日別アーカイブ: 2007-03-15

『シンプルマーケティング』

改訂 シンプルマーケティング 改訂 シンプルマーケティング
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2006-01-31

最後に、もう一冊。
実は、この本が、個人的には一番のお勧め本だったりします^^;

この著者のメールマガジンは、マーケティング関連の中ではピカイチです(最近は、半年に1回くらいしか発行されないのが残念ですが)。
なにが良いかというと、本質をついた視点&結構長いメルマガなのですが、とにかく読みやすい。
そんな著者の書いた本ですし、身近な事例を用いながら解説していますので、読みやすいし、わかりやすい。
ただ、実践的な内容でもありますし、著者独自の理論もありますので、マーケティングの本質を理解した上で、かつある程度のマーケティング理論を知った上で読んでいただいた方がいいかと思い、一番最後に持ってきた次第です。
(この本から入っても、もちろん大丈夫だと思います。マーケティングは、こんな風に使えるのかと興味を持ってもらうのもありだと思いますので。)

もくじは、こんな感じです。

第1章 生活者をとらえる
  1-1 「イノベータ理論」で生活者をとらえる
  1-2 「ライフスタイル」から生活者をとらえる
第2章 市場をとらえる
  2-1 「クープマンの目標値」で戦略を立てる
  2-2 市場を細分化して考える
  2-3 売上を占う「プロダクト・ライフサイクル」
第3章 商品を評価する
  3-1 プロダクトコーン理論
  3-2 商品の「記号」と「意味」の一致(ブランド)
  3-3 ブランディング
第4章 商品の「戦略」を評価する
  4-1 3種の攻撃法
  4-2 スキミング&ペネトレーション戦略
  4-3 力のない企業でも勝てるDCCM理論
  4-4 「知名度」「トライアル」「レギュラー」から問題点を見つける(U&E)
第5章 生活者の意識と商品
  5-1 レーダー理論とポジショニング
  5-2 購入基準とヒエラルキー
  5-3 「選好シェア」と「実売シェア」の時間差理論

マーケティングを少しでもやっている人であれば、聞いたことのある言葉がいくつかあると思います。教科書ではなかなか理解しにくい言葉でも、事例をもとに説明していますので、「なるほど、このように使うのか」ということを理解できるでしょう。

とくに、「プロダクトコーン理論」はおすすめです。
これを知っているといないとでは、商品を考える視点がまったく違ってくるのではないかとも思います。
また、ネット調査を考える上では、「イノベータ理論」も押さえておかなければならないです。今後、寺子屋で代表性の話をしていきますが、そのときにも、この「イノベータ理論」の視点から話をしようと思っていますので。

とにかく、マーケティングの理論を事例を元に理解するには、この本以上のものはないのではないかと思っています。
お勧めです、ぜひ一度、ご覧になってみてください。

PS.
また、「マインドリーダーへの道」さんのblogになってしまいますが・・・。
この本のポイントを、20回のシリーズで紹介してくれています。
著者の森さんも、コメントを投稿してくれていますので、本書についてのさらに深い理解も得られるかもしれません。(なので、ぜひ本文だけでなくコメントもご覧ください。)

デイリーブログ「マインドリーダーへの道」:シンプルマーケティング






『MBAマーケティング』

新版MBAマーケティング 新版MBAマーケティング
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2005-03-04

もっと、体系的にマーケティングを学びたい、けどコトラーのような分厚い専門書はちょっと・・・、という方へ。

まさに「教科書」です。それ以下でも、以上でもないという感じ。
とはいえ、ある程度、マーケティングのなんたるかはわかってきたし、もっと総合的に、理論的な背景も身につけたいと思っている方には、手ごろな本だと思います。

もくじはこちら。

第1章 マーケティングの意義とプロセス
第2章 市場機会の発見
第3章 セグメンテーション、ターゲティング
第4章 ポジショニング
第5章 製品戦略
第6章 価格戦略
第7章 流通戦略
第8章 コミュニケーション戦略
第9章 ブランド戦略
第10章 マーケティング・リサーチ
第11章 競争戦略
第12章 カスタマー・リレーションシップ・マネジメント
第13章 ビジネス・マーケティング(生産財マーケティング)

各章とも、「POINT-CASE-理論」という構成になっています。ですので、理論で説明されている内容について、ケースを再度考えながら読み込むことによって、理解が深まるのではないでしょうか。

本格的な専門書を読む前の導入として、本書をおすすめします。

さて・・・
ここまで、マーケティングについての3冊の本を紹介してきましたが、世の中には「マーケティング」と付いている本は、もっといっぱいあります。ここで紹介しなかった本でも、良書はあると思います。本屋さんのマーケティングのコーナーへ行って、片っ端から手に取ってみて、自分に合いそうな本を見つけていただいてもいいと思います。(ただ、玉石混合なので、その点は注意してください)
そして、より専門的な本へも、ぜひ挑戦してみてください。

といいながら・・・、
こちら↓でも、マーケティングに関する本をいくつか紹介していますので、こちらを参考にしていただけると、なおうれしいですが・・・^^;

マーケティング・リサーチの寺子屋出張書店:マーケティング

『マーケティング実践講座』

実況LIVE マーケティング実践講座 実況LIVE マーケティング実践講座
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2005-06-10

少しは、マーケティングについて理解できたかな、という方向けに。

マーケティングの代表的な理論を紹介しつつ、事例を交えながら、マーケティングを実践していく流れが紹介されています。
そして、割とマーケティング・リサーチ寄りの説明がなされているので、とくにリサーチャーの方にとっては、役立つポイントがあるのではないかと思います。

