アハ!または???」カテゴリーアーカイブ

花王のエスノグラフィ

「エスノグラフィ」は、皆さんの関心がかなり高いようなので、参考記事紹介のみのエントリー。
(トラックバックいただいた wackyhope さん、ありがとうございます。)

花王、消費者調査にエスノグラフィー手法を導入~「極端な消費者」に密着し普遍的な結論を得る (IT Pro by 日経BP、2009/2/12)

ついでに、こんな記事も発見。。。
「エコーシステム」という言葉、最近聞かなくなったなと思っていたのですが、しっかり活用していたんですね。そして、このシステムが今度はカネボウに導入されることに。

カネボウ化粧品、CRMシステムで消費者の声を一元化
(IT Pro by 日経BP、2009/1/22)




「コミュニティを企業が活用する方法論」

WEB記事から備忘録。

コミュニティを企業が活用する方法論&べし・べからず
(Web担当者Forum/IMPRESS)

SNSやブログなどのオンラインコミュニティを活用したいと考えている企業は多い。しかし、コミュニティがビジネスにもたらす効果やリスク、展開の方法論は必ずしも明確にはなっていない。

米国の調査会社フォレスター・リサーチのシニアアナリストとして、企業のソーシャルメディア展開を中心としたWebマーケティングやインタラクティブマーケティングの専門家であるジェレマイヤ・オウヤン氏に、オンラインコミュニティを成功させる秘訣、コミュニティの運用上のポイント、ユーザーとの関係構築などについて聞いた。

コミュニティを活用する際に、どのようなことを意識しなければならないかがまとめられています。スターバックスなどの事例の簡単な紹介もあります。

また、この記事でも紹介されていますが、今回のインタビュー対象であるフォレスターリサーチによるつぎの本も、コミュニティを考える上では、とても参考になります。

グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略 グランズウェル ソーシャルテクノロジーによる企業戦略
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2008-11-18

もくじだけ紹介しておきます。

第1部 グランズウェルを理解する
 第1章 なぜ今、グランズウェルに注目すべきなのか
 第2章 柔術とグランズウェルのテクノロジー
 第3章 ソーシャル・テクノグラフィックス・プロフィール
第2部 グランズウェルを活用する
 第4章 グランズウェル戦略を立てる
 第5章 グランズウェルに耳を傾ける
 第6章 グランズウェルと対話する
 第7章 グランズウェルを活気づける
 第8章 グランズウェルの助け合いを支援する
 第9章 グランズウェルを統合する
第3部 グランズウェルで変革を促す
 第10章 グランズウェルが企業を変える
 第11章 グランズウェルを社内で活用する
 第12章 グランズウェルの未来

しかし、また新しい言葉が。。。
ちなみに、「グランズウェル」は「おおきなうねり」と訳されています。序文では、つぎのように紹介されています。

一言でいうなら、グランズウェルは社会動向だ。人々はテクノロジーを使って、自分に必要なものを企業ではなく、別の個人から調達するようになっている。企業の立場からすれば、これは挑戦だ。
グランズウェルは一過性の現象ではない。グランズウェルを動かしているテクノロジーは未曾有のペースで進化を続けているが、その根底にはすべての人間が持っている「つながりたい」という、永遠の欲求がある。グランズウェルは、世界のあり方を永遠に変えてしまった。本書の目的は、企業がテクノロジーの変化にとらわれることなく、このトレンドに対応できるようにすることだ。これを、我々は「グランズウェル的思考」と呼ぶ。

ブログやSNS、ウイキなどの「ソーシャルコンピューティング」と呼ばれている新たな技術を、どう戦略に取り込み、使いこなしていくのか、ということですね。

「データをざくざく処理するためのグラフの読み方、使い方」

以前、「統計の基礎~HP紹介~」でご紹介した衣袋氏の新しいシリーズが始まっていたのですね、それも昨年9月に。(う~ん・・・、なんで今まで気がつかなかったのか。。。)

その新しいシリーズは、こちらです↓。

データをざくざく処理するためのグラフの読み方、使い方
(Web担当者Forum by インプレス)

この連載では、データで表現したいことを、効果的にひと目でわからせるためのグラフの種類の選び方、作り方を紹介します。それぞれの回で、代表的な4つのグラフ(円グラフ、折れ線グラフ、比較棒グラフ、散布図)を順に取り上げ、グラフの使い分け、効果的な使い方、危険な使い方といったことを解説していきます。

