日別アーカイブ: 2006年11月19日

「マーケティング・リサーチはこう使え!」

マーケティング・リサーチはこう使え! マーケティング・リサーチはこう使え!
価格:¥ 1,785(税込)
発売日:2006-11-09

この本を見つけた最初の感想・・・、「しまった!先を越された!」です。。。
それも、知っている方の本だったりするので、なおさら・・・。

「インターネット調査の功罪」「現状仮説と戦略仮説」「あらかじめ調査の限界を知っておく」「結果をどう読んで、どう判断するかが最も大事」などなど、これからこのブログでお話をしようと思っていること(さらには、出版化の野望も・・・)を、先んじられてしまいました。
仕方がありません、ビジネスは機を制することが肝要ですから、こちらがもたもたしていたのがいけないのだと反省しつつ、この本を紹介します。
とはいえ、この本を読んだからといって、もうこのブログは必要ないやと思わないでください、さらに深い内容で、皆さんにご提供していこうと思いますので。

さて、本の内容です。
「はじめに」から紹介するのが一番わかりやすいと思いますので、その部分を引用します。

この本では、「マーケティング・リサーチ」を自分のビジネスの中で活用していこうと考えている方々の、「これが本当に最良な調査の方法なのか」「調査結果はどこまで信じてよいのか」「結果をもっと上手く活かすにはどうしたらよいのか」といった疑問に対し、
・ビジネスのいろいろな局面で、調査をどのように使えば仕事がうまく進められるのか
・調査結果を使いこなす立場から見て「良い調査」とは何なのか
・その際に調査の依頼者としてどのようなことに留意すれば失敗しないですむのか
という視点から具体的に答えていきます。
調査を調査会社任せにせず、自分でコントロールできるようになることで、調査をもっと身近で有用なものとして欲しいと思います。

語り口もやわらかく、豊富な事例で話を進めていますので、とても理解しやすいと思います。マーケティング・リサーチって役に立つの?と考えている、あるいは、もっとマーケティング・リサーチを有効に使いたいと考えている実務家の方、お勧めです。

PS.私信です。
菅野さんが、このような本を出そうと考えられていたとは・・・。
でも、リサーチについて考えていること、想いの方向が同じだということを確認させていただき、自信にもなりますし、うれしく思います。
どれだけ貢献できるかわかりませんが、この著書が少しでも多くの人に読んでいただくことの一助となれば幸いです。
機会があれば、またお仕事をご一緒させてください。




「マーケティング・リサーチの論理と技法」

マーケティングリサーチの論理と技法 マーケティングリサーチの論理と技法
価格:¥ 3,465(税込)
発売日:2004-09

【2008年6月第3版が出版されてます→こちらにエトリー

著者は、長く広告代理店やメーカーで、マーケティング・リサーチの実務家として活躍された方です。
マーケティング・リサーチの本には、学者や研究者が書いたものと、この本のように実務家が書いたものとの2通りがありますが、「発注サイド」の方たちは、このような実務家が書いたものがお勧めです。その上で、もっとリサーチ、調査をしっかりと身に着けたいという方は、学者や研究者が書いた専門書で、理論を学んでいくのがいいと思います。(ただし、実務家の本は玉石混交なので、注意も必要ですが・・・)

この本はすでに第2版で、第1版の評価が高く、大学・大学院での講義教材としても使われているようです。内容も、リサーチプロセスから調査手法、多変量解析まで、またテーマ別のリサーチについても触れられており、リサーチ/調査について一通り学ぶにはちょうどよい内容となっています。もくじを紹介しておきます。

序章 マーケティングとマーケティング・リサーチ
第1章 企画段階
第2章 実施・分析・報告段階
第3章 定性調査
第4章 定量調査
第5章 比較について
第6章 特定目的のリサーチ設計
第7章 シンジケート・サービスの調査
第8章 インターネット調査
第9章 市場に関するリサーチ
第10章 新製品開発に関するリサーチ
第11章 ブランドに関するリサーチ
第12章 広告に関するリサーチ
第13章 そのほかのリサーチ
第14章 マーケティング・リサーチの管理
第15章 ハイテク製品のリサーチ計画
第16章 多変量解析
第17章 実験法

この本の特徴は、第9章から15章のテーマ別のリサーチ計画について触れられていることで、このように網羅的に紹介している本はなかなかないと思います。それと、リサーチの中でも少々理解するのが面倒な実験計画についても一章を割いているのも特徴的です。

実務の視点から、一通りマーケティング・リサーチについての理解をしたいという方にはお勧めの本です。

リサーチ、調査を依頼する側の心得は?

P夫 今日は、マーケティング・リサーチや調査を「頼む」側が、調査会社とどうつきあうべきか?、でしたよね。

owl そうだね。ただ、私の話からはじめても、「調査会社に都合のいいように言っているだけでしょ?」といわれるかもしれないので、いくつかの本を参考にしながら考えていこう。

最初は、「マーケティング・リサーチの論理と技法」という本から。この本の著者は、広告代理店やメーカーでマーケティング・リサーチを実務として経験してきた方なんだ。この本の中で、調査会社を管理運営する上での心得として、つぎのように書いている。

調査会社とのコミュニケーションを密にして、相手に自分のためにやってやろうという意欲を持ってもらうことが、何よりも大切な管理運営上の心得である。管理は厳しくすべきであるが、相手の意欲を低下させないように心がけたい。

1.自社のリサーチャーが調査会社に対して、すべてのリサーチプロセスにおいて、正しい方向付け・ディレクションを実行する。ディレクションの悪さが、相手の作業のやり直しやスケジュールの遅れをよび、労力、時間、経費の無駄になり、相手からの信頼も損ないやすい。
2.調査会社に対し、調査の結果が自社のマーケティングの展開に生かされている点を可能な限り相手に説明する。そのことは、リサーチャーの職業的喜びを充たせるかもしれない。
3.調査会社との共同研究作業を実施する。

