日別アーカイブ: 2008-10-24

SPSSインテージ田下社長講演から

10月21日、22日に開催された「SPSS DIRECTIONS JAPAN2008」にて、インテージの田下社長が『「情報価値鑑定士」への道』という題目で、特別講演をされていました。
連投になりますが、忘れないうちにアップしておきます。

ここで、お話の内容自体を紹介するわけにはいかないと思いますが、講演からいくつか興味を惹かれた点を紹介しておきたいと思います。
(田下社長の講演内容とは直接関係のない、個人的な興味が主ですので、この点はあらかじめお断りしておきます。)

(講演内容自体については、後日、SPSSのHP(→こちら)で紹介されるかもしれませんので、そちらを参照してください。)

■グローバルリサーチ企業と日本のリサーチ企業

講演の最初は、お決まりの自社紹介。ここで紹介されていた「TOP25グローバルリサーチ企業」に興味が。。。
これまで、あまり気にしていなかったのですが、「本国以外での売上比率」というデータも掲載されており、これがまたなんとも特徴的な数字で。。。
すぐにひらめく人もいると思いますが、TOP25に上がっている日本企業3社のこの比率が、見事に低い。低いというか、ほとんど0(ゼロ)。TOP8の会社は、多くが50%越えの数字を示す(シノベイトなどは90%越え・・・)ことをあわせて考えると、いかに日本のリサーチ会社が、ドメスティックかということがわかります。
他の産業でもよくいわれていることでもありますが、日本の市場が半端に大きいために、ドメスティックでもそれなりの売上を上げることができてしまうので、たとえば携帯電話などで「ガラパゴス化」といわれるように、国際競争力のない状態に陥ってしまう。リサーチ業界も、同様なのでしょうか?・・・。

(世界の中での日本のリサーチの位置づけは、JMRAのHPでの資料でもいろいろ確認できます。とくに、↓の資料はなかなか興味深い点がいろいろあります。)

世界における日本のMarketing Researchの概況2008(JMRA:業界・海外動向)

■「内閣改造支持率の怪」

以前、このblogでも「まちまちな改造内閣支持率・・・」として紹介した8月の福田改造内閣支持率の結果について、調査の本質は操作主義という事例として取り上げていました。
各社の質問文を紹介していたのですが、どうも質問文に「改造」という言葉を入れている会社での支持率が高めという傾向があるようです。
調査タイミングの問題とあわせて考えると、内閣の顔ぶれ等を知らない回答者でも、「改造したんだ」という印象で支持率が高まる可能性はありますね。
ほんとに、調査は怖いということをあらためて感じます。

■アブダクション

まさか、「アブダクション」が出てくるとは思いませんでした。
個人的にも「アブダクション」は、これからのリサーチのキーワードになるのではないかと思っていたのですが、説明するのが難しい(つまり、完全な理解に至っていないということでもありますが・・・)ので、blogに取り上げずにきてました。しかし、田下社長も言及していたので、ここで少しだけ紹介を。
アブダクション(abduction または retroductionとも)は、演繹(Reduction)、帰納(Induction)と並ぶ科学論理的思考法のひとつとして、パースが唱えたものです。日本語では、「仮説的推論」と呼ばれることが多いようです。
アブダクションを紹介する人に共通する趣旨は、「演繹や帰納では創造的な仮説を作り出すことができない。現在のような時代にほんとうに必要なのは、アブダクションのような仮説を創造できる論理的思考だ。」というものです。

これ以上の説明は無理なので、興味のある方はこちら↓の本をどうぞ。(ただし、基本的に思想書に分類される本なので、なかなか・・・)

アブダクション―仮説と発見の論理 アブダクション―仮説と発見の論理
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2007-09-20

また、こちら↓の本でも、第5章の補論「知識デザインの実践:コンセプト・デザインにおける応用」の中でアブダクションを取り上げています。
(この本は、こんな中途半端な紹介ではなく、単独で取り上げたい本です。私が大学院で学んでいる先生の一人でもありますし・・・)

知識デザイン企業―ART COMPANY

知識デザイン企業―ART COMPANY
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2008-02

(※ちなみに、「アブダクション」には「拉致」という意味がありますので、googleなどで検索する場合は、この点を注意して検索してください。)

■データフュージョン

これも、注目していたワードのひとつでした。
再三このblogでも書いてきましたが、今は、さまざまな事実データが入手できる時代です。しかし事実のデータだけでは、事実の背景にある要因などをさらに分析するには難しいことが多い。そこで、リサーチデータとビジネス上で入手できるデータ(POS、FSP等)を融合=フュージョンさせることができると、有用だというものです。

こちら↓でも、同様の主張をされていますので、参考にしてください。
(ただし、論文要旨の紹介のみです。本文では方法まで論じているようですので、興味のある方は冊子を購入してみてください。)

データフュージョンの新展開(JMR生活総合研究所:J-marketing.net)

<掲載誌はこちら→ 『消費経済レビューVol.9』

以上、SPSSでの田下社長講演からインスパイアされた事どもを、徒然に書き留めてみました。。。
ここで、お願いです。
アブダクションやデータフュージョンについては、まだまだ理解を深めたいので、有用な情報源(HPや本など)をご存知の方、ぜひコメントにて教えてくださいm(_ _)m

商品開発@SNS事例

以前、「クラウドソーシング」についてのエントリーをしましたが、SNSを使った商品開発の事例をいくつかクリップしておきます。
今回カルピスの記事を見たのをきっかけに、過去のものをあらためて検索した結果ですので、少々古い事例ですが。。。

「クラウドソーシング」に関するエントリーは、こちらで↓。

次代MR?~1.クラウドソーシング

SNS利用の商品開発の事例は、こちら↓。

カルピス、mixi公認コミュニティで「フルーツカルピス」の新製品を開発(ITPro)

ニフティのSNSでコクヨの商品開発 ビジネスパーソンの声反映(ITmedia)

携帯SNSコミュニティによる消費者巻き込みマーケティングでの商品開発をトリンプが本格開始(Web担当者Forum)

mixiでアイデア募集したカップめん【開発者に直撃取材】(nikkei TRENDY net)

最後(4つめ)のは、エースコックの開発担当者のインタビューです。

これらの事例が、成功だったのかどうかがわからないのが、ジャーナルの欠点で・・・。

あくまで、メモですので、あしからず。。。