前回のテーマであった「統計」以上に、今回の「グラフ」は、わかったつもりになっているテーマです。確かに、小学校で習うテーマですし。。。
しかし・・・、ほんとはきちんと理解していない人が少なくないテーマでもあると思います。
これまで「グラフの読み方、書き方」なんて考えたことがなかったという方が多いと思うのですが、ぜひ、このシリーズで基礎固めすることをお勧めします。
グラフの書き方ひとつで、伝わることも伝わらなかったり、誤って伝わったりしますので。
(一方で、あえて誤った印象を与えるということもできてしまうのですが、グラフは。。。)

ついでに、以前のシリーズ(統計)をまだ見ていない方は、こちら↓のシリーズもぜひ。

リサーチ/データのリテラシー入門~調査統計の基礎知識
(Web担当者Forum by インプレス)

【PS.】
グラフをテーマにした本でしたら、↓のあたりでしょうか。
気が向いたら、書店で手にとってみてください。

レポート・プレゼンに強くなるグラフの表現術 (講談社現代新書) レポート・プレゼンに強くなるグラフの表現術 (講談社現代新書)
価格:¥ 756(税込)
発売日:2005-02-18

(↑こちら、残念ながらAmazonでは在庫なしのようです。。。)

統計グラフのウラ・オモテ (ブルーバックス) 統計グラフのウラ・オモテ (ブルーバックス)
価格:¥ 987(税込)
発売日:2005-10-21

あなたが知りたいのは誰ですか?(代表性の話)

まずは、つぎのニュースリリースと、詳細データをごらんください。

高齢者におけるパソコン・ネットの利用動向に関する調査
  (
株式会社NTTデータ経営研究所:20081216ニュースリリース)

みなさんは、このデータとそこからのコメント(リリースの内容)を読んで、どのような感想をもたれましたか?
「なるほど、高齢者でもコンピュータのリテラシーは高いんだな」でしょうか。
あるいは、「ちょっと、待てよ・・・」でしょうか。

このリリースに対して、『大西宏のマーケティング・エッセンス』さんのblogでは、つぎのような記事をアップされています。

いい加減な調査をして、その結果を堂々公表する会社って信頼できる?
  (大西宏のマーケティング・エッセンス)

皆さんは、大西さんのblogの内容については、どのように思いましたでしょうか?

私は、基本的に大西さんの指摘は正しい指摘だと思います。
だいぶ前になりますが、このblogでも、近い内容の記事をアップしています(こちら↓)。

「シニア」って誰ですか?

さて、ここでしっかりと皆さんに考えていただきたいと思います。
大西さんが指摘されていることは、どういうことなのでしょう?
この指摘を完全に理解できていること、さらに人に説明できることは、リサーチをする人にとっての絶対条件ともいえる内容だと思います。

そもそも論として、

 ・私たちは、なぜ「リサーチ」をするのか?
 ・「リサーチ」で得られるデータから、何を得ようとしているのか?

ということから、考える必要があります。
リサーチで得たいデータは、「そのとき調査に回答してくれた人たちの行動や意識、態度」を知るためのものでしょうか?違いますよね?
「そのとき、調査対象“条件”として設定した人たち全体の行動や意識、態度」を知りたいから行っているんですよね?

わかりにくいですかね・・・。
たとえば、「東京都在住の20代未婚男性の自動車免許保有率についての調査をし、300サンプル回収した結果のデータ」があるとします(この際、手法は問いません)。
このとき、私たちが知りたいのは、「東京都在住の20代未婚男性“全体”の自動車免許保有率」であって、「回収した300サンプルでの保有率」を知りたいわけではない、ということです。
(おそらく、免許保有率はオープンデータで調べられますが、その点は置いておいて。。。)

これが、「標本調査」で基本的に押さえておかないといけないポイントです。
いわゆる、「代表性」の問題です。
この点を明確にするために、「サンプリング・フレーム」とか、「標本抽出法」とか、「回収率」などが問題になるのです。(そして、本来は、報告書の調査概要にはこれらをきちんと明記しておく必要があります。)

