんのblogもご一緒にどうぞ →こちら(アウラなブログ)。

◆「市場調査クリニック」(by Collexia コレクシア)

最近はじまった&発見した、ホームページです。
マーケティングリサーチの著書を数々書かれている朝野煕彦先生のインタビュー記事が無料で読める、お得なページ。(こちらも、朝野先生のインタビュー全体ページがないので、とりあえずトップページへリンク。右サイドバーのバナーから、どうぞ)
朝野先生のインタビュー以外でも、分析手法の紹介が、よくある教科書的な紹介ではなく、わりと具体的なものになっているので、参考になると思います。

◆「聞く技術研究所」(by ドゥハウス)

こちらも、つい最近はじまったばかり。
ソーシャルに焦点を絞ったコラムが参考になります。ソーシャルリスニングとかコミュニティ、MROCに関しては参考になる情報を提供してくれそうです(はじまったばかりなので、期待もこめて、になります)

◆「マクロミルFacebookページ」(by マクロミル)

マクロミルでも、昨年末くらいからFacebookページにて、コラムを掲載しています。
Facebookページなので記事を探しづらいのですが、基本的なリサーチの心得といった内容のコラムが時々紹介されています。(ノートのページにリンクしたかったのですが、うまくできなかったので、FBのトップページへリンクしています)
これまでに、たとえば以下のような内容が紹介されています。

・コラム「もっとうまくいくネットリサーチ」(5) ~ 見落としがち? 質問数過多が及ぼす本質的な影響とは? ~

・コラム「もっとうまくいくネットリサーチ」(4) ~アンケートの購入率データと購買データはなぜズレる?~

・読んで学べるコラム「もっとうまくいくネットリサーチ」(3) ~ 競合より高い満足度にひと安心。でも・・・ ~

(ほかにも、FGIとかHUTとかも取り上げられています)

以上、個人的に拾えたものだけですが、リサーチ会社としての情報発信も、会社案内のようなものばかりでなく、このようなメッセージ性の強いものも出てきました。
また、個人の方のblogでも興味深いメッセージを提供してくれるものも少なくありません。
こちらのblogやFBでも、これはという内容の記事があれば紹介しようと思いますが、皆さんもご自身で探してみると、おもしろいページを発見できるかもしれません。




MMとYVIが経営統合へ向け協議開始?!

(いやはや、こんな記事で1ヶ月ぶりに更新とは。。。さらに、twitter の力も痛感。。。)

本日(2010.4.19)、マクロミルからニュースリリースが配信されています。

株式会社マクロミルとヤフーバリューインサイト株式会社(ヤフー連結子会社)の経営統合に関する本格協議開始について (マクロミル社IR情報)

マクロミルとヤフーバリューイサイト(YVI)の経営統合へ向けて、マクロミル社とヤフー社が協議に入ったと。さらに同日のリリースでは、ヤフー社に対してマクロミル社株の第三者割当増資を行っている(募集後のヤフー社の持株比率は7.22%、第3位の株主に)ので、本気ですね。

リリース資料をみると、両者の売上は、マクロミルが78億円、YVIが49億円、単純合計でも127億円の売上高を誇るリサーチ企業が誕生することになります。

リリースでは、統合のメリットをつぎのようにしています。

 このような状況のもと、本経営統合後の新会社(以下「統合新会社」)において、マクロミルのシステム構築力と営業力ならびにヤフーの調査パネル資産およびYVI のソリューション提案力を融合させることは、顧客資産の統合、経営管理の効率化、販売促進等の機能向上も相俟って、さらなる業容の拡大につながります。
 統合新会社は、いままで以上に高品質のネットリサーチを効率的に大量提供するこが可能となるほか、商品ラインアップの拡充で、高度化するマーケティング課題をワンストップ解決することが可能となります。また、ヤフーグループと協働することによって新時代のインターネットマーケティング事業創出などについて模索・検討してゆきたいと考えております。

注目したいのは、「ヤフーグループと協働することによって新時代のインターネットマーケティング事業創出などについて模索・検討してゆきたい」の部分ですね。単に、ネットリサーチ会社2社の統合という枠を超えた新たなマーケティングリサーチ企業への飛躍を期待したいと思います。

(ほんとに経営統合されれば、の話ですが。。。キリンとサントリーのような例もありますし)

