日別アーカイブ: 2007年1月19日

調査の目的とタイプ?

Q子 今日のテーマはなんですか?^^

owl 調査・リサーチの分類について。とくに、リサーチテーマの視点からみた分類。
前回、「目的にあわせてリサーチをしないといけない」といったよね、そのことについて。
さてP夫君、調査・リサーチって、どのように分類できると思う?

P夫 ネット調査とか、グルインとか、CLTとか、そういうことですか?

owl 確かに、それも調査・リサーチの分類方法のひとつだよね。
では、質問を換えてみるよ。調査・リサーチするとき、どんな目的ですることがあるかな?
商品開発とか、消費者調査とかじゃなくて、大きな括りで考えると。

P夫 え・・・。う~ん・・・。定量調査と定性調査?

owl それも、違うな。では答え。
マーケティング・リサーチの教科書的な本でよくあるのは、

・探索的リサーチ
・記述的リサーチ
・因果的リサーチ

の3つの分類方法だね。前に紹介した「マーケティング・リサーチの理論と実際」でもこの分類方法を使って章立てしている。
でも、正直なところ、私にはこの分類はいまひとつぴんと来ない感じがあるんだよね。。。

Q子 どんなところですか?確かに、名前だけみてもよくわかりませんけど・・・。

owl なんと言ったらいいかな・・・。まず、記述的リサーチがよくわからない。
説明をみると、『検証的なリサーチのひとつ。何らかのもの-通常、市場の特徴や機能-を記述することが主な目的である』(「マーケティング・リサーチの理論と実際」)とあるんだけど、わかったような、わからないような。まず、どうしてこれが「検証的」なのかがわからないんだよね。それと、記述するって何?どういうこと?って感じ。
で、因果的リサーチ。これは、『検証的リサーチのひとつ。因果関係の証拠を得ることが主な目的である』(「マーケティング・リサーチの理論と実際」)とあるんだけど、因果関係といわれると仮定が強すぎるように感じて、しっくりこない。

P夫 そういわれるとそうですね・・・。そもそも、因果関係とはなんぞやというところから勉強しないと、なんともいえませんけど^^;

owl そこで、自分なりの分類をしてみたんだ。

・実態把握型
・仮説探索型
・仮説検証型

の3つ。

P夫 言葉としては、なんとなくイメージしやすくなったかも。。。
実態を把握する、仮説を探す、仮説を検証する、ということですよね。なんとなく、リサーチのフローにも合っているような気がするし。

owl そう言ってくれるとうれしい^^

Q子 で、それぞれは、どのような調査・リサーチになるんですか?

owl うん、比較的、読んで字の如しではあるけど。

まず、「実態把握型リサーチ」。
これは、さっきの分類でいうと記述型に近い。いまの市場がどうなっているのか、消費者がどうなっているのか、自社のブランドや商品はどうなっているのか、競合との比較ではどうなのか、といったように、とにかく実態を把握しようというタイプのリサーチ。比較的、広く浅く、実態をみてみようという感じかな。何を始めるにしても、まず、実態がわからないと、何から手をつけるべきかわからないからね。
調査手法としては、やはり定量調査で、きちんと数字で押さえることが必要になるね。
いろいろな調査会社やシンクタンクで販売しているデータも、基本的にはこのタイプに分類されると思う。

P夫 うちでは、あまりやっていないかな・・・。あ、商品開発の前なんかにやっているかな。それと、商品を販売した後や広告を出した後で認知率を調べたりしてる。これなんかも、そうですよね?

owl そうだね。確かに、実態把握型だと思う。
けど、必要に迫られて、その都度やっているんでしょ?それでは、せっかくの実態把握型調査も、威力半減になるような気はするけどね。。。

P夫 なんでですか?

owl 実態把握型の調査・リサーチは、定期的に継続して行ってこそ、意味があると思うんだ。このあたりは、また日をあらためて説明するけど、どうしてだか考えておいてね。