今回のテーマになっている調査でいうと、下図のような構造が理解できているか、という問題になります。

20081220chart_6

今回知りたかったのは、上図の薄青で示す「60歳以上のPCユーザー」です。
そして、今回の調査で得られたデータは、上手の濃い青である「60歳以上のPCユーザー、かつ、インターネットユーザー、かつ、インターネットリサーチ登録者」です。
ここで考えないといけないのが、「インターネットリサーチ登録者」の回答が、「60歳以上のPCユーザー」の実態を正しく反映すると考えていいのか?、ということです。
この問に対する答えが、大西さんのblogで丁寧に説明されていた内容になります。

ただ、このようなことを言うと、「ネットリサーチなんて信頼できない」という極論に走る人がいますが、ほんとうにそうでしょうか?
たとえば『60代での日本茶系飲料の飲用状況』を考えてみてください。
「インターネットリサーチ登録者では、日本茶系の飲料を飲む頻度が多い(あるいは少ない)」と考えられる明確な根拠はあるでしょうか?むしろ、「差はほとんどないのでは?」と考える方が妥当でしょう。そうなると、インターネットリサーチの登録者の回答で、60代全体を推定することはそんなに理不尽なことではないということになります。

要は、

「今回の調査対象者が、最終的に知りたい人たち全体を、正しく代表する可能性が高いかどうかを、きちんと考える」

ということが大切だということなのです。
リサーチをするときは、この点をよく考えて設計しないと、偏ったデータの結果で意思決定を行っていたということになりかねません。

今回の内容は、「いまさら」感がある方も少なくないかもしれません。
しかし、現実にこのようなリサーチが多く行われ、さらに、ネット上にあふれているという現実もありますので、あえて、「いまさら」の内容について考えてみました。
(本来は、寺子屋でやらないといけないテーマなんですけど・・・)

(とはいえ・・・
「では、どんな方法でリサーチをすると、代表性の高いデータが得られるんだ」という問は、とても難しい問です。一昔前までは、「きちんとサンプリングを行った訪問調査です」と答えられたのですが、今ではかなり怪しい状況にあると思っています。
調査の基本である「リサーチの目的と明らかにしたい課題を明確に」した上で、どの部分の代表性を、どの程度まで担保したいのか、ということを考えながら設計する必要がある、というのがひとつの回答になるでしょうか。
そして、さらにいうと、今回の議論はネットリサーチのみに限らない、すべての調査手法において考えないといけないテーマだということも、忘れずにおきたいです。
一言で「代表性」といっても、とても難しいテーマなんだということを、マーケティング・リサーチを行うすべての人が認識しなければいけない時代になったということだけは、明らかです。)

統計局の統計調査広報

200810252_3

10月18日は「統計の日」だそうです・・・、ご存知でした?

さて、朝日新聞(2008.10,25)に掲載された広告→。
広告主体は総務省統計局・都道府県。
「統計調査って、何を調べて、何に使われているの?」と題し、
労働力調査、家計調査、小売物価統計調査、個人企業経済調査の概要を紹介し、協力をお願いしています。

総務省統計局のHPでも、同じ内容のページがあります↓。
こちらでは結果ページへのリンクもあり、より具体的な
内容がわかる仕掛けに。

統計調査のご案内(総務省統計局)

さらに、政府広報としてテレビ番組も作成され放送されていたみたいです。
(「峯竜太のナッ得!ニッポン」という番組です。10月10日にBS朝日で放送されたようです。
こちらも、政府インターネットテレビにてHP上で見ることができます~25分番組です↓。)
具体的な調査の流れや回収された調査票の保管方法、統計調査の歴史なども紹介されていて、なかなか興味深いです。

峯竜太のナッ得!ニッポン(政府広報オンライン)

政府も、統計調査の回収にかなり苦労をしていることがうかがえます。。。
前回の国勢調査でも回収率についてはかなり話題(問題)になりましたし、統計調査の回収率がかなり低下していることも実態として明らかになっています。

そして、政府の統計調査でさえそうなのですから、一民間企業が実施するマーケティング・リサーチにおいてはなおさら・・・。
これらの政府広報を見て、マーケティング・リサーチが何をやっていて、どう使われ、どのように私たちの生活に役立っているのか?、についても広報が必要だなと思った次第です。

(ただ・・・。
「この政府の広報広告を見る人は、すでに調査に協力しているよね、きっと(苦笑)」ということを話してくれた人がいましたが、そうだろうなと思ったりもしています。広告の難しさです。。。)

