社会調査ハンドブック 価格:¥ 1,937(税込) 発売日:1987-09 |
題名は「社会調査」となっていますが、かなりマーケティング・リサーチ寄りに書かれている本です。また、「ハンドブック」とありますが、決してノウハウ一辺倒ではなく、かなり本質論に触れている本です。
「マーケティング・リサーチはやっているけど、ほんとうに役立っているんだろうか?」「マーケティング・リサーチって、こんなものなんだろうか?」という壁にぶつかっている方には、とくに読んでおいていただきたい本です。
(とはいえ、マーケティング・リサーチについてあまり知らない方が読んでも、十分に使える内容になっています。)
調査には「仮説」が必要だということがよくいわれます。では、「仮説」ってなんでしょうか?なぜ「仮説」が必要なのでしょうか?「仮説」はどう導けばいいのでしょうか?
それに対する答えが、本書で得られるのではないでしょうか。
著者の飽戸先生も、はしがきで本書を執筆するに至った理由を、つぎのように述べています。
「市場調査」「世論調査」をはじめとする種々な「社会調査」に関する書物は、すでに数十冊近く刊行されている。にもかかわらず、あえて本書を執筆した理由は2つある。まず第一に、これらの社会調査に関する多くの書物が、あまりに技術的説明に終始した無味乾燥なものが多いこと、もっと調査というものについての哲学をもち、かつ調査に対する愛情が芽生えるような本がぜひ必要だと考えていたこと。そしてもう1つは、筆者が主張し続けてきた仮説検証的調査というものを実際に設計できるような理論と参考資料集をまとめておきたかったことだ。
すべての調査が、仮説検証を目的としたものではないという指摘もあると思いますし、正しいと思います。
しかし一方で、思いつきの質問を対象者にたずね、「得られるものがない」などと言っている人も少なくないことも、また事実です。
本書を通じて、一度、「仮説」ということをしっかりと理解してほしいと思います。
もくじを紹介します。
1章 社会調査とは何か
2章 社会調査の技法
3章 科学としての調査
4章 テーマをいかに設定するか
5章 ウソとマコトを見わける法
6章 標本設計の理論と方法
7章 信頼できるデータをとる方法
8章 調査結果の正しい分析
9章 調査の積み上げと活用
10章 調査と理論の結びつき
11章 調査に理論を導入する
12章 調査を理論に仕上げる
13章 仮説検証法の功罪
14章 仮説のつくり方とその検証法
15章 調査票作成の方法と問題点
16章 市場調査、世論調査、ライフスタイル調査の設計
17章 調査機関の選び方
18~20章 調査項目の実例
最後に、本書の欠点をひとつ・・・。
それは、出版年が1987年と古いことです。インターネット調査については、まったく言及されていません。現在の調査環境の激変についても、ふれらていません。
それでも、「仮説」についての言及は、古くなることはありません。
調査、リサーチに真剣に取り組みたいという方には、ぜひ、読んでおいていただきたい本です。