日別アーカイブ: 2008-10-09

『思考・論理・分析』

思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践 思考・論理・分析―「正しく考え、正しく分かること」の理論と実践
価格:¥ 2,310(税込)
発売日:2004-07

連投で。(紹介したい本がいくつかあるので、しばらくは本シリーズになりそうです。。。)

前の「分析力が~」などの本を読むと、大量データ時代、分析力が必要だということはわかります。しかし、ここで陥りがちなのが、「分析ばかり症候群」あるいは「アナリスト気取り」だと思うのです。

データを集めて、エクセルでピボット集計や回帰分析(エクセルでもできてしまうんです)をしてみる。あるいは、SPSSとかクレメンタイン、SAS、テキストマイニングなど、ちょっと高度なソフトをまわしてみる。すると何らかの結果は出るので、自分では“分析”をしたようなつもりに陥る人が増えるのではないか、という危惧があるのです。
さらに、その分析は必要な分析なのか?、役に立つ分析なのか?、なんらかの知見が得られているのか?、ためにする分析になっていないか?、そもそも間違った方法・視点で分析していないか・・・?

そこで、「分析とは、なんぞや」ということに、いまいちど立ち返ってみる必要はないかと。そして、その方法論(ノウハウではありません)も、いまいちど理解する必要があるのではないかと。。。
そんな問題意識で出会ったのが、今回の本です。

では、いつものように、もくじを。

第1章 思考
 Ⅰ.1 思考とは
 Ⅰ.2 「分ける」ための三要素
 Ⅰ.3 思考成果
 Ⅰ.4 因果関係
 Ⅰ.5 思考の属人性
第2章 論理
 Ⅱ.1 論理とは
 Ⅱ.2 論理展開
 Ⅱ.3 論理展開の方法論
 Ⅱ.4 正しさの根拠
第3章 分析
 Ⅲ.1 分析とは
 Ⅲ.2 分析作業
 Ⅲ.3 合理的分析の方法
 Ⅲ.4 論理と心理

各章とも、「○○とは」で始まってます。なので、人によっては理屈っぽいと感じるかもしれません。大学の教科書的な雰囲気です。(Amzonでも、「わざと難しく書いているのでは」という批評もありました)

けど、それでいいと思うのです。本書を読む目的は、「そもそも、分析とは何ぞや」を確認・理解するためなので。著者も「はじめに」で、つぎのように書いてます。

(筆者注:論理思考に関する関心の高まりもあり、書店には多くの本が並んでいる。という文脈に続いての記述です。)
ただし、残念な点もある。それは現在数多く存在する論理的思考の解説書のほとんどが、論理的思考のテクニックとフォーマットを紹介したハウツウ本にとどまっている点である。論理的思考プロセスをフォーマット化して、各人が指導要領に従ってフォーマットを埋めていけば論理的思考的な手順を踏めるというようなマニュアル本になっているのである。
これでは本当の論理的思考力を習得するのは難しい。なぜなら、マニュアルに基いてフォーマットを埋める行為とオリジナルの思考とは、本質的に正反対の性質のものだからである。

同意です。
「ほんとうの論理思考」を習得するなら、このような本を一冊は読んでおくべきだと思います

◆プラスして

「思考」ということに関しては、つぎの2冊もお勧めです。
(↑の本にもまして、大学の教科書的ですが。。。)

知的複眼思考法―誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社プラスアルファ文庫) 知的複眼思考法―誰でも持っている創造力のスイッチ (講談社プラスアルファ文庫)
価格:¥ 924(税込)
発売日:2002-05

常識やステレオタイプに囚われないものの見方をするにはどうすればいいか。
これがテーマです。そして、いま必要なのは、「問をどうたてるか」。
けっこう読みやすい文体だと思います。

創造の方法学 (講談社現代新書 553) 創造の方法学 (講談社現代新書 553)
価格:¥ 735(税込)
発売日:1979-09

1979年出版、なのにいまだに増刷を重ねています。それだけ良い本だということです。
ただ、少々骨がおれるかもしれません。

◆とはいえ、「もっと使える本は?」という方へ・・・

「確かに学生ならいいかもしれないけど、こっちは毎日仕事してんだよ。もっと、手っ取り早いのはないの?」という方へ。。。   (ひよった・・・)

ビジネス数字力を鍛える (グロービスの実感するMBA) ビジネス数字力を鍛える (グロービスの実感するMBA)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2008-07-04

いま流行の「プチ物語+解説」という体裁です。
こちらは、一応もくじをあげておきますか。。。

第1章 目的を明らかにし、仮説を持つ
第2章 数字を加工する
第3章 解釈し、意味合いをつむぎだす
第4章 分析結果を伝える
第5章 マネジャーとして数字を読む

リサーチ会社で企画・分析をするなら、ここで書かれていることは最低限理解してないと、という内容です(それだけ、初歩的内容だということでもありますが)。
当然リサーチ以外でも、ビジネスマンなら必要なスキルです。

(でもやっぱり、最初の3冊も読んで欲しい・・・)