SPSSインテージ田下社長講演から

10月21日、22日に開催された「SPSS DIRECTIONS JAPAN2008」にて、インテージの田下社長が『「情報価値鑑定士」への道』という題目で、特別講演をされていました。
連投になりますが、忘れないうちにアップしておきます。

ここで、お話の内容自体を紹介するわけにはいかないと思いますが、講演からいくつか興味を惹かれた点を紹介しておきたいと思います。
(田下社長の講演内容とは直接関係のない、個人的な興味が主ですので、この点はあらかじめお断りしておきます。)

(講演内容自体については、後日、SPSSのHP(→こちら)で紹介されるかもしれませんので、そちらを参照してください。)

■グローバルリサーチ企業と日本のリサーチ企業

講演の最初は、お決まりの自社紹介。ここで紹介されていた「TOP25グローバルリサーチ企業」に興味が。。。
これまで、あまり気にしていなかったのですが、「本国以外での売上比率」というデータも掲載されており、これがまたなんとも特徴的な数字で。。。
すぐにひらめく人もいると思いますが、TOP25に上がっている日本企業3社のこの比率が、見事に低い。低いというか、ほとんど0(ゼロ)。TOP8の会社は、多くが50%越えの数字を示す(シノベイトなどは90%越え・・・)ことをあわせて考えると、いかに日本のリサーチ会社が、ドメスティックかということがわかります。
他の産業でもよくいわれていることでもありますが、日本の市場が半端に大きいために、ドメスティックでもそれなりの売上を上げることができてしまうので、たとえば携帯電話などで「ガラパゴス化」といわれるように、国際競争力のない状態に陥ってしまう。リサーチ業界も、同様なのでしょうか?・・・。

(世界の中での日本のリサーチの位置づけは、JMRAのHPでの資料でもいろいろ確認できます。とくに、↓の資料はなかなか興味深い点がいろいろあります。)

世界における日本のMarketing Researchの概況2008(JMRA:業界・海外動向)

■「内閣改造支持率の怪」

以前、このblogでも「まちまちな改造内閣支持率・・・」として紹介した8月の福田改造内閣支持率の結果について、調査の本質は操作主義という事例として取り上げていました。
各社の質問文を紹介していたのですが、どうも質問文に「改造」という言葉を入れている会社での支持率が高めという傾向があるようです。
調査タイミングの問題とあわせて考えると、内閣の顔ぶれ等を知らない回答者でも、「改造したんだ」という印象で支持率が高まる可能性はありますね。
ほんとに、調査は怖いということをあらためて感じます。

■アブダクション

まさか、「アブダクション」が出てくるとは思いませんでした。
個人的にも「アブダクション」は、これからのリサーチのキーワードになるのではないかと思っていたのですが、説明するのが難しい(つまり、完全な理解に至っていないということでもありますが・・・)ので、blogに取り上げずにきてました。しかし、田下社長も言及していたので、ここで少しだけ紹介を。
アブダクション(abduction または retroductionとも)は、演繹(Reduction)、帰納(Induction)と並ぶ科学論理的思考法のひとつとして、パースが唱えたものです。日本語では、「仮説的推論」と呼ばれることが多いようです。
アブダクションを紹介する人に共通する趣旨は、「演繹や帰納では創造的な仮説を作り出すことができない。現在のような時代にほんとうに必要なのは、アブダクションのような仮説を創造できる論理的思考だ。」というものです。

これ以上の説明は無理なので、興味のある方はこちら↓の本をどうぞ。(ただし、基本的に思想書に分類される本なので、なかなか・・・)

アブダクション―仮説と発見の論理 アブダクション―仮説と発見の論理
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2007-09-20

また、こちら↓の本でも、第5章の補論「知識デザインの実践:コンセプト・デザインにおける応用」の中でアブダクションを取り上げています。
(この本は、こんな中途半端な紹介ではなく、単独で取り上げたい本です。私が大学院で学んでいる先生の一人でもありますし・・・)

知識デザイン企業―ART COMPANY

知識デザイン企業―ART COMPANY
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2008-02

(※ちなみに、「アブダクション」には「拉致」という意味がありますので、googleなどで検索する場合は、この点を注意して検索してください。)

