月別アーカイブ: 2007年10月

『図解・インターネットリサーチがわかる本』

図解インターネットリサーチがわかる本 [実務入門] (実務入門) 図解インターネットリサーチがわかる本 [実務入門] (実務入門)
価格:¥ 2,310(税込)
発売日:2007-10-26

日本能率協会マネジメントセンターからのお馴染みのシリーズですね。
著者の酒井氏はこれまでも、このシリーズで様々なリサーチ関連書籍を出版されています。
そして今回は「インターネットリサーチ」についてのみの本・・・。

結構前(もう4年前になるんですね)に、マクロミル社監修・編集協力で、↓のような本が出版されていますが、インターネットリサーチのみで1冊の本にしたのは、それ以来かもしれません(こちらの本もインターネット調査入門としては比較的お勧めです。少々~かなり?~、宣伝っぽいところがありますけど・・・)

実践!!ネットリサーチ 実践!!ネットリサーチ
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2003-10-20

では、酒井氏の本、いつものようにまずはもくじから。

第1章 インターネットリサーチとは
第2章 インターネットアンケート調査
第3章 モバイルリサーチ(携帯電話調査)
第4章 オンラインデータ放送アンケート
第5章 インターネットグループインタビュー
第6章 Webサイトのユーザビリティ評価
第7章 2次データ検索・収集調査
第8章 インターネットリサーチの応用
第9章 インターネットリサーチ会社の特徴
第10章 個人情報保護と情報セキュリティ

このシリーズをご覧になった方でしたらお判りと思いますが、見開き左が文章で、右が図表という体裁をとっています。なので、ポイントを理解するにはわかりやすい内容になっていると思います。ただ、このような体裁なので、深い言及までは期待しないでください。
今のインターネットリサーチの見取り図が提示されている&実務的なことも一応理解できるという内容です。

著者は淡々と事実を記述することに徹している、とお見受けしました(とくに、第1章)。本当は、いろいろと思うところもあると思うのですが、それを言っても仕方がないですから。きっと、「はじめに」で書かれている以下の文章が、著者の想いなのでしょう。同感です。

インターネットリサーチには、調査モニターの質や品質管理など、様々な課題もありますが、従来型調査よりも安価で結果が早く得られるなどの理由で、活用場面は増える一方です。調査に携わる方には、調査の基礎知識を十分理解した上で新しい技術を応用していく姿勢が求められます。また、経営者や管理者には、情報の妥当性を見極め、適所に活用し、上手に説明する能力が求められます。意思決定に必要な情報の入手速度を優先しすぎて、情報品質を吟味しないままデータを使うことに慣れてしまうと、失敗の連鎖を招くことになりかねません。

これまで、何も考えることなくネット調査、WEB調査をされてきた方、一度本書でインターネットリサーチとはどんな特徴を持っているのか、データを読むに際してどのような点に留意しなければいけないのか、を理解していただければと思います。

ヤマト運輸が調査事業開始?!

標題をみて、「え?!」という方、多かったのでは・・・。

ネタ元は、この↓記事です。

ヤマト運輸/政府統計調査事業に参入(LNEWS)

確かに、ヤマト運輸のHPでもニュースリリースが。

統計調査事業への参入について(ヤマト運輸HP)

以前に、このblogで、「統計調査の民間開放・市場化テストに関する研究会」というエントリーをしたのですが、この統計調査の民間開放に対する動きです。
ヤマト運輸と日経リサーチが共同で、政府統計調査に対応できる体制をつくる。方法は、ヤマトのセールスドライバーから、統計調査員を募り、全国規模での訪問調査を実施できる体制を作ろうと。。。
たしかに、ヤマトのドライバーさんなら、全国あまねくいらっしゃるでしょうし、お宅を訪問するのも容易かもしれませんね。目の付け所としては、なるほどと思わされました。

ただ・・・、
実は昔から、このような発想で、事業化をしている業界は他にもあるのです。
それは、「ガソリンスタンド」です。
今でもあるのかと検索してみたら、ありました。東京サーベイリサーチという調査会社と新日本石油が組んで、このような↓会社を設立しています(それも、1989年設立です)。