また、『リサーチ業務を正しく効果的に遂行し、意味のある調査結果をフィードバックしていくには、マーケターに期待することが少なくない』として、つぎの7つのポイントをあげている。ここでの「リサーチャー」は、調査会社にいる人間ばかりでなく、自社内のリサーチセクションの人もイメージしていると思うので、調査会社との付き合い方とは少し異なるかもしれないけど、大切なことを指摘しているので、紹介しておくよ。

1.マーケターは、リサーチャーを従属関係におくのではなく、対等のパートナーであることを十分に認識すること
2.マーケターは、リサーチャーが効果的に業務を遂行できるように、つねに必要な情報を継続してインプットしていくこと
3.マーケターは、調査企画時に、リサーチャーとの間で十分な時間を設け、解決すべきマーケティング問題、リサーチ目的、調査結果の活用法などを検討すること
4.マーケターは、積極的にグループインタビューや調査票の点検に立ち会うことによって、消費者の生の声を発見するとともに、リサーチャーの主張を理解できるようになること
5.マーケターは、マーケティングの一番バッターはリサーチャーであることを認識し、彼らからの提案を尊重すること
6.マーケターは、調査結果のほとんどは、自分たちの常識(仮説)の確認であることを承知しておくこと
7.マーケターは、リサーチャーから奇跡や救済を求めないこと

6や7は、言いえて妙だね(^^;。
なかなか、ここまではっきりと書いているものは少ないけど、ある意味真実だと思うよ。

つぎは、「マーケティング・リサーチはこう使え!」という本から。この本の著者も、大手広告代理店のリサーチディレクターで、現場で常に調査会社と付き合っている人だね。
この本の8章が「調査会社に依頼する際のポイント」となっていて、具体的な事例を交えながらポイントを整理しているんだけど、ここではとりあえず見出しだけを引用しておくよ。具体的な内容については、直接本を読んでもらう方が理解できると思うので。

・まずは、自分で企画の大枠を考えてみる
・どの調査会社と組むかで雲泥の差
・問題意識、狙いを明確に伝える
・提案を受ける/一緒に考える/そのための「ゆとりあるスケジュール」
・予めアウトプットイメージを共有する

ふたつめの「どの調査会社と組むかで雲泥の差」では、以前このブログで取り上げたことと一緒のテーマだけど、内容は近いものがあると思うから、ほっとしている。。。

どうだろう?イメージできたかな?

P夫 とにかくコミュニケーションを密にして、課題や問題意識、アウトプットを共有しながら作業を進めることが大事だということですね。それと、ディレクションをしっかりと、かな。

owl そう、その2つがポイントになる。
まずは、コミュニケーション。よくあるパターンが、「黙って言われたとおりにやればいいんだ」というスタンスで、自分の考えだけを押し付ける人。それと、最初に課題や目的、アウトプットの共有をせずに、調査会社から提出されたものについて、あれこれと文句をいう「後出しジャンケン」のパターン。これは、調査会社の意欲を失わせることになるから、このような言動は慎んだ方がいい。
それと、ディレクション。調査会社から事前に確認を求められているにもかかわらず、実査ぎりぎりになってから、ここを直せ、あそこを直せと言って来るパターンも、少なく無いんだ。これをやられると、調査会社にとってはそれまで準備してきたものがすべて無駄になってしまうし、短い時間でやり直しをしなければいけないので、当然ミスも発生しやすくなる。調査会社のスタッフだけでなく、調査員さんが必要な場合とか、グループインタビューの対象者をお願いしていた場合などは、「なんていい加減なんだ」と思われることで、彼らの協力の意欲も阻害してしまう。だから、急なスケジュールや内容の変更は、百害あって一利なしなんだ。調査は、始めるまでに結構ろいろな準備が必要になるから。紹介した2人の著者もいっているように、きっちりとしたディレクションとゆとりをもったスケジュールは、とても大切な要素になる。

P夫 そうはいっても、すぐに調査したいとか、上司に確認したら変更が必要になったということも少なく無いですよね。。。

owl そうだね、その点は調査会社も理解しているよ。だから、程度問題でもあるし、やはりコミュニケーションとディレクションだよね。詳細は決まっていなくても、これくらいの時期にこんな調査をやる予定があるとか、いつまでには内容を必ず詰めると連絡するとか、そんなやりとりをすることで、お互いの信頼関係は高まると思うんだ。

P夫 それに、調査会社の方も、大切なことを言ってこなかったり、聞いてこなかったりということもありますよ。

owl それも否定しない。調査会社も、結構コミュニケーションが下手なところはあるからね。。。
けれど、お互いに、「相手が悪い」と言い合っていても仕方がないと思うんだ。調査を頼む方も、頼まれる方も、コミュニケーションを取りあっていく、それしかないよね。これは、調査に限らず、ビジネスの基本だと思う。
ただ、いくら情報を共有しても、それに対する意見を言ってくれなかったり、相手の指示を待つだけの調査会社や人がいることも事実だけど。その場合は、あきらめて他の会社や人を探すか、あるいは一から十まで指示を与えるしかないんだけどね。。。

P夫 そうですね。。。よく、覚えておきます。

Q子 あの・・・。これからリサーチ会社に入りたいと思っている、私のような人が心がけることってないんですか?

owl そうか(^^;
このブログも、就職でマーケティング・リサーチ業界に入りたい人が、結構見に来てくれているようだし、つぎは、リサーチ業界に入りたい、調査会社への就職を考えているという人達へのメッセージを話そうか。

Q子 はい、お願いします!