ここで、他の業界情報もついでに。

twitterではすでに紹介していましたが、クロス・マーケティングからは下記のリリースが発表されています。

「株式会社クロス・マーケティング、株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント~ネットリサーチ業務に関する業務提携のお知らせ~」(PDF)
(クロスマーケティングよりリリース 2010/4/1)

資本提携ではなく業務提携ですけど。。。

また、すでにグローバルレベルではグループとなっているカンターとテイラーネルソンですが、日本でも、統合的な活動に移行するようです。
ジャパンカンターリサーチの下記のリリースによると、

本社移転に関するご案内(ジャパンカンターリサーチ社ニュースリリース2010.4.15)

新たに「日本事業を統括する機能として、カンター・ジャパン(Kantar Japan)を設立いたしました」ということのようで、新宿にJKR社とTNS Infoplan社が移転、集結するようです。

リサーチ業界、まだまだいろいろありそうです。。。

【追記:2010.4.20】
過去の関連記事は、こちらに ↓ 。

業界再編の予感・・・(2007.1.25)
インフォプラント&インタースコープ合併へ(2007.5.11)
IP+IS=ヤフーバリューインサイト(2007.6.21)

『グローバル化とネット化の中で』

標題は、JMRA(日本マーケティングリサーチ協会)会長である田下氏の寄稿(かな?)です。

記事は、フジサンケイ・ビジネスアイのもの。

インテージ社長・田下憲雄 グローバル化とネット化の中で
(Fuji Sankei Business i:「特集:論風」 2009/11/13)

協会が、マーケティング・リサーチについての現在の課題を、どのように考えているのかを知ることができると思います。

また、開催が迫っていますが、協会のカンファレンスでも、生のお話を聞けるかも。
興味のある方は、こちらもどうぞ。特別講演が、茂木健一郎氏ですし。
(会費が、お高いとは思いますが・・・)

JMRAアニュアル・カンファレンス2009 (JMRA HP)

インテージ&電通、業務提携へ

すでに、多くのサイトでニュースとして取り上げているので、ご存知の方も多いと思いますが、インテージと電通の業務提携が発表されました。
ただ、どこのサイトもリリース記事の内容を簡単に紹介するのみで、踏み込んだ記事はないようです(2009/11/8現在では)

ということで、一番詳細なのはリリース元のオリジナルなのでこちらを ↓ 。

インテージと電通、「マーケティング・インテリジェンス」領域で業務提携
(インテージ、ニュースリリース:2009/11/5)

リリースの中心となるのは、おそらくつぎのパラグラフだと思います。

このたび両社は、インテージグループが得意とする「店頭の販売動向および生活者の購買行動の両面から課題解決の要因を洞察するノウハウ(マーケット・インサイト)と情報分析力」と、電通グループが得意とする「生活者の行動の起点となる意識・価値観から課題解決の要因を洞察するノウハウ(ターゲット・インサイト)と施策実行力」を組み合わせた、単なる個別の課題解決策の立案に止まらない、ワンストップ・ソリューションを共同開発することと致しました。これにより、クライアント企業の事業・マーケティング活動における「意思決定精度の向上」、「スピードと業務効率の向上」、「実効性の高い解決策の実行」のより強力な支援を目指します。

リサーチ業界トップのインテージと広告代理店トップの電通の業務提携なので、ニュースバリューはそこそこ。
けれど・・・。
このリリースを読んでも、何をするのかよくわからないな・・・、というのが正直なところ。

概念図をみても、???。
課題抽出をしたり戦略提案をするのは誰? PDCAサークルをまわすのは? 電通? インテージ?
というか、課題抽出や戦略提案って、領域が大きすぎない? 業務提携で行うこと?
素朴にみてしまうと、合併でもしないと実現できないことのような気が。。。

ということで、これ以上のコメントは差し控えます。。。

この後、blog等でコメントや解説記事がでていたら、ここでフォローしたいと思います。
あるいは、もっと具体的な動きが出てきた時に。

RFIDを活用したリサーチサービス

つぎのようなリリースが発表されていました。

RFIDスマートシェルフの技術を活用して、リサーチサービスを行なうという内容です。
具体的には、つぎのような内容のようです。

クレスコIDSのRFIDシステムによって、対象商品にRFIDタグを実装し、店頭の陳列棚にRFIDアンテナを組込む“スマートシェルフ”の仕組みを活用した消費者行動分析サービスです。これにより、棚上の商品動態のリアルタイムでのモニタリングが実現できます。これにより、POSデータなどの購買デー タでは掴みきれなかった、店頭で手に取られたが買われなかった商品などの理由に関する原因分析を含めた各種消費者分析を行うことができます。

