日別アーカイブ: 2007-01-10

「NO1」が、そんなにいいのか?・・・

広告βさんは、最近のCMについて、つぎのように書いています。

ほとんどのTVCMが説明口調なんですよ。商品の説明をずっとしてる。つまんない。
なんか最近、その傾向がどんどん増しているように感じます。
(『宣伝部はナンパの厳しさを知っているか』)

ここでいう説明口調のCMには含まれないかもしれないし、もしかしたら広告βさんの趣旨に反するのかもしれませんが、最近のCMでとても気になることがあります。

それは、「○○調査で一番になりました」「みんなに支持されています」というニュアンスのCMの多さです。
以前から、某通販化粧品会社はこの「NO1」訴求を行っていて、そのときからかなり違和感を感じていたのですが、最近、とみにこの手法を使うCMが増えてきている気がしてなりません。

広告βさんのナンパの比喩にたとえるなら、

「俺って、みんなの人気者なんだよね。一度、つきあってみない?」

って言っているようなものですよね?
こんな口説き文句で付き合う人がいるのか・・・?
そもそも、「みんな」って誰だよ!、どうやって調べんたんだよ!って突っ込みたくなります。小さい子供に、「みんなが持ってるから、あなたもこれにしなさい!」と言う論理と、まったく代わらないのではないかと思ってしまいます。
消費者は、そんなに分別がないのですか?

「NO1」CMに違和感を感じる要因は、3つあります。

まず、「消費者は、みんなが買っているといえば、買うんだよ。どうせ、商品の良しあしなんてわからないんだから」というように言われている気がするのです。
自分の商品に自信がないからなのか、ほんとうに消費者をバカにしているのかわかりませんが、このようなコミュニケーションが相手に伝わるとは思えません。
(でも、効果があるから広告代理店も、このようなCMを作るのかもしれませんが・・・)

ふたつめは、テレビCMで行うことについての違和感です。
商品を検討している人が、自分の意志でランキングや調査結果を参考にするというのはいいことだと思います。しかし、企業自らがランキング一位だということを、それも情報の根拠を確認する術のないテレビCMで喧伝するというのは、どうなんだろう?ということです。
テレビCMでデータの背景を説明することは、まず無理でしょう。ということは、あまりにも無責任ではないか?と思います。

そして、調査をこのように使うことについての違和感が3つめです。
これは、なにもCMでの取り上げ方に限ったことではなく、世にあふれる「調査結果」というもの全般にも感じることなのですが。
数字は一人歩きします。しかし、その数字の根拠=誰に聞いたのか、どのように聞いたのかを確認する術を提示することなく、数字のみを発表するというのは、自覚的にであれ、非自覚的にであれ、かなり罪が重い行為だと思うのです。
極論すれば、調査結果なんて、自分の都合のよいように操作することはできるからです。
このようなCMを見た人が「ほんとかな?、自分の感じじゃそんなことないけどな?」と思えば、やっぱり調査なんてあてにならないな・・・、ということに繋がるんじゃないかと危惧もします。

「なにも、そんなに肩肘張って言うことでもないんじゃないの?」という意見もあると思います。「しょせん、CMなんてそんなもんでしょ?」というように思っておけばいいのかもしれません。
でも、こんなんでは、広告βさんが言うように、やっぱり「つまらない」。
そして、調査にとっても、CMにとっても、さらにいえばマーケティングも、消費者に見向きもされなくなるんではないかと思うのです。

みなさんが、「そんなCMは、気にしてないよ」と言ってくれれば、それでいいのかもしれませんが・・・。
(だとしたら、なおさら、こんなCMはなくなってほしい。もっと、面白いCMが増えて欲しいとも思うんですけど・・・。)