マーケティングで使う多変量解析がわかる本 価格:¥ 2,100(税込) 発売日:2007-01-26 |
多変量解析の入門書として、手ごろな本が出版されています。
以前、「購買心理を読み解く統計学」を紹介していますが、どちらかというと新しい手法を中心としたものでした。
翻って本書は、マーケティングでの事例を取り上げながら、多変量解析初心者でもわかりやすく、ベーシックな手法を中心に解説しています。
もくじを紹介しながら、とりあげられている手法を見てみます。
第1章 多変量解析とは
第2章 解析データの基礎知識
第3章 重回帰分析
第4章 数量化Ⅰ類
第5章 プロビット分析
第6章 コンジョイント分析
第7章 判別分析
第8章 数量化Ⅱ類
第9章 ロジスティック回帰分析
第10章 因子分析
第11章 数量化Ⅲ類
第12章 コレスポンデンス分析
第13章 クラスター分析
第14章 多次元尺度法
第15章 パス解析と共分散構造分析
第16章 AHP(階層化意思決定分析法)
それぞれの分析手法について、どのような手法か、各分析に出てくる統計用語の意味、解析の手順、アウトプットまでの手順、結果の解釈の仕方について整理されています。
多変量解析をはじめて使ってみたいという人や、これまでまったく手法の理解をせずに見よう見真似で使っていた人、あるいは自分で分析はしないけれど結果を見ることがある人にとって、多変量解析とはどんなものか、各手法がどんなものかを知る最初の取っ掛かりとしては手ごろな内容だと思います。
ただ、14もの解析手法が取り上げられていることからもわかるとおり、それぞれの手法についての突っ込んだ説明はされていませんので、すでに多変量解析についてある程度の知識を持った方には、内容が浅すぎると思います。
また、本書で多変量解析への取っ掛かりをつかんだとしても、つぎにはより専門的な本も読まないと、ほんとうの意味で手法を使いこなすことは難しいです。とくに、自分で統計ソフトをまわし、分析をする必要のある人は、他の本で理解を深めることをお勧めします。
(→こちらで、いくつかの本を紹介していますので、参考にしてください)
そして、著者が「はじめに」で指摘しているとおり、
多変量解析の手法を正しく使い分けるには、手法の習得だけではなく、洞察力、推理力、データを丁寧に分析する根気強さに加え、解析結果を社会全般と照らし合わせて妥当性をチェックできる幅広い知識なども求められます。
ということを忘れずに、分析に取り組む姿勢がとても大切だと思います。
安易に、多変量解析を使えば何かわかるだろう、という姿勢で分析を行うことは、厳に慎みたいことです。
とはいえ、何も知らずに分析を行うことの方が、もっと悲惨な結果を招くでしょう。
「多変量解析とはなんぞや?」「どのように使うのか?」「どういうときに使えるのか?」を知り、多変量解析への第一歩を踏み出すには、ちょうどよい本だと思いますので、入門者や初心者の方へは、お勧めの本です。