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『できない人ほど、データに頼る』

できない人ほど、データに頼る できない人ほど、データに頼る
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2007-04-20

「仮説って、どうやって考えるの?」という方、本書を読んでみてください。

ただ・・・
これは強調しなければいけないのですが、「できない人ほど、データに頼る」であって、「できる人は、データに頼らない」ではない、ですからね。ここのところを間違ってもらっては、困りますので。実際、この本に出てくるできる人達も、結構、調査をやっていますから。
著者は、インターブランドというコンサル会社のディレクターで、翻訳本です。原題は、“SEE、FEEL、THINK、DO~The power of instinct in business”。かなりの意訳です・・・。

まずは、もくじから。

序章 それでも、まだデータに頼るのですか?
第1章 すべては「見て、感じて、考えて、実行する」から生まれた
第2章 見る~実際に自分の目で確かめなければ何もわからない
第3章 感じる~顧客の心に共感できるか
第4章 考える~「なぜだろ?」子供のように自問しよう
第5章 実行する~直感を信じて行動に移そう
第6章 疑問を持ち続けることが成功を引き寄せる
第7章 見て、感じて、考えて、実行した勝者たち

う~ん、やはり調査否定のように感じますかね。。。
「序章」で、著者はつぎのように言っています。

本書は、調査機関やコンサルティング会社、MBA(ビジネススクール)を決して批判するものではありません。もう少し自分の本能を信じて、お客様との距離を縮めてはどうですかと呼びかけているのです。仕事だけではなく、何年にもわたる経験から得た知識と直感をもっと信じるべきです。もちろん情報に基づいて決断する必要はありますが、そこには感情も存在していなければなりません。見たいものを見ようとするのではなく、ありのままを見る。感情を排除するのではなく、感じるものを感じる。いま起きていることに対して、はっきりと焦点を当てて考える。そして、調査結果を鵜呑みにするのではなく、参考にして実行する。

ポイントは、「お客様との距離を縮める」です。そして、なぜだろうと考えることが大切なのです。ここから、仮説が生まれます。

もうひとつ間違って欲しくないのは、「経験から得た知識と直感」をもっと信じることは大切ですが、決して「見たいものを見る」ではなく、「ありのままを見る」ということです。よくあるのが、業界に長いこと居て、その分野の「プロ」になってしまっているにもかかわらず、自分の考え=お客様の考えと勘違いしてしまうことです。よくいますよね、「どうして、この味がわからないのだろう?」「どうして、こんな便利なものを使わないのだろう?」という、ある意味、傲慢な視点で語る方々が・・・。このような人達は、見たいものを見ている、自分の物差しだけですべてを解釈しているから、同じ「見る、感じる、考える」でも間違った方向に行ってしまうのです。
消費者は決してその分野のプロではない、ということを忘れてはいけないと思います。「ありのまま」を見て、感じることが大切だと思います。その上で、プロの視点からもう一度、解決策を考えていく、仮説をつくり、実行していく。
著者が伝えたかったのは、そういうことではないかと、自分なりの解釈をしています。

翻訳書にしては、文章が平易なのでわりと読みやすいと思います。ただ、事例が外国の企業なので、なじみがない場合も多く、その点が少々難ありでしょうか。。。

「仮説」ってなんだろう

Q子 うわー、ずいぶん久しぶりですね。世間では、新学期も始まり、GWも終わってますよ!

owl そうだね、まぁそのことは置いておいて。。。^^;
今日は、「仮説」について考えてみようか。P夫くん、仮説ってなんだろう?

P夫 いきなり再開して、またずいぶんばくっとした質問ですね・・・-_-
そうですね・・・、たぶんこうなんじゃないかとか、ああなんじゃないかと考えることですかね?

owl う~ん・・・。Q子さんは?

Q子 「ある現象を合理的に説明するため、仮に立てる説。実験・観察などによる検証を通じて、事実と合致すれば定説となる。」と、Yahoo!辞書の大辞泉にはあります。

owl まあ、そうなんだけどさ・・・。
たとえば、いまはボストン・レッドソックスの松坂大輔もつぎのようなことを言っていたらしい。

マウンドではいつも実験しているんだよね。仮説を立て実験し、結果を求め、それを分析し、将来つかえるかどうかを見極める。例えば実験しているものをジグソーパズルに譬えると、これまで百ピースで埋められていたものが、二百ピースになり三百ピースになる。そのコマは年々増えていく。コマが増えると埋める作業って難しくなるでしょ。それと同じように、年を追う毎に考えることが増えて、苦しみも増していくんだよね。でも、より細かいコマで埋めた方が完成したときに絵は綺麗になる。多分、この作業は引退するまで続けていくんだろうなあ・・・(『夢を見ない男・松坂大輔』)

マーケティング・リサーチって、実験みたいなものだよね。たとえば、このコンセプトで、このターゲットに、こんな商品をつくって、こんなふうに売れば、買ってくれるんじゃないか。これがまさに仮説で、調査でデータを集めて、分析して、ほんとうにそうかどうかを確かめる。まさに、松坂がマウンドでやっていることと一緒。
そして、仮説がなければ、実験も調査もできない。何を確かめればいいかわからないんだから。
よく、調査をするときに「仮説はなんだ」と言う人がいるけど、確かに「仮説なくして調査はできない」ということが、わかるんじゃない?