実は、RFIDについては、このblogでも以前つぎのように書いていました。

たとえば、レジを通る商品はPOSでわかります。それ以外にも、手に取られた=動いた、あるいはずっと棚に置かれたまま=動いていない、というような情報が取れるとマーケティング的には有用なようにも思うのですが。
(マーケティング・リサーチの寺子屋「次代MR?~2.技術3題」:2008/8/27)

これが現実のサービスとして登場したということになります。
(それにしても、この記事を書いたのは、1年前でしかないんですね。もっと昔のことかと思っていましたが)

あらためて、「スマートシェルフ」で検索してみると、つぎのリリースを見つけることができました。

大日本印刷 タナックス シアーズ
ICタグを使ってマーケティング分析と店頭セールスプロモーションを同時に実現する商品棚システム『多目的スマートシェルフ(仮称)』を開発
(大日本印刷株式会社ニュースリリース:2006/9/12)

このリリースの中でも、つぎのような記述が見られます。

商品棚にICタグを読み取るアンテナと人感センサーを組み込むことで、商品の前で立ち止まった人数、関心を示さず通過した人数を記録するほか、ICタグのついた商品が手にとられた回数・時間、購入される際の検討時間を各店頭PCにデータ蓄積し、専用のソフトウェアで分析し、これらの分析結果を店頭でのマーケティングに直接活用することができます。

このリリースが発表されているのは2006年9月と、だいぶ前。。。やはり考えることは、みんな一緒なんですね。
ただ、百貨店で実験されているという記事はいくつかありましたが、実際のケースとして取り上げられている記事は見当たらず・・・。
「シェルフ」としての機能~在庫管理だとか、棚卸しの省力化等~としては機能しても、データ収集ツールとしてはあまり注目されていないということなのでしょうか。

けれど、購買に至る前段階での商品の動きについてのデータって、結構重要だと思うんですけど。。。
今回の、ジャパンマーケットインテリジェンス(JMI)社による具体的なリサーチサービス化で、活用が進めばいいなと思っています。

(ただ、冒頭のリリースの中で、ひとつ気になる点が。。。
「店頭で手に取られたが買われなかった商品などの理由に関する原因分析」は、どのようにしてわかるのだろう?
RFIDのデータからわかるのは、手に取られたかどうか、その商品が買われたかどうか、という実態の記述だけで、理由まではわからないような気がする。。。店頭実験を繰り返すということだろうか?・・・
このあたりは、直接問い合わせてみてください)

IBM、SPSSを買収

リリースが発表されているのは先月末なので、かめエントリーとなりますが、備忘録もかねて。。。

IBMがSPSSを買収することが決定となったようです(以前から、噂では聞いていたのですが)。

IBMがSPSS Inc.を買収、顧客に予測分析機能を提供 (IBM社リリース:2009/7/31)

IBMはSPSS Inc.の買収に合意「お客様およびパートナー様へのご連絡」 (SPSS社)
同 「SPSS 買収に関する発表について – FAQ」 (SPSS社)

上記2つとも、米国でのリリースの翻訳だろうと思うのですが、直訳調でかなりわかりにくいです。(個人的には、です。この分野の理解がたりないからかもしれません。。。)
英語ができる方は、オリジナルのリリースをご覧になった方がいいのかもしれません。

そこで、解説記事を2つ、ご紹介。

ニュース解説:IBMがSPSSを買収~IBMをBI市場の“勝ち馬”とみたSPSS (ITmedia:2009/7/29)

渡辺聡・情報化社会の航海図~IBMのSPSS買収に業界トレンド継続の流れを読む (CNET Japan:2009/7/30)

いずれの解説でも触れられているのは、ビジネスインテリジェンス(BI)の流れが来ていて、そのためにSPSSのソリューションが必要になった、ということでしょうか。。。

そういえば、なぜかSPSSは、その商品名をPASWと変更しています。商品名の変更は、かなり勇気のいることだと思うので(すでに、SPSSという名前は十分に浸透しているはずですから)、なぜだろうと思っていたのですが、リリースを読んで理由がなんとなくわかりました。
つまり、SPSSのコア技術を「予測分析技術」とみなし、それを訴求するということなのでしょう。