もくじは、こちら。

Part1 マーケティングとは何か
Part2 マーケティング戦略の実践法
 STEP1 顧客を知る
 STEP2 競合を知る
 STEP3 自社を知る
 STEP4 自社が勝てる市場を特定する
 STEP5 差別化のための具体策を立てる
Part3 マーケティングの調査分析手法
Part4 これからのマーケティングには何が求められるか?
Part5 [演習]サントリーDAKARAのマーケティング戦略を立てる

気づいた方、いらしゃいますか?
前のエントリーの『ドリルを売るには穴を売れ』で言われていた4つのポイントと、ほぼ同じ構成ですよね。やはり、誰が書いても、マーケティングの本質はこの4つだということですね。

この本でおもしろいのは、Part5の演習。DAKARAを事例にしながら、具体的なマーケティング戦略立案の流れを示しています。自分で考えながら、このPartを読んでいけば、マーケティングの流れをさらに理解することができると思います。

PS.
以前、著者の講演を聞く機会がありましたが、そのセミナーもおもしろかったです。
こちら↓に概要がありますので、あわせてご覧ください。

夕学五十講楽屋blog:「五感と実質価値を提供する」 須藤実和さん






『ドリルを売るには穴を売れ』

ドリルを売るには穴を売れ ドリルを売るには穴を売れ
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2006-12-23

「寺子屋」で、マーケティングの本をいくつか紹介するといいながら、横道に逸れたエントリーばかりで・・・。

今回は、本筋に戻り、マーケティング本の紹介です。
とくに、マーケティングって何?、いくつかマーケティングの本を読んだけどピンとこなかった、というような入門者向きの本から、紹介します。

本書の題名をみて、「マーケティングの本だ」とわかる方は、すでにマーケティングを理解されている方だと思います。この「ドリルを売るには・・・」は、実はレビットという学者がだいぶ前に言った言葉で、マーケティングの本質を端的に示しています。
そして、個人的には、この本を読んで、「マーケティング・リサーチをやるには、やはりマーケティングを理解していないと」と強く思わされました・・・。

いつものように、まずはもくじから。

序章 ”マーケティング脳”を鍛える
第1章 あなたは何を売っているのか~ベネフィット
第2章 誰があなたの商品を買ってくれるのか~セグメンテーションとターゲット
第3章 あなたの商品でなければならない理由をつくる~差別化
第4章 どのようにして価値を届けるか~4P
第5章 強い戦略は美しい

いまの流行なのでしょうか、廃業寸前レストランの復活というサイドストーリーを絡めながら、マーケティングの本質をわかりやすく説明しています。
それは、もくじを見ていただければわかるように、マーケティングの理論を4つのポイントで説明しているからでもあります。確かに、マーケティングを学ぶ上では、他にもいろいろな理論や用語がありますが、マーケティングの「本質」を学ぶには、この4つでいいのかもしれません。(だからこそ、入門者向け、なのですが)
著者も、「序章」でつぎのように書いています。

もちろん、これは基本中の基本であり、これ以外のことも知っておいた方がもちろん良い。だが、その前にこの基本をおさえておかないと、次の応用・実戦などに進んでも、しっかりとした土台のないまま知識を積み上げていくことになってしまう。

ただし、本でマーケティングを学ぶことも大切ですが、地に足のついたマーケティングを行うには何が必要か。とくに、リサーチャーは、ともするとパソコンとにらめっこばかりになりがちなので、つぎの言葉は、心に留めておきたいものです。

「マーケティングは、お客様のココロの中で起きている」

そして、

マーケティング脳を鍛えるには、自分の身の回りから学べばよい。何かを買ったとき、買わなかったときに「なぜこの商品を買ったのか?」「なぜこの店で買ったのか」と考えていけばよいのだ。その裏には、売りたい人のマーケティングがあるはずだ。さらに家族の誰かが何かを買ったら、なぜそれを買ったのかを聞いてネタにすればいい。

これができるか、できないかで、ほんとうに大きな差がつきます。

それと・・・
少し本題からはずれるのですが、サイドストーリーの中に、集めたアンケート(紙)を一枚一枚読み込むシーンがでてきます。
いまのようにネット調査が主流ではなく、紙ベースでの調査が主だった頃、回答内容の点検をするために、ざっとではありますが一枚一枚の回答用紙を見ていたことを思い出しました。そうすると、回答をしてくれた方ひとりひとりの行動や意識のパターンがなんとなく想像されたものでした。これは、集計データという個をまったくなくしたものでは得られない情報だったと思います。この過程を経ることで、分析の際もある程度、「個」を意識したものになったと思います。
ネット調査では、これは難しい。データはすでに、Excel上の数字だけになってしまってますから。。。ネット調査がもたらした、ひとつの欠点といえるでしょうね。
(この視点については、「マインドリーダーへの道」さんのblogでも、もう少し詳しいエントリーがありましたので、こちらも参考にしてください。)

さて、本書に戻ります。
なんども書いてますが、マーケティングの本質を理解する上で、とくに入門者の方には、おすすめの本です。

【関連して】

同じように、マーケティングの入門としては、↓の本もいいと思います。こちらは、ほんとに小説仕立てで、理論的なことはポイント的にまとめられているだけですが。

マーケティングは愛 銀座ママ麗子の成功の教えシリーズ マーケティングは愛 銀座ママ麗子の成功の教えシリーズ
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2005-05-25

それと、どのようにお客様のココロに近づくかについては、こちらのエントリーで紹介している本が、役立つと思います。

本書とあわせて、読んでみてください。