■データフュージョン

これも、注目していたワードのひとつでした。
再三このblogでも書いてきましたが、今は、さまざまな事実データが入手できる時代です。しかし事実のデータだけでは、事実の背景にある要因などをさらに分析するには難しいことが多い。そこで、リサーチデータとビジネス上で入手できるデータ(POS、FSP等)を融合=フュージョンさせることができると、有用だというものです。

こちら↓でも、同様の主張をされていますので、参考にしてください。
(ただし、論文要旨の紹介のみです。本文では方法まで論じているようですので、興味のある方は冊子を購入してみてください。)

データフュージョンの新展開(JMR生活総合研究所:J-marketing.net)

<掲載誌はこちら→ 『消費経済レビューVol.9』

以上、SPSSでの田下社長講演からインスパイアされた事どもを、徒然に書き留めてみました。。。
ここで、お願いです。
アブダクションやデータフュージョンについては、まだまだ理解を深めたいので、有用な情報源(HPや本など)をご存知の方、ぜひコメントにて教えてくださいm(_ _)m

商品開発@SNS事例

以前、「クラウドソーシング」についてのエントリーをしましたが、SNSを使った商品開発の事例をいくつかクリップしておきます。
今回カルピスの記事を見たのをきっかけに、過去のものをあらためて検索した結果ですので、少々古い事例ですが。。。

「クラウドソーシング」に関するエントリーは、こちらで↓。

次代MR?~1.クラウドソーシング

SNS利用の商品開発の事例は、こちら↓。

カルピス、mixi公認コミュニティで「フルーツカルピス」の新製品を開発(ITPro)

ニフティのSNSでコクヨの商品開発 ビジネスパーソンの声反映(ITmedia)

携帯SNSコミュニティによる消費者巻き込みマーケティングでの商品開発をトリンプが本格開始(Web担当者Forum)

mixiでアイデア募集したカップめん【開発者に直撃取材】(nikkei TRENDY net)

最後(4つめ)のは、エースコックの開発担当者のインタビューです。

これらの事例が、成功だったのかどうかがわからないのが、ジャーナルの欠点で・・・。

あくまで、メモですので、あしからず。。。

ニューロマーケティング(ふたたび)

ちょっと調べ物をしていたら、ニューロマーケティング関係の記事に遭遇、ついついニューロマーケティングでうろうろと。。。
せっかくなので、備忘録も兼ねて、検索結果を紹介します。
(前にも同じテーマでの投稿をしていますので、こちら↓もあわせてご覧ください。ちょうど1年くらい前になるんですね。)

「脳を直撃する広告?」(2007.10)

◆消費者研究の新しいアプローチ(読売ADレポート「ojo」)

きっかけになったのは、こちら↓のHP。

消費者研究が新しい局面を迎えている。一言で言えばそれは、消費者の無意識へのアプローチだ。人の無意識の反応を脳の活性化から見ていこうというニューロマーケティング、非合理的な人間の行動に法則を見いだしていく行動経済学、さらには進化論や消費文化の視点から消費行動を見直す動きも始まっている。「無意識のマーケティング」に踏み込んだ消費者研究の今を探った。
(「消費者研究の新しいアプローチ」/読売ADレポート「ojo」2008.7)

田中洋先生(法政から中央に移られたんですね・・・)、友野典男先生(「行動経済学」の著者)、四元正弘氏(電通)の3名がそれぞれインタビュー形式で、消費者研究の今を語っています。いずれも、なかなかおもしろい内容だと思います。

・消費者行動研究はどこまできているのか(田中洋)

・行動経済学は消費者をどうみているのか(友野典男)

・消費者の無意識にどう向き合うか(四元正弘)

◆blogや記事から

大学の先生や雑誌記事から、ニューロマーケティングに関係ありそうなところを。

まずは、こちら↓。今年の消費者行動研究学会(JACS)の統一論題が「ニューロマーケティング」だったんですが、そのことについて書かれた大学の先生のblogです。

JACS@ADK~ニューロ・マーケティングの可能性(Mizuno on Marketing)
ニューロマーケティングへの期待(Mizuno on Marketing)

つぎに、ニューロマーケティング事情を書いているblog。
脳の測定方法には何種類かあるらしいのですが、fMRIという機械は、1台約300万ドル、20~30人の解析に5万ドルかかると。。。(そういえば、学会でもそんなことを言っていたな。)
ただ、技術開発も進み、EEG(エレクトロセファログラム)という機種では、「数百人を解析しても、その何分の1かのコストですむ」らしい。

