日経ビジネスONLINEで、ニューロマーケティングについての連載が始まっています。
(おそらく閲覧には会員登録が必要だと思いますが、登録しても損はないと思います。)
連載はまだまだ続くようですが、ニューロマーケティングについての包括的な理解ができる内容になりそうですので、ご紹介しておくことにします。
これまでに、3回の連載が終了していおり、そのタイトルはつぎのような内容。
(2009.3.3追記:その後の連載タイトルを更新しています)
第3回で紹介されているのが、↓の本。
買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界 価格:¥ 1,785(税込) 発売日:2008-11-21 |
この本、たしかにおもしろい。おもしろいけど・・・、少しエキセントリックだな、というのが正直な感想でした。(なので、単独エントリーとしては紹介しなかったのですが。)
そしてこの本、とても気になる記述もすくなからずあり。このあたりを、以下で。
◆ニューロマーケティング、確かにおもしろいけど。。。
このblogで、「エスノグラフィ」と並ぶ注目コンテンツが、この「ニューロマーケティング」です。
これまでも、以下のようなエントリーで紹介しています。
リサーチにはこのような限界がありますよ、脳科学の世界をのぞくとこんなこともいわれてますよ、人ってほんと複雑ですね、すでにこんなことまでできるようになってますよ、などなどのことをお伝えしたいと思ってのエントリーです。
ただし・・・
このようなエントリーを再三アップしていながらも、少し気になっていることもあり。。。
なので、ここでひとつ、お断りしておきたいことがあります。
それは、これら「エスノグラフィ」や「ニューロマーケティング」を、無条件に、手放しで紹介しているわけではないということです。
「従来のリサーチはもう終わった、これからは新しい手法じゃないと!」などということを言っているわけではないということです。
この点は、了解いただきたいなと思ってます。
たとえば、上↑で紹介した本にも、つぎのような記述があります。
私が言いたいのは、炭酸飲料であれ、タバコであれ、テレビゲームであれ、この世のありとあらゆる商品について、会社は消費者の反応を痛ましいほど予測できていないということだ。本書でずっと述べているように、私たちの言葉と行動は一致しない。したがって、市場調査は信頼性が低く、ときには会社をひどく間違った方向に導いたり、さらには商品をぶち壊しにしたりしてしまうことさえあるのだ。(p.210)
アンケート、サーベイ、フォーカス・グループといった従来の市場調査の役割はどんどん小さくなり、ニューロマーケティングが商品の成功と失敗を予知するための主要なツールになっていくだろう。(p.219)
この本に限らず、このようなニュアンスの記述は、散見されます。
確かに、これまでのリサーチにはさまざまな限界がありますし、実施環境もかなり厳しくなってきています。そして、新たな科学の進歩で、いろいろな測定方法やデータの収集手段の可能性も広がっています。
けれど、だからといって、「これからのリサーチは、ニューロだ!」というのも行き過ぎでしょう。これまでの(定量含む)手法も、使い方をきちんと考えれば、まだまだ有効だと思うのです。逆にみると、きちんと使いきれていないと思うのです。
なので、新しい手法について、「こういう考え方や手法があるのだな」という理解をしておくことは、とても大切なことだとは思うのですが、安直にこれまでのリサーチを否定することがないようにしていただければと思います。
(もしかしたら、こちらの疑心暗鬼かもしれませんが、念のため。。。)
ちょっと専門的&難しいと感じるかもしれませんが、ニューロマーケティングに関しては、
というblogでの以下のエントリーもあわせて読んでおくといいと思います。
現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまでわかるのか(6回シリーズ)
→最終回のまとめは、こちら↓現在の脳科学、脳神経科学で脳の活動はどこまでわかるのか(最終回)、、、および現在のニューロマーケティングについての個人的所見
このblogでは、他にもつぎのようなエントリーもおもしろいです。
脳は「市場」をどう感じるか (4回シリーズ)
知覚のポイントからみた商品、サービスの打ち出し原則 (5回シリーズ)
(つまり、いいたいことは、「視野は広く」です。ひとつの考え方に凝り固まることなく、いろいろな考え方を知っておけば、視野は広くなります。そして、このblogが視野を広くもつ一助になればいいなと思っています。)