P夫 それはわかります。でも、調査のタイプには「実態把握型」「仮説探索型」「仮説検証型」の3つがあるって言っていたじゃないですか?(→こちら)
「仮説検証型」だといまのowlさんの説明で納得できますけど、他の2つはどうなんですか?「実態把握型」なんて、市場や顧客がどうなっているかわからないから、やるんですよね?それなのに「仮説が必要」って、おかしくないですか?

owl ほう、だいぶ勉強した?いい視点だね^^。
確かに、「わからないから調査をするんであって、仮説なんか立てようがない」って言う人もいるし、なんとなく納得してしまう。とくに「仮説探索型」の調査なんて、読んで字の如く、仮説を探すんだからね。
けど、ほんとうにそうだろうか?ほんとに、まったく仮説がない状態で、どんな調査をしようというの?ばくっとした仮説でも持っていないと、どこから手を着けたらいいかわかんないし、まったく無駄なことをしてしまうかもしれないと思わない?こういう考え方の人が調査をすると、「あなたは、どんな商品が欲しいですか」的な調査をしてしまうんだよね。わかんないんだから、直接お客さんに聞いてしまえ!ってね。

P夫 う~ん・・・。確かに、そうかもしれないですけど。。。
でも、なんかしっくりこないです。わからないことを知ろうとしているのに、「合理的に説明するための仮の説」といわれても、無理じゃないですか?

owl そう、そこだと思う。「仮説」という言葉に囚われすぎているんだよ。本来の意味は、「合理的に説明するため」のものかもしれないけど、最初にP夫くんが言っていた「こうなんじゃないか、ああなんじゃないかという考え」くらいに思っておけばいいんじゃない?

P夫 まあ、それならできないこともないと思いますけど・・・。

owl あまり納得できていない?^^;
この点について、割と明確に説明してくれている本がある。前にも紹介した『マーケティングリサーチはこう使え』なんだけどね。
この本では、仮説を、「現状仮説」と「戦略仮説」にわけて説明してくれているんだ。

このケースのように、失敗の原因がまったく掴めていない状況では、まず、その原因について仮説を立てる必要があります。この例では、厳密にいうと過去のことになりますが、こうした「事態やその原因」についての推察を「現状仮説」といいます。
この「現状仮説」があって初めて調査の企画ができるようになります。これがないと、誰に何を聞いたらよいのかわからないからです。・・・(中略)・・・
このように、実態を把握する際にも仮説が必要になるケースがあります。そして、この現状仮説を立てる際には、次の「戦略仮説」(次はどんな手を打てば上手くいくのか)の立案に結びつくような項目になっていることが大切です。
戦略立案に役立たないような現状仮説は意味がありませんし、さらに、現状仮説を持たないでやみくもにデータを集めることは時間とお金のムダを生むだけです。データを集めてから現状仮説を立てるのではなく、仮説を立ててからデータを集めるようにすることが大切です。

どう?現状仮説と戦略仮説の例も本の中では紹介してくれているから、もっと知りたかったら、本を読んでね。

さて、たとえば、調査票をつくるときのことを考えてみようか?
どうしてこの商品を選んだのか、という商品選択理由はよく調査項目になるよね?このときに、どうやって選択肢をつくるの?
やっぱり、こうじゃないか、ああじゃないかという現状についての仮説、さらにいいのは、こういう理由が多いなら、こういう手を打てるのではないかという次に繋がる仮説をもっていないと、もしかしたら、ほんとうは必要なことが聞けていないということになると思わない?そして、もっと怖いのは、ほんとうに必要なことが聞けていなくても、聞けていないということ自体に気づかない、ということなんだけどね。

Q子 でも、アンケートとかって、よく「その他」ってあるじゃないですか?あれでわかるんじゃないですか?

owl たしかに、「その他」の記述で、こちらの仮説の致命的な欠点に気づかされることもあるよ。ただ、それは「こういう視点があったのか」ということであって、その量的なボリュームは、わからないと思った方がいいから。
選択肢で示されているので、自分でも「そうだな」と気づいて○をする人もいるし、「他にもあるけど、面倒だからいいや」とその他に答えない人もいるから、選択肢の%と「その他」の%を同じ基準で比べることはできないでしょ?あらかじめ、しっかりと仮説を立てて、選択肢に入れていたら、もっと大きな数値になっている可能性があるからね。

Q子 確かに、そうですね。

P夫 でもですよ、調査の前に立てた仮説に囚われていると、本来はもっと大事なことがあるのに、逆に見逃すということはないですか?

