北京五輪は昨日ですっかり終わり、テレビも通常プログラムに戻っています。
いろいろな競技を見て、スポーツは組織論やHRM、さらには経営戦略(環境適応の問題、競争フレームの問題等)について考えるいい素材になると思いました。とくに、男子サッカーと野球、そして男子柔道あたりは、このような切り口で整理をすると、わりといろいろな課題が見えてくるような気がします。(とはいえ、ここでは触れません。下手なことを書くと、炎上しそうなので^^;)
閑話休題。
マーケティング・リサーチも「環境変化」の大きな波にさらされています。
ほんの一昔前(ここ10年くらい)までは、マーケティング・リサーチといえば調査員さんと調査票を使ったサーベイか、インタビューで行うことが相場でした。
しかし、みなさんご存知のとおり、データ収集という面では、「ネットリサーチ」という大波が押し寄せ、POSデータや、FSPによる個人購買履歴情報を収集できるようになりました。データ解析の面では、PCがどんどん大容量・高速化することで、誰でも、どこでも集計・解析を実施することができるようになりました。データマイニングでも、テキストマイニングでも、高度な多変量解析でも、いまではすぐに実施することができます。(「実施できる」と「使いこなせる」は、別ですが・・・)
さらに、このblogでも過去に取り上げてきた、アイトラッキング、ニューロマーケティング、blog解析、予測市場など、新たな技術を駆使したデータ収集・解析手法が開発、実用化されています。(これらについては、以下のエントリーを参照ください)
いずれも、これまでのマーケティング・リサーチというフレームでは、捉えられない事例です。しかし、データを収集し分析するというマーケティング・リサーチの目的には、明らかに適う手法です。このような、新たなリサーチに結び付く技術は、まだまだあります。
今日は、これらをご紹介してみようと思います(2本のエントリーに分けます)。
■クラウドソーシング?
2008/8/22の日経MJの1面は、『SNSが知恵袋』として、SNSを商品開発に活用した事例を取り上げています。これまでのように、調査票やインタビューで消費者の意見を聞くのではなく、SNSという仕組みを使って、アイデアを募集、ブラッシュアップしていこうというものです。
また、日経情報ストラテジーの6月号でも『SNSを活用した顧客参加型商品開発』として、5ページの記事があります。こちらの方がより具体的で、この手法を運用する上での課題をあげています。
「SNSを活用した商品開発」とは何かというと、「顧客と直接コミュニケーションを取りながら顧客視点のアイデアを吸い上げて新商品を開発する(日経情報ストラテジー)」ことです。
メリットは、リアルタイムで継続的に意見のやり取りをすることで、消費者と一緒に開発の方向性を修正していくことが可能、ということ。また、今はまだこのような事例が少ないので、参加者が「自分が開発に参加した商品」という意識が高く、開発と同時に(バズによる)販促効果も見込めるというメリットもあるようです。
デメリットとしては、時間がかかるということがあげられています(これは本当?、とも思いますが・・・)。あとは、SNSの運営ノウハウと、収集した情報をどのように解釈するのかという問題。これは、従来のリサーチにも通じる課題でしょう。日経MJでは、つぎのように書いています。「SNSで集まった案を商品に実際どこまで反映するかも案外難しい。消費者の声を忠実に再現するのが簡単だが、平均的で無難な商品に落ち着く恐れもあるからだ。」
さて・・・。
最近、「クラウドソーシング」という言葉が目に付くようになったのですが、このSNSを活用した商品開発も、このクラウドソーシングの一種といえるのかもしれません。
(ちなみに、「クラウドコンピューティング」と、この「クラウドソーシング」の「クラウド」は別の言葉です。前者は、「cloud(雲)」で、後者は「crowd(群集)」です。お間違えなきよう。)
もっと、クラウドソーシングについて知りたい方は、↓の記事をどうぞ。
さらに、さらに学びたい方は、つぎのあたりの本を読んでみてください。
■対談で、日本の状況把握をさらっと
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■これもクラウドソーシング、だよね?・・・
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■さらに、学術的な視点からも究めたい方には
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