日別アーカイブ: 2009-12-28

『ヒットを生み出す最強チーム術』

ヒットを生み出す最強チーム術 キリンビール・マーケティング部の挑戦 (平凡社新書) ヒットを生み出す最強チーム術 キリンビール・マーケティング部の挑戦 (平凡社新書)
価格:¥ 735(税込)
発売日:2009-09-16

Amazonのこの ↑ 形式のリンクの欠点は、著者名が表示されないことですよね・・・。
本書の著者は、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、一躍有名になった(と思うのですが)キリンの佐藤章氏です。
番組出演当時(2006年だと思います)、佐藤氏はキリンビバレッジに所属していました。飲料業界は、年に100~150もの新商品を上市するものの(1社で、です)、1年後に生き残るのは数商品しかないという熾烈な競争を行っている市場です。その中で、佐藤氏は多くのヒット商品を生み出してきました。2007年にキリンビールに異動され、ビール市場でもヒット商品を生み出しています。
本書では、これらの商品開発の舞台裏を紹介しながら、仕事における「チーム術」について書いています。

もくじは、つぎのように。

第1章 「一番搾り」リニューアルの舞台裏
第2章 落ちこぼれからのスタート
第3章 "確信犯"がヒットを生む
第4章 商品開発は異種格闘技
第5章 言葉をいかに磨くか ―会議とプレゼンの技法
第6章 縄文サラリーマンのすすめ
対談  佐藤可士和×佐藤章 ものづくりはコミュニケーション

このもくじでは、本書のポイントは伝わらないかもしれないです。。。
そこで、帯にある「本書の内容」から。

・ものづくりの現場では多数決と民主主義は意味がない
・どう仮説をたてるかで新商品の成否は決まる
・大きい市場、伸びる市場を狙う
・会社の都合で商品はつくらない
・危機感の共有が会議を盛り上げる
・上司が部下にできるのは"場"を与えること

メインテーマは、タイトルにあるように、仕事におけるチーム(ここでのチームは社内に限りません、社外を含めたチームです)の運営についてです。ただ、題材が商品開発ですので、商品開発の流れやポイントを理解することができる内容になっています。
「商品開発はひらめきだ」という方も少なくないですが、佐藤氏のスタンスは、ひらめきだけでも、データだけでもない、2者のバランスです。仮説や確信の重要さを主張するとともに、その仮説も日々のインプットから生まれること、さらにその仮説を検証することの大切さもきちんと書かれています。そしてこのバランスを、「個人」としてではなく、「チーム」として運営していくことの大切さを説いているのが、本書のメインテーマだと思います。

いくつかを紹介すると・・・。

どんな時代でも、消費者は潜在的に「こんなものがあったらいいなあ」と心の中で思っています。その心の動きに寄り添い、答えを探し続ける。それが、商品開発の仕事の醍醐味です。(p.15)

商品は世に出た瞬間に開発者のものではなく、消費者のものになります。そこを忘れて、作りたいものを作ってしまうと、消費者からそっぽを向かれてしまう。商品開発では、決して消費者目線を忘れてはいけません。(p.39)

市場調査から浮かび上がった数値やデータはあくまでも結果であって、その背景には消費者の心の動きがあります。消費者の"今の心の揺れ"に注目することが、次にくるシナリオを先読みするヒントになります。(p.70)

他にも引用したいフレーズはたくさんあります。ここで紹介しだすときりがないので、これくらいにしておきます。。。
それに、フレーズの断片を切り出して紹介しても、文脈として理解してもらわないと誤解を招くかもしれないですので。

新書ですし、語り口調のわかりやすい文章ですので、ぜひ読んでみてください。
商品開発、仕事を進める上でのチーム運営、仮説を生み出す思考法、日頃のインプット方法、プレゼンのポイント、などについてのヒントを得られると思います。

PS.
佐藤氏がNHK「プロフェッショナル」に出演した時の内容は、こちら ↓ の本でどうぞ。
(この巻は、佐藤氏以外のお二人も、興味のもてる内容だと思います。いずれも、時代やお客様に向き合うことがテーマになっていますので)

プロフェッショナル 仕事の流儀〈4〉 プロフェッショナル 仕事の流儀〈4〉
価格:¥ 1,050(税込)
発売日:2006-07