owl 今日は粘るねぇ。でも、またまたいい視点だね。
仮説検証型の調査では限界がある、ということを言う先生もいるし、最近はやりの心脳系でもそういう視点に立っている記述が多いよね。
で・・・、私もそう思う^^;

P夫 ちょっと・・・-_-

owl 仮説検証型の調査の否定論者(といってしまっていいのかどうかですが・・・)の最右翼は、朝野先生だろうね。著書の中で、つぎのようなことを言っているよ。

かねてから朝野が指摘してきたことであるが、仮説検証型の調査は、とかく自由奔放な発想を抑えがちである。なぜなら仮説検証型の調査から得られる結論は、しょせん事前に決めた仮設がYesかNoかの範囲を出ないからである。だから、あらかじめ想定しなかったアイデアが仮説検証の調査から出てくるはずがない。したがって、画期的な事業や新しい解決策を発見しなければならないようなリサーチ課題には、仮説検証型の調査は無力であると思われる。すでに海外産業の追随期を終え、オリジナリティのある新事業を創出しなければならない21世紀の日本の市場においては、クリエイティブなリサーチの必要性は、従来以上に高くなってこよう。これまで「仮説を発見する調査」は非正統であるとして軽視されがちであったが、再評価されて然るべきであろう。(『マーケティング&リサーチ通論』)

ただね、間違ってはいけないと思うのは、ここで言っている「仮説」というのはいわゆる最初にQ子さんが言った意味での仮説で、自然科学的な合理主義のもとでの仮説だということだと思うんだ。それと、そもそもの仮説が凡庸なものであれば、いくら仮説検証を行っても、凡庸なものしか出てこないということ。いまいった仮説は、戦略仮説になるけどね。

P夫 言っている意味が・・・。

owl うん、整理をしないとね。
「仮説」といっても、自然科学で使われているような「合理的な説明をするためのもの」という厳密な意味での仮説、「AだからB」というような仮説だけだと考えなくてもいいんじゃないかということ。こうかもしれない、ああかもしれないということも仮説と捉えてもいいんじゃないか。
それと、仮説といっても「現状を説明するための仮説」と「今後どうすればうまくいくのかということを考える仮設」という2つがあるということも、大切な視点だよね。
そして、2月くらいに言っていたように、「仮説検証型」だけが調査じゃないということ。朝野先生もそのことを言っていると思うんだけど、「仮説(ここでいう仮説は、わりと厳密な意味での仮説の方)」を発見するための調査も、とても重要になってきているということ。
ただ、仮説を発見するための調査であっても、こうかもしれないというような広い意味での仮説がないと、調査設計はできない、調査をしても無駄になることも多いということ。
こんな感じで理解してくれるといいんだけど。。。
難しいよね、自分でもうまく説明できているかどうか自信がない^^;

P夫 なんとなくですけど、わかったような気がします。最後に、もうひとついいですか?
広い意味での「こうかもしれない」にしても、それを思いつくにはどうしたらいいでしょうね?
そこがわからないと、どうしようもないんですけど。自分で考えることには限界があるだろうし。。。

owl そうだね。これまで、ちょくちょく私が言っていたことがあるんだけど。それがヒントかな。

P夫 なんですか?わかる?Q子ちゃん。

Q子 現場、ですか?・・・

owl そう、現場。いくら、机の上や会議室でうなっていても、どうしようもないんじゃないかな。とにかく、売り場に行ってみる、買っている人を見てみる、買うのを止めた人を見てみる。いつ、どんな広告をしているのか、どんな販促をしているのかをみてみる。あ、ちゃんと家でね。買って欲しい人がどんな人なのか見てみる、話を聞いてみる。
なんのことはない、仮説探索型の調査をやっているようなものだけど。
ちょうどいい本があるから、つぎに紹介するね。

統計調査の民間開放・市場化テストに関する研究会

総務省の「統計調査の民間開放・市場化テストに関する研究会」で、最終報告が出されているようです(HPはこちらです↓)。

http://www.stat.go.jp/info/kenkyu/minkan/kenkyu.htm

「民間でできることは民間で」という方針の下で、総務省所管の調査のうち民間開放ができるものはないかということで、いくつかの市場化テストが行われていました。
結論としては、「できるところからやりましょう」ということだと思います。