  • PASW=Predictive Analytics Software

なので。

PS.
このblogでの関連エントリー

CGM分析、口コミ分析、blog分析

以前に、「ブログ分析」というタイトルでアップしています(→こちら。2007/11/7の記事です)が、最近また動きがあるよう&時間が経ったので、今回はこのテーマで。
(ただし今回は、「ブログ」に限定せずに、CGMあるいは口コミ分析とタイトルしました。)

◆ネットレイティングスの新サービス
まずは、ネットレイティングス(nielsen online)の新サービスの紹介。

ネットレイティングスが口コミ分析サービス「BuzzMetrics」開始
(INTERNET Watch:2009/7/30)

ネットレイティングス(nielsen online)のリリースはこちら↓。

ニールセン・オンライン、CGM分析サービス「BuzzMetrics(バズメトリクス)」の提供を開始~インターネット上のクチコミをお客様に役立つ情報としてレポート~
(ネットレイティングス、ニュースリリース:2009/7/30)

サービスページは、こちら↓。

CGM分析サービス「BuzzMetrics」(nielsen online)

ネットレイティングスのサービスは、アナリストの分析によるアドホックレポートが主軸となるようです。さらに、ネットレイティングス独自のデータである、インターネット視聴率調査やインターネット広告統計とあわせた分析が可能となるのが、強みですね。
INTERNET Watchの記事で、いくつかのスライド画面≒分析内容も確認できますので、興味を持った方は、ぜひどうぞ。

◆既存サービス
この分野は、既存のサービスも結構あります。
思いつくままに紹介すると、以下のようなサービスが。

2年前のエントリーの時と比べると、各社ともさまざまな機能を付加していることに気づきます。また、スパムをどう排除するかも大きなテーマです。
この中では、niftyから新機能の最近リリースが発表されています。

ニフティ、クチコミの影響力を測定するブログ分析指標「BPI-Influence」を提供(CNET Japan:2009/7/31)

ブログblog分析、クチコミ分析のこれからについては、ホットリンク社長内山氏のつぎのblogが参考になると思います。

クチコミ分析サービスはどこへ向かう?(内山幸樹のほっとブログ:2009/4/27)

まだ導入期~成長期という認識のようで、これからどこへ向かうかについて、明確な方向性が見えていないというのが結論のようなのですが。。。

◆参考図書
関連して、参考図書を一冊ご紹介。

実践 ブログ・リサーチ―デジタル・アカシックレコードの探索 実践 ブログ・リサーチ―デジタル・アカシックレコードの探索
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2009-04

上記で紹介したサービスは、いずれもレポートまで作成してもらえると思うので、自分でCGMのテキストデータから集計や分析をすることはないと思いますが。。。
しかし、CGMのデータにはどのような特徴があり、実際にどのようなことができるのか、限界や可能性は何か等について、あらかじめ知っておくことは大切なことだと思います。

そこで、この本。
ただし、CGM分析の「入門編」です。すでにCGMデータの分析をバリバリと行なっている人にはお勧めしません、すでにわかっていることが大半でしょうから。
まだCGM分析を行なったことがないけど興味がある、どのようなことができるのか知りたい、という人向きの本と言えます。

もくじの代わりに、「はじめに」から本書の構成について述べている部分を引用しておきます。

第1章 デジタル・アーカシックレコードの探索
本書の総論にあたり、Web2.0の進化のもとでネットにブログが溢れてくる状況をどのように捉えることができるかについて解説します。
第2章 ブログ・データの基本特性とブログ・リサーチの視点
ブログ・データの基本特性を5つの切り口から説明します。
第3章 実践!ブログ・リサーチ
ブログ・リサーチを行なうツールと実践的なリサーチ手法を解説します。
第4章 ブログを科学しよう
ブログ・データの形式を整え、既存のマーケティング・リサーチで使われる手法の適用を試みます。
第5章 ブログの時系列波動に注目してみよう
ブログ・データを時系列「波動」として捉え、どのような現象が見られるかについて解説します。
第6章 ブログ・リサーチの可能性
ブログ・リサーチの限界や可能性についてのまとめを行ないます。