つぎに、「仮説探索型リサーチ」。
これは、あるテーマに対しての仮説を開発したり、消費者の本質・インサイトを発見したりというタイプのリサーチ。やっぱり、実態の把握ではあるんだけど、実態把握型よりはテーマを絞り込んだ深いリサーチ、いわゆる洞察を得るためのものと言ったらいいかな。
調査手法としては、インタビューとか、自由回答中心のアンケートとか定性的調査が多くなるよね。ひとつのテーマに対して、深く探ることが必要だし、数字的な確証はまだ必要ないから。それと、オープンデータ(二次データ)分析や専門家に対するヒアリングなんかも、手法としては有効だろうね。

最後に、「仮説検証型リサーチ」。
これは、実態把握型リサーチや仮説探索型のリサーチで得られた洞察に基づいて考えられた仮説について、ほんとうに消費者の支持が得られるのかどうかを検証するための調査・リサーチ。「因果」というほど強い仮定を前提とせずに、とにかく次のステップへ移る前に、いまの段階でチェックをしておこう、というのも含める。コンセプトチェック、プロダクトチェック、パッケージチェック、ネーミングチェック、広告表現チェックといろいろあるよね。
また、狭い意味では、さっきの分類にあった「因果関係」を検証するのもこのタイプと思っていい。
調査手法としては、やっぱり数字的な裏づけが欲しいわけだから、定量調査になる。それも、ある意味、実験的な側面が強くなるから、課題に対する影響要因をコントロールできるような手法が必要になるよね。

Q子 実験的って・・・?

owl それも、日をあらためて。ここで話し始めると、長くなっちゃうから。

P夫 あの・・・。
この、調査・リサーチの分類を知っておくことが、なんで必要なんですか?別に、CLTの注意点とか、それぞれの調査手法別に理解しておけばいいことのような気もするんですが・・・。

owl 確かに、この3つの分類を記述していないマーケティング・リサーチの本も少なくないと思う。でも、

”今回の調査は、どのような目的で行うのか、結果はどう使うのか。そのためには、どんなタイプの調査が必要か。その方法は。”

ということを意識しておくことは大切なことだと思うんだ。そうでないと、実態把握型のリサーチをしているはずなのに代表性をまったく無視したり、仮説探索型のリサーチをしているはずなのにサンプル数に拘ったり、仮説検証型のリサーチをしているはずなのに、要因のコントロールについて全然考えていなかったりということが起こるからね。

P夫 確かに、そうかもしれませんね・・・。グルインって、いろいろな仮説を出すためにやっているはずなのに、%の数字を求められたりすることもあったりしますからね。

owl グルインが仮説探索型と決め付けるのもどうかと思うけど、まあいいや。
もうひとつ、一般的には、実態把握→仮説探索→仮説検証→(上市)→実態把握という繰り返しになっているということも覚えておくといいよ。
実態把握型の調査を継続して市場変化の萌芽をみつける→なぜそうなのかを探索する→仮説をつくる→検証してみる→商品として販売する→計画どおりになっているかどうかを把握するというサイクルだよね。
別に、商品だけでなく、広告やお店の出店とかでも、同じだけどね。
これを、昔からきちんとやっているといわれているのが花王だよね。
それと、この前紹介した本にある『からだ巡茶』『伊右衛門』の事例をみても、このサイクルがきちんと行われていることはわかると思うよ。

Q子 3つの調査・リサーチは、この順番で行えばいいんですね?

owl 「一般的に」と言ったでしょ?
市場について十分に把握しているなら、実態把握や仮説探索はいらないかもしれないし、仮説検証で得られた結果について理解できないような時は、もう一度仮説探索型の調査をやるかもしれないからね。
よく、グループインタビューで仮説をつくってから質問紙調査といわれるけど、質問紙調査をしたけど結果の解釈が難しいと思ったら、そこで探索型のグルインを行うというのも、結構有効な方法だと思うし。少なくとも、勝手な事後解釈をするよりはいいよね。
では、今日のまとめ。Q子さん。

Q子 調査・リサーチには、目的にあわせて、「実態把握型・仮説探索型・仮説検証型」の3つのタイプがある。
調査・リサーチを行う場合は、どのような目的で行うのか、結果をどう使うのかをまず考え、どのタイプの調査・リサーチなのかを決めること。

owl OK!では、次回からはこの3つのタイプについて、もう少し詳しくみていこう。