ただ、議論の過程や市場化テストの結果などをみると、いまの日本の「市場調査」についての様々な課題が透けて見えます。。。

最終報告書は、結構長い文章なのですが、どのような議論やテストが行われ、市場調査の課題がどこら辺にあるのかを確認するには貴重な資料だと思いますので、一度目を通されてはいかがでしょうか?
(最終報告書は、こちらです↓)

http://www.stat.go.jp/info/kenkyu/minkan/houdou4.htm

私自身、気になった文章や表現もいくつかありましたが、国・都道府県が実施していたときに比べ、民間で実施した場合は、回収率や記入内容にいくつかの問題が見られたという点は、とくに気になりました。
WEB調査全盛のいま、マーケティング・リサーチを主業務としている調査会社では、従来のような訪問面接調査を行う機会自体がかなり減少しています。結果として、統計理論に基づく実査ノウハウを持った管理者や調査員が減少しつつあり、そのことがこのような事態をもたらしているのではと思いました。
クライアントの要請もあるでしょうから、WEB調査にシフトしていくこと自体に、とやかくいうつもりはありませんが、だからといって、調査理論を理解しているリサーチャーや調査員が調査会社からも減少していくことにならないのか、それがほんとうにマーケティング・リサーチ全体にとっていいことなのかと・・・。
(う~ん・・・、こう書くと理論至上主義の先生のように見えますね。。。
そうではなくて、現実にあわせた応用を行うにも理論の裏づけがないとできないのでは、ということがいいたいのです。理解していただけますでしょうか?・・・)

こういう視点からも、「統計調査の民間開放」というのは意義のあることなのかもしれませんね。調査会社の劣化を一部にせよ、防ぎうるということで。

報告書の最後にあげられている「今後の課題」からポイントを抜粋して、終わりにします。

第一に、経験や業務遂行能力のある民間事業者が増加していくことの必要性が挙げられる。(中略)
このような状況の下で民間開放を進めていくためには、経験や業務遂行能力のある民間事業者が、現在よりも増加していくことが必要となる。その意味では、統計の正確性、信頼性の維持・向上等を前提とした上で、民間事業者に対して調査実施に関わる機会を与え経験の蓄積を促していくことは、適格な民間事業者が増加し統計調査の実施業務に関わる市場が成熟していくためのステップとしても有意義なものと考えられる。

第二に、統計調査員の在り方と民間開放との関係についても、更なる整理が必要である。

さらに、統計調査を円滑かつ適切に行うためには、調査対象者の理解と協力が不可欠であり、今回の取組を契機として、民間開放の趣旨に加え、統計の意義や重要性について改めて国民に理解されるよう、より一層の広報を適切に行っていくことも重要である。

もうひとつだけ、クライアントとなるリサーチ発注者の方たちに、とくに読んでおいていただきたい文章がありました。これで、ほんとの最後にします。
(ただ、調査会社もどれだけ合理化努力を行っているのかという、一方の課題があることも認識はしてますので。)

3) 結果精度確保のためのコスト
試験調査の各受託事業者が指摘しているように、調査対象から調査の趣旨に理解を得て、調査に協力を得る業務は決して容易ではない。民間事業者がこうした業務を遂行し得る能力、経験と熱意を有する調査員や指導者等を確保するには、一定のコストが必要となる。また、調査の詳細を理解し指示を出すことができる専任スタッフを確保するなどの業務管理体制の確立も、一定のコストを要する。
試験調査の目的上、ヒアリングへの協力や報告書作成の事務経費をも必要としたこと等に留意する必要はあるが、試験調査Bにおける各受託事業者のいずれも、今回の落札金額のみでは実施経費をカバーしきれなかったとしていること、試験調査Bの受託事業者の中で、他に比べて特に安価な金額で落札した広島の受託事業者において記入状況の質の不十分さ等が最も著しかったことなどの事実は、コスト面の効率化のみを追求すべきではなく質の維持・向上との両立を図ることの重要性を示唆している。入札に際して実施経費を見積もるに当たっても、こういった点を考慮する必要があると考えられる。

ふたたび、よいblog紹介~カスタマーバリューのフロンティア

(寺子屋はなかなか再開せず、他の方のHPやblogばかりを紹介していますが・・・。)
とても参考になるエントリーを発見、ぜひ紹介したい&備忘録に、ということでとりあえずのアップになります。

そのblogは、「マーケティング・ブレイン」さんです。
今週シリーズでエントリーされている「カスタマー・バリューのフロンティア」は、リサーチ担当者、商品開発担当者は必読の内容だと思います。
また、このblogでも取り上げた「仮説探索型」リサーチのよい事例集になると思います。

マーケティング・ブレインさんが触発されたのは、以前少し紹介した「心脳マーケティング」のようですが、消費者調査・リサーチの最先端ともいえる様々な事例を紹介してくれています。
6回シリーズなのですが、初回の内容を読んだだけで、共感できる記述が盛りだくさんです。

全6回の内容とリンクを以下に記しますので、どうぞお楽しみください。

1.カスタマー・バリューのフロンティア
2.表層心理の消費:シャープの『ホット庫』という見えないニーズへの気づき

3.深層心理の消費:サントリーのネット‘珍問答’飲料調査
4.感動心理の消費:花王『エッセンシャル』でかわいくなる
5.経験心理の消費:AVISレンタカーの経験
6.売り手の情熱:トヨタ『bB』 若者による若者のための・・・

他の方のblogだけを紹介していてもなんなので、関連していくつか。

第3回で取り上げられているサントリーの事例は、↓の本の中でも取り上げられています。(いずれ紹介しようと思っていたのですが・・・)

イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学 イノベーションの作法―リーダーに学ぶ革新の人間学
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2007-01

この本の中で、つぎのような記述があります。

見えないものの典型のひとつに、消費者の潜在的なニーズがある。変化の早い市場や成熟度の高い市場については、顕在化しているニーズに対応するだけでは、ニーズの変化に遅れたり、他者との過当競争に陥りやすいため、いち早く潜在的ニーズをつかむことが大切になってきた。ただ、消費者自身も意識しておらず、その商品やサービスが提供されて初めて、それを求めていたことに気づくことが多いため、いくら市場調査を重ねても、潜在的ニーズは見えない。顕在化していない以上、一般的な消費者調査では調べることができない。

そして、この「一般的な消費者調査ではみえないニーズ」を探ろうという試みの事例が、マーケティング・ブレインさんが取り上げている事例にあたると思います。

また、一方で、コカ・コーラ社もつぎのような取り組みを始めています。

コカ・コーラ、心理学に着目して消費者を分析~飲料市場を「なぜ」でとらえるマーケティング展開(NBonline)

コカ・コーラの事例については、まいどの「マインドリーダーへの道」さんも取り上げていますので、あわせてご覧ください。

コカ・コーラの「CBL」:消費者調査の新手法

PS.
このようなblogを見てしまうと、正直、寺子屋を続けるのが必要だろうかと思ったり^^;
ま、近日中には再開をしようと思ってはいますが・・・

マーケティング・コラム(備忘録)

最近、blog中心に情報収集をしていて、あまりHP系は見ていなかったのですが、久しぶりにwebサーフィン(死語?)して、保存しておきたいページがあったので、備忘録を兼ね、ご紹介しておきます。
いずれも、「President Online」からのものです。

■消費者の生活に深く入り込む「経験価値マーケティング」(2006/1/30号)

マス・マーケティングの反省の中から生まれたのが、ブランド・マネジメントである。
しかし、その落とし穴はブランドのアイデンティティの議論が抜け落ちてしまうことにあった。
そこで筆者は、「経験価値マーケティング」という新しい手法を提案する。

■なぜテレビで紹介された商品を買ってしまうのか?(2006/4/3号)

情報バラエティ番組の商品紹介は、広告よりも圧倒的に効果がある。
筆者は、これを「インフォテイメント効果」と呼ぶ。
なぜこの効果が生まれるのか。二つの心理的機制から、この問題を考える。

■好調!松下PC事業の「三つの秘密」(2006/7/31号)

PC業界のトップを走るデルやHPでさえ、売上高利益率は10%に達しない。
生き残りをかけて、どういう戦略をとるべきか──。
筆者は、松下電器の例を基に「リーン・デザイン」の重要性を説く。

■市場に揉まれて強くなる「ロバストデザイン」とは(2006/10/2号)

持続的な競争優位を求め物づくりにこだわると、最初は単純なコンセプトで
出発したはずの商品も、多彩なベネフィットをもつ商品として完成度を上げる。
こういった商品を「ロバストデザイン」と呼ぶ。
筆者はここに、日本企業の優位を発揮できる余地があると主張する。

■隠れたニーズを掴むもうひとつのイノベーション(2006/12/4号)

「コマーシャル・イノベーション」という言葉をご存じだろうか。
顧客と新しい関係をつくることによって、市場を開拓する方法をこう呼ぶ。
新商品、改良商品、既存商品の三つの例をもとに、
このイノベーションについて検証してみよう。

■病院改革に光!「プリコラージュ」という手法(2007/1/29号)

高齢化により、病院の患者獲得合戦が繰り広げられている。
産業界が経営に乗り出すケースも増えている。
患者満足の向上、医療の質の向上、無駄なコストの削減という
三つの課題をどうやって解決するか。筆者は、新しい手法を提案する。

すべて、神戸大学の石井先生のものですが・・・^^;

『ヒット商品を最初に買う人たち』

ヒット商品を最初に買う人たち ヒット商品を最初に買う人たち
価格:¥ 735(税込)
発売日:2007-03-16

【2007.3.28追記しました】

(またまた本紹介です。寺子屋は4月から再開予定です、すいません<(_ _)>)

前回紹介した『シンプルマーケティング』の著者・森氏の、新書による新刊です。
テーマはイノベータ理論を使っての商品ヒットについての分析、解説です。
今回も、具体的な事例を使ってのわかりやすい内容になっています。

もくじは、以下。

第1章 最初に手を出す人たち
第2章 ヒットを作る「イノベータ」たち
第3章 ヒットの寿命もイノベータ次第
第4章 ヒットを狙う企業の戦略
第5章 ゲームの理論を変える革新的イノベータ

森氏のイノベータ理論は、「イノベータ」「アーリーアダプタ」「フォロワー」の3分類で、日本での分布を、イノベータ=10~12%、アーリーアダプタ=15~35%、フォロワー=60~70%としています。
ロジャースの普及理論をすでにご存知の方からすると、この言葉の使い方は少々混乱するかもしれませんので、その点は注意が必要かもしれません。

