日別アーカイブ: 2009-12-16

『最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本』

図解入門ビジネス 最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本―市場の因果関係を読み解く (How‐nual Business Guide Book) 図解入門ビジネス 最新マーケティング・リサーチがよーくわかる本―市場の因果関係を読み解く (How‐nual Business Guide Book)
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2009-11

前の2つのエントリー( こちらこちら )で、広く社会調査という視点でのエントリーをしました。
社会調査の方法論としての考え方を学ぶことが重要では、ということで。

が・・・
とはいっても、やはりマーケティング・リサーチにはマーケティング・リサーチだからこその知識や考え方が必要であることも、また事実で。。。
そのようなときには、この本をどうぞ。

ただし本書は、著者も「はじめに」で書いてあるように、「入門書」です。はじめてマーケティング・リサーチを学ぼうとする人や、もう一度基礎を復習しようとする人々を対象としています。
ですので、もくじも以下のようにオーソドックスに、リサーチの実務に沿った内容になっています。

第1章 マーケティング・リサーチの役割
第2章 企画
第3章 実査
第4章 集計・分析
第5章 調査報告
第6章 リサーチ・ソリューション
(第6章は、CPテスト、ブランド診断調査、顧客満足度調査について書かれています)

内容も、当然入門者や初心者向けのもの。しかし、視点には共感できる記述が多く含まれています。それはきっと、

本書は、特にこの原因と結果の関係を読み解くマーケティング・リサーチの方法の理解に焦点を当てた入門書です。なぜなら、因果関係の解明は、科学としてのリサーチの基礎中の基礎であるにもかかわらず、未だにリサーチャーの間に広く、深く浸透していないと思われるからです。さらに重要な点は、この因果関係思考法の欠落が、課題解決や提案力のアップといったリサーチの応用力の育成を妨げていることです。
(本書 p.18)

という考え方の元に書かれているからだと思います。そして、とても共感できる考え方です。
(だからでしょうか・・・、私がリサーチ研修のために作成している資料の内容と似たような記述やチャート、チェックリストが多くあるんですよね。もしかして、どこからか入手しました?、と思ってしまうくらいに ^^; )

さて、皆さん、以下の問にどのくらい答えられますか?
すべて答えられる方は、本書は必要ないでしょう。きっちり答えられないものがある方は、本書を手にとってみてもいいかも?・・・

  • 一般に、標本誤差を半分にしたいとき、標本数は何倍にすればよい? →p.38
    (「標本誤差」がわからないでは、お話になりませんが・・・)
  • 新製品の会場テストにおいて、「対象商品カテゴリー使用者」という条件で集めた対象者は、代表性という面で、どのように考えればいいでしょうか? →p.43
  • なぜ世論調査では、いまだインターネット調査が主流の調査方法として使われていないのか? (「抽出フレーム」という言葉を使って説明すると?) →p.80
  • たとえば、「店内でのサンプリング効果」を測定する場合の実験デザインは? (どのような方法が考えられ、どのようなメリット・デメリットがあるか?) →p.85
  • では、製品テストでのテスト方法は? →p.91
  • クロス表で%のベースとなるのは、原因となる変数?、結果となる変数? →p.126
  • 実態把握を目的とした調査の報告書は、結果一覧の報告だけでいいのか?→p.140
  • ブランド診断の場合、イメージ評価項目を考える視点は? →p.172

いかがですか?
著者は、これまでメーカーやリサーチ会社で、マーケティング・リサーチの実務を経験された方ですので、実務の現場に沿った内容で記述されているのが、本書のよい点であるといえます。
これまでの類書に満足できなかった方、著者のスタンス(因果関係の重視)に共感する方は、一度、本書を手にとってみてください。

さらに、本書の関連HPもありますので、そちらも ↓ どうぞ。
本書では触れられなかった内容についても、書かれているみたいですので。

みんなのMR.COM

(実は、著者の岸川さんも、このblog がご縁で知り合いになることのできた、おひとりです。本書の執筆についての裏話についても、おうかがいしましたが、ここでは触れずにおきます。本を書くのもたいへんだな、ということはわかりましたが、でも、本、出したいなとも思います。。。)