ニューロマーケティングは企業、広告業界の救世主となるのか~脳ビジネスの最先端事情~(MediaSabor)

そして、日経アソシエからのインタビュー記事。
ニューロマーケではなく、行動経済学の先生なのですが、関連ありそうなので。

脳と行動の関係を解明、より良い選択を目指す~行動経済学の最先端を切り開くコリン・カメレール教授に聞く~(NBonline)

最後に、ニュース記事から。アメリカの話なのですが、

急速拡大分野のニューロマーケティングで世界をリードするニューロフォーカス社は4日、ニューロイメージング(脳神経機能画像化)をマーケティング・ツールとして利用する「中核特許」を買収したと発表した。(共同通信PRワイヤー2008.9)

ということです。記事の中に、ザルトマン博士(「心脳マーケティング」著者)の名前も。
さらに、「ニールセン社はニューロフォーカスへの戦略的投資家である」との記述もあります。つまり、着々と調査メニューとしての実用化が進んでいるということですね。。。

◆企業HPから

ニューロマーケティングについて記述している(≒事業として提供している)企業のHPから。

まず、前回の投稿でもリンクを貼った、NTTデータ経営研究所(→HPはこちら)。
「経営研レポート」の中に、ニューロサイエンス系の記事が2本、掲載されています。

ニューロR&Dによる次世代商品開発戦略(NTTデータ経営研究所)

ニューロコンサルティングの時代(NTTデータ経営研究所)

とくに「ニューロR&D・・・」では、簡単ですが事例も紹介されています。

つぎは、上記JACSで論文発表をしていた、ニューロインサイトジャパン(→HPはこちら)。
「ニューロマーケティングを考える」というメニューに、コラムがありますので、こちらをどうぞ。

ニューロマーケティングを考える(ニューロインサイトジャパン)

そして、広告代理店からは博報堂。

博報堂ブレイン・ブリッジ・プログラムとは、脳科学・認知科学・心理学・社会学などの理論や技術を活用し、ビジネスにおいて柔軟に右脳と左脳の双方を効果的に活用するための博報堂オリジナル調査やワークショッププログラムの総称です。(「博報堂ブレイン・ブリッジ・プログラム」博報堂)

として、いくつかのメニューを紹介しています。この中には、「心脳マーケティング」のZMET調査も(博報堂は、日本での独占サプライヤーだったのですね。。。)

めぼしいものは以上で。
また1年後にでも、状況を確認するかもしれません・・・。

次代MR?~2.技術3題

前のエントリの「クラウド・ソーシング」は、「技術」というよりは、ビジネスモデルに近いものがあります。なので、ここでは純粋に「技術」に焦点をあてて、最近のジャーナルから気になったものをピックアップしてみました。
ただ、いずれも「技術」ですので、マーケティング・リサーチにどのように活用できるのかはこれからの話になります。とくに、プライバシーとの関わりで、かなり難しい問題を抱えているといえそうです。
このような問題もありますが、記憶に頼らない「リアルな行動データ」を収集できるという魅力をもった技術ですので、どなたか応用開発を。。。
(独白:きっとリサーチ業界ではないだろうな、このような応用開発ができるのは・・・)

■ビデオ監視技術

記事は、こちら↓。

インテリジェント化が進むビデオ監視技術――物体の検知・追跡・分類が可能に
(COMPUTERWORLD.jp)

犯罪防止やテロ対策に使われてきた技術ですね。これを、マーケティングに活用できるのではないかと。この記事では、つぎのような事例をあげています。

「監視技術の発達により、撮影中の場面をカメラ側で分析したり、動いている物体を数えたりする機能が向上している。小売店の場合は、人が多く集まる売り場がどこかを調べたり、販促策が新しい顧客を引きつけているかをチェックしたりするのに、監視技術を利用しているようだ」

確かに、このような技術とソフトがあれば、小売現場での観察ツールとして有効でしょう。
とくに、すでに監視ビデオを入れているところで、プラスαの機能として、このような解析ができるのであれば、リサーチに応用できる可能性は高くなりそうです。
(リサーチのためだけに、この機材とソフトを入れるのは難しい気がしますが。。。)

■RFID

記事は、こちら↓。

RFIDの技術動向と自社導入のポイント(COMPUTERWORLD.jp)