1章で「ヘルシア緑茶」「ニンテンドーDS」「iPod」を事例にヒット過程を検証していきます。
2章では、イノベータがどんな人たちかを解説します。
3章では、この3分類を軸とした購入意向を指標としながら商品のプロダクトライフサイクルの見極めを行う方法を解説します。
4章では、ヒットを狙う企業サイドからの方法論として、プロダクトコーン理論とスキミング戦略/ペネトレーション戦略の視点から解説します。
そして5章。おそらくこの本のポイントだと思うのですが、革新的な商品は市場のルールを変える商品だとして、ルールを変える消費者を「革新的イノベータ」と定義します。そして、「伝統的なイノベータ」と「革新的イノベータ」が存在するダブルイノベータ構造が生まれます。詳しくは、本書を読んでいただくとして、リサーチの視点としては、つぎの文章が参考になります。

革新的イノベータは、つまり、いくら「その商品を買っている人」を調べても発見できません。しかし、多くの企業は、自社に関連する商品のユーザーしか調査していません。たとえば、ビール会社なら「ビールを週に1回以上を飲む人200人を対象としたアンケート調査」、ゲーム会社なら「ゲーム機を週3回以上使う人を対象としたアンケート調査」などです。ましてや、「自店に来店する顧客1000人を対象としたアンケート調査」しかしないファミレスもある。これでは、従来のルールに則った常識的な反応しか返ってきません。
この方法はマーケティング的には間違いではありませんが、たとえばiMACのような「パソコンを滅多に使わない人」「今までパソコンを使っていなかった人」の中から革新的イノベータを見つけることはできません。

・ビールを飲まないのはなぜなのか
・ファミレスをかつては利用していたのに、現在滅多に来店しないのはなぜなのか

こういった視点からしか革新的イノベータを見つけることはできないのです。

リサーチの設計、とくに「誰を対象とするのか」は、とても大切です。
このあたりを理解しているか、いないかでリサーチが有用なものになるか、ならないかが大きく異なるでしょう。

マーケティング初級者~中級者にお勧めの本です。
さらに、つぎの2冊もあわせて読むといいと思います。

キャズム キャズム
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2002-01-23

ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション ライフサイクル イノベーション 成熟市場+コモディティ化に効く 14のイノベーション
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2006-05-16

最後に、少々苦言を・・・。
校正が、全般に甘い感じです。ソフトバンクとはいえ出版社なのですから、もう少しきちんと校正を行って欲しいものです。読む時の障害となってしまうこともありますが、119ページにあるようなミスは本書の信頼性を損なってしまいます。(こちらの読み違いかとも思ったのですが、たぶんミスです。ちょっと出版社に確認してみますが。)せっかくの良書なので、このあたりが残念です。

【2007.3.28追記】
上記の「119ページにあるようなミス」の件、出版社より返信をいただきました。
該当部分を、以下に紹介します。

この部分では、『ポカリスエット』や『オロナミンC』は他社製品で同等の広告費を掛けている例であり、これは、ケンタッキー・フライドチキンやカルピス食品工業1社分の年間広告費にあたります…という点を述べたかったとのことでございました。
増刷の段階で、このあたりは修正させていただきたいと考えております。

「コカ・コーラ」のように30億規模の広告費を使っているブランドの例として、他にも「ポカリスエット」「オロナミンC」があるということのようです。だとしたら、納得ですね。

『シンプルマーケティング』

改訂 シンプルマーケティング 改訂 シンプルマーケティング
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2006-01-31

最後に、もう一冊。
実は、この本が、個人的には一番のお勧め本だったりします^^;

この著者のメールマガジンは、マーケティング関連の中ではピカイチです(最近は、半年に1回くらいしか発行されないのが残念ですが)。
なにが良いかというと、本質をついた視点&結構長いメルマガなのですが、とにかく読みやすい。
そんな著者の書いた本ですし、身近な事例を用いながら解説していますので、読みやすいし、わかりやすい。
ただ、実践的な内容でもありますし、著者独自の理論もありますので、マーケティングの本質を理解した上で、かつある程度のマーケティング理論を知った上で読んでいただいた方がいいかと思い、一番最後に持ってきた次第です。
(この本から入っても、もちろん大丈夫だと思います。マーケティングは、こんな風に使えるのかと興味を持ってもらうのもありだと思いますので。)