専門書の体裁はきっちりとっています(注の充実など)が、内容は読みやすい内容ですので、気楽に読んでみてください。

インテージ、ネットリサーチの実査期間を短縮 (and more…)

前回(昨日)のエントリーに関連しそうなリリースが、インテージさんから。。。

インテージの新しいインターネットリサーチ標準:実査期間短縮化のお知らせ
(インテージ社ニュースリリース:2009年7月28日)

インテージのネットリサーチでは、これまで標準4日間の一定期間実査方式により、初期回答バイアスを抑えた高品質な調査結果をご提供してきましたが、モニターの特性やこれまでの実績、検証結果などから、高品質を保持したままでの実査期間の短縮が可能となり、それに伴い納品までの日程短縮を実現しました。

これまで、インテージさんのネットリサーチは、4日間の実査を標準としてきましたが、24時間に短縮する、という内容です。「先着順回収」ではなく、あくまでも「期間回収」であることには、変わりはないのですが。

インターネットリサーチの武器のひとつが「早さ」であるとしたら、実査期間4日というのは、大きなハンデだったと推測されます。説明チャートにあるように、予備調査を行うと、かなりの時間がかかったわけですから。それを、1/4の24時間にまで短縮して、少しでもハンデを小さくするということなのでしょう。

しかし、
あくまでも「期間回収」は行う。それは、なぜなのか?
リリースでは、つぎのように説明しています。

モニターのライフスタイルによって、各モニターが調査の回答画面にアクセスできる時間帯は異なります。回答期間が短い場合は、大量配信の回答者先着順方式で見られるような早期回答者による職業・年代の偏りが生じる可能性が高くなり、回答結果にも影響をおよぼすことになります。また短時間の実査では、調査開始時間や曜日によっても回答結果にバラツキが生じ、再現性のあるデータが得られなくなります。調査期間を1ライフサイクル(24時間)で設定することで、これらを回避でき、より高品質なデータを得ることができます。

リリースでは、検証結果のグラフも提示していますので、この点については、実際にリリースをご覧になって確認してください。

さて、ここでもうひとつ同じ趣旨の検証調査を紹介します。
5年近く前の、マクロミルさんによる調査結果です。実はここでも、今回のインテージさんとほぼ同様の結果を発表しています。

総研ラボ001:回収時間による、回収率および回答者属性構成比の推移について (マクロミル・ネットリサーチ総合研究所:2004年10月15日)

回答者属性の構成比は、開始から3時間後(回収率30%前後)までは変動がみられるが、調査開始12時間後(回収率40~50%程度)以降はほぼ安定し、その後の変化はほとんどない。

以上のインテージさん、マクロミルさんの調査結果をあわせて考察すると、

  • 実査開始から3時間以内に終了した調査(セル)については、回答者属性に偏りが発生する可能性がある

といって、よさそうです。
(ただ・・・。実は、マクロミルさんの「回収率30%前後」という、かっこ書きが気になります。これは、「3時間だから」偏ると言っているのか、「回収率30%」だから偏るといっているのか。。。厳密には、このあたりが微妙なのですが。)

PS.
マクロミルさんからも、以下のリリースが発表されていました。
インテージさんが「スピード」を追求したのに対し、マクロミルさんは「コスト」を追求したということになりますね。

料金改定のお知らせ(マクロミル社ニュースリリース:2009年7月1日)

お客さまのご要望にお応えし、サンプル割付オプションサービスの値下げ、および質問ランダマイズオプションの無料化(QuickMill等 ネットリサーチ実査の基本料金内に内包)を実施いたします。

確認すると、ヤフーバリューインサイト(YVI)も。

サービス料金改定のお知らせ
(ヤフーバリューインサイト社ニュースリリース:2009年7月1日)

当社が日頃から推進しております「顧客満足追究計画」の一環としまして、お客様から寄せられたご要望にお応えし、サービス料金体系をよりシンプルで分かりやすく改良いたしました。

そして、クロス・マーケティングさんは、「パネル規模」の勝負に。

業界最大規模の調査パネル構築に向けた業務提携のお知らせ
(クロスマーケティング社ニュースリリース:2009年7月23日)

このご時勢、いろいろ動きが出てきました。。。
(他のリサーチ会社さんでもニュースリリースがありましたら、コメント欄へどうぞ。
ただし、必ずリリース(エビデンス)にリンクを貼ってください。)