株式会社ユー・エヌ・エス

インターネット調査もそうですが、「全国規模のインフラ(インターネット調査でいうとモニター組織ですね)」を持っていると、調査という事業に参入したくなるんでしょうか・・・。
そんなに簡単なものじゃないと思うんですけど、調査も。。。
(まあ、こんなこと言っていると、「うちの業界は、特殊だから」「うちの業界は、ノウハウが必要だから」と言っている頭の固い方々と一緒になってしまうので、控えたいとは思うのですが。)

さて、ヤマト運輸と日経リサーチのこの試み、うまくいくのか、今後をみていきたいです。
(うまくいったら、日経リサーチは大きな成長基盤を持つことになりますね。なにせ、政府の調査を落札できる可能性が、ぐっと高まるわけですから・・・。)

PS.
実は今回のエントリーが、ちょうど100回目のエントリーになります。
昨年の10月にはじめてから1年、なんとかここまで辿り着きました。
最近は、かなり更新期間が長くなってしまっていますが、それでもアクセスしていただいている皆さまに、この場を借りてお礼申し上げます。
(ほんとは、100回目のエントリーは「寺子屋」の再開にしたいと思っていたのですが・・・。)

「脳を直撃する広告?」

おもしろい記事を見つけたので、取り急ぎのご紹介を。
その記事は、こちらです↓。

脳を直撃する広告?~“ニューロマーケティング”が欧州でブレーク(NBオンライン)

以前、『欲望解剖』という本をご紹介した際に、ニューロマーケティングについても少し触れていますが、欧州では研究が進んでおり、実務の世界でも活用されているようなのです。

「ニューロマーケティング」という新しい手法が、今、欧州で注目を集めている。人間の脳をスキャンして広告に対する消費者の反応を脳科学的に分析するもの。広告がさらにパワーアップすることによって、消費者の財布の紐が緩みっぱなしになってしまうかもしれない。
 ジョージ・オーウェル的な洗脳のような印象も受ける。だが、広告の精度を上げて売り上げアップを図りたい企業にとって、ニューロマーケティングは極めて魅力的な可能性を秘めている。莫大な広告費を投じる前に、広告やCMソング、ロゴが消費者の潜在意識にどのぐらい響くかを定量的に測定できるようになるからだ。「フォーカスグループインタビュー」や、そのほかのフィールド調査の信頼性に疑問を抱いていたマーケティング担当者にとっては、待ちに待った手法と言える。

「ニューロマーケティング」って何?、という方は、こちら↓を参照ください。

「マーケティング用語集:ニューロマーケティング」(JMR-LSI)

さらに、こちら↓の会社では、すでに「ニューロコンサルティング」というメニューもある・・・。

ニューロコンサルティング(株式会社NTTデータ経営研究所)

以前、blog上でも結構話題になった雑誌↓。(ニューロマーケティングそのものについては、一部ですが。)

日経サイエンス臨時増刊「こころのサイエンス」

関連本もいくつか、ご紹介しておきます。
いきなりニューロマーケティングもいいですけど、しっかりと「脳」についての理解をしておくことも、リサーチャーには必要だと思います。

欲望解剖 欲望解剖
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2006-12

⇒脳科学の茂木先生とブランド論の田中先生の本。さっと理解するにはいいです。

心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす Harvard Business School Press 心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす Harvard Business School Press
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2005-02-10

⇒定番本。リサーチと絡めて、脳科学を理解するにはこちら。

脳科学から広告・ブランド論を考察する 脳科学から広告・ブランド論を考察する
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2007-02

⇒こんな本もあります。脳科学の視点から、広告調査を考察しています。ただ学術論文的で、読みにくい・・・。

進化しすぎた脳 (ブル-バックス) 進化しすぎた脳 (ブル-バックス)
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2007-01-19
脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!? 脳はなにかと言い訳する―人は幸せになるようにできていた!?
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2006-09
海馬―脳は疲れない (新潮文庫) 海馬―脳は疲れない (新潮文庫)
価格:¥ 620(税込)
発売日:2005-06

⇒池谷裕二先生の著書。いずれも、脳について理解するとっかかりとしては、お勧め。