もくじは、こんな感じです。

第1章 生活者をとらえる
  1-1 「イノベータ理論」で生活者をとらえる
  1-2 「ライフスタイル」から生活者をとらえる
第2章 市場をとらえる
  2-1 「クープマンの目標値」で戦略を立てる
  2-2 市場を細分化して考える
  2-3 売上を占う「プロダクト・ライフサイクル」
第3章 商品を評価する
  3-1 プロダクトコーン理論
  3-2 商品の「記号」と「意味」の一致(ブランド)
  3-3 ブランディング
第4章 商品の「戦略」を評価する
  4-1 3種の攻撃法
  4-2 スキミング&ペネトレーション戦略
  4-3 力のない企業でも勝てるDCCM理論
  4-4 「知名度」「トライアル」「レギュラー」から問題点を見つける(U&E)
第5章 生活者の意識と商品
  5-1 レーダー理論とポジショニング
  5-2 購入基準とヒエラルキー
  5-3 「選好シェア」と「実売シェア」の時間差理論

マーケティングを少しでもやっている人であれば、聞いたことのある言葉がいくつかあると思います。教科書ではなかなか理解しにくい言葉でも、事例をもとに説明していますので、「なるほど、このように使うのか」ということを理解できるでしょう。

とくに、「プロダクトコーン理論」はおすすめです。
これを知っているといないとでは、商品を考える視点がまったく違ってくるのではないかとも思います。
また、ネット調査を考える上では、「イノベータ理論」も押さえておかなければならないです。今後、寺子屋で代表性の話をしていきますが、そのときにも、この「イノベータ理論」の視点から話をしようと思っていますので。

とにかく、マーケティングの理論を事例を元に理解するには、この本以上のものはないのではないかと思っています。
お勧めです、ぜひ一度、ご覧になってみてください。

PS.
また、「マインドリーダーへの道」さんのblogになってしまいますが・・・。
この本のポイントを、20回のシリーズで紹介してくれています。
著者の森さんも、コメントを投稿してくれていますので、本書についてのさらに深い理解も得られるかもしれません。(なので、ぜひ本文だけでなくコメントもご覧ください。)

デイリーブログ「マインドリーダーへの道」:シンプルマーケティング






『MBAマーケティング』

新版MBAマーケティング 新版MBAマーケティング
価格:¥ 2,940(税込)
発売日:2005-03-04

もっと、体系的にマーケティングを学びたい、けどコトラーのような分厚い専門書はちょっと・・・、という方へ。

まさに「教科書」です。それ以下でも、以上でもないという感じ。
とはいえ、ある程度、マーケティングのなんたるかはわかってきたし、もっと総合的に、理論的な背景も身につけたいと思っている方には、手ごろな本だと思います。

もくじはこちら。

第1章 マーケティングの意義とプロセス
第2章 市場機会の発見
第3章 セグメンテーション、ターゲティング
第4章 ポジショニング
第5章 製品戦略
第6章 価格戦略
第7章 流通戦略
第8章 コミュニケーション戦略
第9章 ブランド戦略
第10章 マーケティング・リサーチ
第11章 競争戦略
第12章 カスタマー・リレーションシップ・マネジメント
第13章 ビジネス・マーケティング(生産財マーケティング)

各章とも、「POINT-CASE-理論」という構成になっています。ですので、理論で説明されている内容について、ケースを再度考えながら読み込むことによって、理解が深まるのではないでしょうか。

本格的な専門書を読む前の導入として、本書をおすすめします。

さて・・・
ここまで、マーケティングについての3冊の本を紹介してきましたが、世の中には「マーケティング」と付いている本は、もっといっぱいあります。ここで紹介しなかった本でも、良書はあると思います。本屋さんのマーケティングのコーナーへ行って、片っ端から手に取ってみて、自分に合いそうな本を見つけていただいてもいいと思います。(ただ、玉石混合なので、その点は注意してください)
そして、より専門的な本へも、ぜひ挑戦してみてください。

といいながら・・・、
こちら↓でも、マーケティングに関する本をいくつか紹介していますので、こちらを参考にしていただけると、なおうれしいですが・・・^^;

マーケティング・リサーチの寺子屋出張書店:マーケティング

『マーケティング実践講座』

実況LIVE マーケティング実践講座 実況LIVE マーケティング実践講座
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2005-06-10

少しは、マーケティングについて理解できたかな、という方向けに。

マーケティングの代表的な理論を紹介しつつ、事例を交えながら、マーケティングを実践していく流れが紹介されています。
そして、割とマーケティング・リサーチ寄りの説明がなされているので、とくにリサーチャーの方にとっては、役立つポイントがあるのではないかと思います。

もくじは、こちら。

Part1 マーケティングとは何か
Part2 マーケティング戦略の実践法
 STEP1 顧客を知る
 STEP2 競合を知る
 STEP3 自社を知る
 STEP4 自社が勝てる市場を特定する
 STEP5 差別化のための具体策を立てる
Part3 マーケティングの調査分析手法
Part4 これからのマーケティングには何が求められるか?
Part5 [演習]サントリーDAKARAのマーケティング戦略を立てる

気づいた方、いらしゃいますか?
前のエントリーの『ドリルを売るには穴を売れ』で言われていた4つのポイントと、ほぼ同じ構成ですよね。やはり、誰が書いても、マーケティングの本質はこの4つだということですね。