RFID自体は、ずいぶん前からあちこちで注目されながら、いまひとつブレイクしていないですね。そのあたりの背景もおさえながら、今一度、RFIDについて整理を。
中でも、つぎのユースケースがリサーチに活用できそうに思うのですが。

ユースケース9:位置検知
 アクティブ・タグを利用して、受信したアンテナの位置や電波強度から対象のアクティブ・タグのある位置を特定するユースケースである。人だけでなく商品や部品の位置管理などにも利用されている。

人の追跡に使えることはもちろんですが、商品の移動の検知はどうなのでしょう。
たとえば、レジを通る商品はPOSでわかります。それ以外にも、手に取られた=動いた、あるいはずっと棚に置かれたまま=動いていない、というような情報が取れるとマーケティング的には有用なようにも思うのですが。
(この技術については、すでに研究を行なっている会社もありそうです・・・)

■地理空間情報サービス

記事は、こちら↓。

抜群マーケティングで、モノが売れる時代に?(NBonline)

GPSとか、WiMAX技術を使った個人の位置情報の活用です。
(タイトルの「抜群」の意味がよくわからない。。。ピンポイントで個人を押さえることを、このように表現しているのだろうか?)

記事では、つぎのように書いています。

IT(情報技術)の発展で、GPS(全地球測位システム)や携帯電話などで人の位置を把握しやすくなった。今後の実用化が見込まれる無線通信技術「WiMAX(ワイマックス)」など、位置を特定できるデバイスはさらなる普及が見込まれる。こうした人の移動履歴と、どこで何を購入したかなどの行動履歴を分析することで、消費者の購買パターンを浮かび上がらせることができる。企業はそれを活用して、より効果的なネット広告の展開やマーケティング精度の向上など、新たなビジネス機会の創出が期待できるというわけだ。

携帯のGPSシステムについては、個人的にはずいぶん前から注目してました。さすがに、小売店内での導線調査には使えないでしょうが、もう少し広いエリアでの導線なら押さえられるのではないかと。。。
(たとえば、自動車。実際に、どれだけの範囲を移動しているのかとか、どこに行っているのかとか、そのようなことが押さえられそうだなと。)
WiMAXがどの程度ピンポイントでおさえられるのか定かではないのですが、店舗内での導線も押さえられるのか?(店舗内導線なら、RFIDを使えばできそうですけど。)
それと、「どこで」はわかるにしても、どうやって「何を購入した」までわかるのだろう?、という疑問も。。。

で、↓の記事とリリース。
これは、もしかしたらこの技術を応用したものなのでしょうか?
いずれにしても、またインテージ。。。

京都産業21など、海外客の動向を無線調査-観光活性化策に反映(日刊工業新聞)

京都ユビキタス特区コンソーシアム事業にインテージが参加(インテージ)

○最後に・・・

以上、ジャーナルから気になる技術を3題ご紹介しました。

が・・・。
最初にも書いたように、これらはあくまでも「技術」にすぎません。また、おそらく今の時点では、応用開発が実現したとしてもコスト的に見合うかどうかという問題も出てくると思います。

自分でふっておいてなんですが、↓の意見は実務家として肯んずること、多ですね。
(他のエントリーも、小売マーケティングについて、含蓄のあるよいコラムだと思いますので、あわせて読んでみてください)

需要再燃の一方で、知見・経験が薄れている店頭調査
(RetailTechnology:《連載》祝 辰也の「徒然マーケティング考」第6回)

具体的には、このようなことを書いていらっしゃいます。

もうひとつ店頭調査関連で最近気になるのが「ハイテク客動線調査」である。筆者に店頭調査の経験が多少あるせいか、時おり「店内客動線調査」のための「ハイテク」な仕組みのご紹介をいただくことがある。防犯カメラの映像記録を高度な画像認識ソフトで解析したり、買い物カートやカゴに仕掛けをして店内での移動軌跡をデータとして収集できる仕組みなどで、小売の協力で実際の店舗での実験結果を含めて紹介いただいたりする。それぞれスゴイ仕組みなのだが、技術先行で誰が何のために客動線調査を行うのかという視点・発想に欠けるため、コスト、詳細さの点でビジネス・ベースではまだ難しいと私自身は評価している。

「何ができるか」も、もちろん大切かもしれないですが、もっと大切なのは「誰が、何のために」行うかということ。ハイテク系の応用開発をしていると、忘れがちな視点です。

このような視点を大切にしながらも、新たな技術を応用したリサーチ技術の開発が必要な時代ではないか、とも思います。
次代のマーケティング・リサーチ、果たしてどのような技術が現実になっているのか。
(そして、その時のプレイヤーは誰???)

