日別アーカイブ: 2007-01-12

調査(リサーチ)は使えない?

owl 2007年も、10日以上経ってしまったね。。。
寺子屋を再開します!

Q子 やっとですね^^

owl うん・・・。なかなか、まとまらなくて・・・。
でも、考えるより走り出した方がいいかなと思うから、再開することにした。

P夫 マーケティング・リサーチの具体的な話に入っていくんですよね?最初のテーマは何ですか?

owl 最初は、テクニックの話ではなく、概論的なところから始めようと思うんだ。
概論といっても、マーケティング・リサーチとは何ぞやといった教科書的なことではなくて、
マーケティング・リサーチ、市場調査を行う上で、はずして欲しくないと思っている視点がいくつかあるから、まず、そのことを理解しておいてもらおうと思う。
テクニックを覚えるよりも先に、このことを理解しておく方が、P夫君のようなリサーチユーザーにとっては大切だと思うから。
で、今日のテーマは、「マーケティング・リサーチ、市場調査は役に立つのか?」

Q子 え?役に立つんですよね?だから、みんなやっているんじゃないんですか?

owl P夫君はどう思う?

P夫 そうですね・・・。正直なところ、よくわからないというのが本音です。自分が、マーケティング・リサーチのことをよく理解していないからだとも思うんですが。。。
実は以前、商品開発では調査をしてもアイデアを得ることはできない、みたいな記事を見たことがあって、確かに、調査をしても商品開発に役立たないというか、結果がはっきりしないというか、そんなことを感じるときもあります。
(記事の詳細はこちら→「新商品開発にアンケートは役立たない」日経BP社ITPro)

owl あぁ、この記事をきっかけに、あるMLでは「調査は役に立つのか」論争になったことがあるね。

Q子 そうなんですか?ほんとに、アンケートではアイデアを得ることができないんですか?

owl それは、断じて違うと言いたい。
まず、この記事の前提にあるように、「アンケート」で「次は何がほしいですか?」と聞いたところで、まともな答えが返ってくるはずがない。けど、これは何も今にはじまったことではなく、以前から同じだと思うけどね。もしも、こんな馬鹿げた質問をほんとうにしているんだとしたら、その会社にはまともなリサーチャーはいないということだよ。
ただ、この記事にもあるように、「顧客にニーズがなくなったわけではない。自分で自分のニーズに気づかなくなってきただけ」という面は確かにあると思うし、この傾向はどんどん強まっている。商品はどんどん高度化・細分化されているし、技術もどんどん進化&深化しているんだから、専門家でもない消費者に、どんな商品がほしいですかと聞いて答えられるはずがない。答えたとしても、すでにあるものだったり、まだ技術的に難しいものだったりするだろうね。

Q子 確かに、何がほしいと聞かれても、答えられないな・・・。カルティエの時計が欲しいとか、ヴィトンの新しいバッグがほしいとかは、答えられるけど^^;
でも、たとえばWiiがでると、「これよ!私が欲しかったのは!」って思うし、売れているっていうことは、多くの人がそう思っているっていうことですよね?

owl そうだね。けど、何がほしいかと聞かれて、Wiiのようなゲーム機が欲しいとは発想できないでしょ?任天堂が、Wiiの開発のときにリサーチをしているかどうかは知らないけど、たぶん「次にどんなゲーム機が欲しいですか?」なんてことは聞いていないと思うよ。
ただ、PS3やX-boxとのマーケティングの違いを見ると、きっと、きちんとした調査はやっているんじゃないかと感じるんだ。PS3は、よくも悪くもソニー的で、マーケティングでも技術偏重的な側面が感じられる。こんなにすごいんです、だからこの価格でもお得なんです、って。
けど、Wiiは、みんなで遊べるんですよ、体を使って楽しめるんですよ、価格もがんばりました、って感じでしょ?けれど、機能的にはWEBにも接続できてインターネットもできるらしいし、ゲーム機以外の機能も結構なものがあるみたいなんだ、持っていないからよくわからないけど(欲しい・・・)。
きっと、Wiiのどんなメリットを訴求すると消費者に「あ!これ!」って思ってもらえるか、この値段だったら買ってもいいなと思ってもらえるかを、リサーチしていると思うんだけどね。もしも、やっていなかったとしたら、プロマネはすごい人だと思う・・・。

P夫 Wiiみたいな、ある種耐久消費財みたいなものだったら、開発にそれなりのお金や時間もかけられると思うから、リサーチも使いようがあると思うんですよ。でも、食べ物とか、家庭用品とか、FMCGと言われる商品だと、ほんとに差別化は難しいですよね。それでも、リサーチって意味があるんですか?

owl そうだね。でも、実際にリサーチを多く行っている業界は、FMCGを扱っている業界だったでしょ?食品とか化粧品・家庭用品とか。ただ、これまでの方法ではなかなか通用しなくなって、新しい方法を模索している面は確かにあると思うけどね。

P夫 それと、調査で購入意向って聞くじゃないですか。あの数字、ほんとに信じていいんですか?よく、調査して購入意向が高かったのに、実際はそれほど売れなかったという話も聞きますけど。。。

owl それは、データをどう読むか、どうマーケティングに活かしていくかの問題だね。購入意向の聞き方にも問題があるのかもしれないけど。たとえば、新しい飲み物の説明が書いてあって、あなたはこの飲み物を買ってみたいですか?と聞かれたら、Q子さんなら、どう答えると思う?

Q子 う~ん・・・、具体的な商品を見せてもらわないとわからないけど、お茶だったらとりあえず買ってみたいって答えるかな・・・。

owl そうだよね。これまでとは違う新しそうな商品で、とりたてて欠点がなさそうに見えるものだったら、だいたいの人は「買ってみたい」って答えると思うんだ。
でも、だからと言って本当に買うかどうかは、なんとも言えない。たとえば、どれくらいお茶が好きな人なのか、いま飲んでいる商品にどれくらいの愛着をもっているのか、新商品にスイッチしてもいいと思っているのか、というようなことまで含めて考えないと、正しい結論はだせないと思うんだ。

P夫 う~ん。。。そんなに考えないと、いい調査ってできないんですか?

owl そう思う。安易に調査をやって、「調査しなくてもわかっていることばかりだ」とか、「調査をしても答えが得られない」とか、「調査の結果なんてあてにならない」とか、そんな議論をされるのは、とても腹立たしい(-"-)

Q子 そんなに、怒らないでください^^;
じゃあ、いい調査をするためには、どんな勉強をすればいいんですか?

owl まずは、目的にあわせて、リサーチを使い分けることだろうね。それと、はずしてはいけないポイントを常に頭の中においてデータをみること、リサーチの限界を認識することかな。
次回からは、このあたりを勉強するね。

Q子 は~い。

P夫 ちょっと、気が重くなってきた・・・。