この本でおもしろいのは、Part5の演習。DAKARAを事例にしながら、具体的なマーケティング戦略立案の流れを示しています。自分で考えながら、このPartを読んでいけば、マーケティングの流れをさらに理解することができると思います。

PS.
以前、著者の講演を聞く機会がありましたが、そのセミナーもおもしろかったです。
こちら↓に概要がありますので、あわせてご覧ください。

夕学五十講楽屋blog:「五感と実質価値を提供する」 須藤実和さん






『ドリルを売るには穴を売れ』

ドリルを売るには穴を売れ ドリルを売るには穴を売れ
価格:¥ 1,500(税込)
発売日:2006-12-23

「寺子屋」で、マーケティングの本をいくつか紹介するといいながら、横道に逸れたエントリーばかりで・・・。

今回は、本筋に戻り、マーケティング本の紹介です。
とくに、マーケティングって何?、いくつかマーケティングの本を読んだけどピンとこなかった、というような入門者向きの本から、紹介します。

本書の題名をみて、「マーケティングの本だ」とわかる方は、すでにマーケティングを理解されている方だと思います。この「ドリルを売るには・・・」は、実はレビットという学者がだいぶ前に言った言葉で、マーケティングの本質を端的に示しています。
そして、個人的には、この本を読んで、「マーケティング・リサーチをやるには、やはりマーケティングを理解していないと」と強く思わされました・・・。

いつものように、まずはもくじから。

序章 ”マーケティング脳”を鍛える
第1章 あなたは何を売っているのか~ベネフィット
第2章 誰があなたの商品を買ってくれるのか~セグメンテーションとターゲット
第3章 あなたの商品でなければならない理由をつくる~差別化
第4章 どのようにして価値を届けるか~4P
第5章 強い戦略は美しい

いまの流行なのでしょうか、廃業寸前レストランの復活というサイドストーリーを絡めながら、マーケティングの本質をわかりやすく説明しています。
それは、もくじを見ていただければわかるように、マーケティングの理論を4つのポイントで説明しているからでもあります。確かに、マーケティングを学ぶ上では、他にもいろいろな理論や用語がありますが、マーケティングの「本質」を学ぶには、この4つでいいのかもしれません。(だからこそ、入門者向け、なのですが)
著者も、「序章」でつぎのように書いています。

もちろん、これは基本中の基本であり、これ以外のことも知っておいた方がもちろん良い。だが、その前にこの基本をおさえておかないと、次の応用・実戦などに進んでも、しっかりとした土台のないまま知識を積み上げていくことになってしまう。

ただし、本でマーケティングを学ぶことも大切ですが、地に足のついたマーケティングを行うには何が必要か。とくに、リサーチャーは、ともするとパソコンとにらめっこばかりになりがちなので、つぎの言葉は、心に留めておきたいものです。

「マーケティングは、お客様のココロの中で起きている」

そして、

マーケティング脳を鍛えるには、自分の身の回りから学べばよい。何かを買ったとき、買わなかったときに「なぜこの商品を買ったのか?」「なぜこの店で買ったのか」と考えていけばよいのだ。その裏には、売りたい人のマーケティングがあるはずだ。さらに家族の誰かが何かを買ったら、なぜそれを買ったのかを聞いてネタにすればいい。

これができるか、できないかで、ほんとうに大きな差がつきます。

それと・・・
少し本題からはずれるのですが、サイドストーリーの中に、集めたアンケート(紙)を一枚一枚読み込むシーンがでてきます。
いまのようにネット調査が主流ではなく、紙ベースでの調査が主だった頃、回答内容の点検をするために、ざっとではありますが一枚一枚の回答用紙を見ていたことを思い出しました。そうすると、回答をしてくれた方ひとりひとりの行動や意識のパターンがなんとなく想像されたものでした。これは、集計データという個をまったくなくしたものでは得られない情報だったと思います。この過程を経ることで、分析の際もある程度、「個」を意識したものになったと思います。
ネット調査では、これは難しい。データはすでに、Excel上の数字だけになってしまってますから。。。ネット調査がもたらした、ひとつの欠点といえるでしょうね。
(この視点については、「マインドリーダーへの道」さんのblogでも、もう少し詳しいエントリーがありましたので、こちらも参考にしてください。)

さて、本書に戻ります。
なんども書いてますが、マーケティングの本質を理解する上で、とくに入門者の方には、おすすめの本です。

【関連して】

同じように、マーケティングの入門としては、↓の本もいいと思います。こちらは、ほんとに小説仕立てで、理論的なことはポイント的にまとめられているだけですが。

マーケティングは愛 銀座ママ麗子の成功の教えシリーズ マーケティングは愛 銀座ママ麗子の成功の教えシリーズ
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2005-05-25

それと、どのようにお客様のココロに近づくかについては、こちらのエントリーで紹介している本が、役立つと思います。

本書とあわせて、読んでみてください。