次代MR?~1.クラウドソーシング

北京五輪は昨日ですっかり終わり、テレビも通常プログラムに戻っています。
いろいろな競技を見て、スポーツは組織論やHRM、さらには経営戦略(環境適応の問題、競争フレームの問題等)について考えるいい素材になると思いました。とくに、男子サッカーと野球、そして男子柔道あたりは、このような切り口で整理をすると、わりといろいろな課題が見えてくるような気がします。(とはいえ、ここでは触れません。下手なことを書くと、炎上しそうなので^^;)

閑話休題。

マーケティング・リサーチも「環境変化」の大きな波にさらされています。
ほんの一昔前(ここ10年くらい)までは、マーケティング・リサーチといえば調査員さんと調査票を使ったサーベイか、インタビューで行うことが相場でした。
しかし、みなさんご存知のとおり、データ収集という面では、「ネットリサーチ」という大波が押し寄せ、POSデータや、FSPによる個人購買履歴情報を収集できるようになりました。データ解析の面では、PCがどんどん大容量・高速化することで、誰でも、どこでも集計・解析を実施することができるようになりました。データマイニングでも、テキストマイニングでも、高度な多変量解析でも、いまではすぐに実施することができます。(「実施できる」と「使いこなせる」は、別ですが・・・)

さらに、このblogでも過去に取り上げてきた、アイトラッキング、ニューロマーケティング、blog解析、予測市場など、新たな技術を駆使したデータ収集・解析手法が開発、実用化されています。(これらについては、以下のエントリーを参照ください)

いずれも、これまでのマーケティング・リサーチというフレームでは、捉えられない事例です。しかし、データを収集し分析するというマーケティング・リサーチの目的には、明らかに適う手法です。このような、新たなリサーチに結び付く技術は、まだまだあります。

今日は、これらをご紹介してみようと思います(2本のエントリーに分けます)。

■クラウドソーシング?

2008/8/22の日経MJの1面は、『SNSが知恵袋』として、SNSを商品開発に活用した事例を取り上げています。これまでのように、調査票やインタビューで消費者の意見を聞くのではなく、SNSという仕組みを使って、アイデアを募集、ブラッシュアップしていこうというものです。
また、日経情報ストラテジーの6月号でも『SNSを活用した顧客参加型商品開発』として、5ページの記事があります。こちらの方がより具体的で、この手法を運用する上での課題をあげています。

「SNSを活用した商品開発」とは何かというと、「顧客と直接コミュニケーションを取りながら顧客視点のアイデアを吸い上げて新商品を開発する(日経情報ストラテジー)」ことです。
メリットは、リアルタイムで継続的に意見のやり取りをすることで、消費者と一緒に開発の方向性を修正していくことが可能、ということ。また、今はまだこのような事例が少ないので、参加者が「自分が開発に参加した商品」という意識が高く、開発と同時に(バズによる)販促効果も見込めるというメリットもあるようです。
デメリットとしては、時間がかかるということがあげられています(これは本当?、とも思いますが・・・)。あとは、SNSの運営ノウハウと、収集した情報をどのように解釈するのかという問題。これは、従来のリサーチにも通じる課題でしょう。日経MJでは、つぎのように書いています。「SNSで集まった案を商品に実際どこまで反映するかも案外難しい。消費者の声を忠実に再現するのが簡単だが、平均的で無難な商品に落ち着く恐れもあるからだ。」

さて・・・。
最近、「クラウドソーシング」という言葉が目に付くようになったのですが、このSNSを活用した商品開発も、このクラウドソーシングの一種といえるのかもしれません。
(ちなみに、「クラウドコンピューティング」と、この「クラウドソーシング」の「クラウド」は別の言葉です。前者は、「cloud(雲)」で、後者は「crowd(群集)」です。お間違えなきよう。)

もっと、クラウドソーシングについて知りたい方は、↓の記事をどうぞ。

ビジネス革新に貢献してくれる“社外の人々”――「クラウドソーシング」の可能性
(COMPUTERWORLD.jp)

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