日別アーカイブ: 2008-09-16

TNSとGfk合併はご破算?

【20081208追記あり】

以前、こちらのエントリー(2008.5.1)で、ワールドワイドでのリサーチ会社合併の可能性として、TNSとGfkが合併か?ということを書きました。

ところがここにきて、状況が変わってきているようです。。。

世界3位の市場調査会社テイラーネルソンソフレス(TNS)の争奪戦から独同業GfKが撤退した。同社は27日、広告で世界2位の英WPPによる総額約11億ポンド(2,200億円)の買収提案に対抗するための資金調達ができなかったとして、TNSの取得を断念すると発表した。一方、TNSはこの日、WPPの提案を拒否する姿勢をあらためて示している。
(「独GfK、TNSの争奪戦から撤退」NNA.EU/2008.8.29)

何が起こっているのか・・・?

端的に言うと、6月の初めにはTNSとGfkの間で合意に達していた合併交渉に、広告会社で世界2位のWPPグループが参入し、7月に入りWPPがTNSに対しTOBを仕掛ける。Gfkは、買収提案に対抗するためにファンド会社と共同で提案を行うも不発、対抗できる資金調達も難しいため、買収を断念。

ということのようです。
ただし、TNSとしては、WPPの提案を拒否する姿勢を示しているので、これから事態がどのように推移するのかは、まだわかりません。
(対して、WPPはTNSへのTOBを延長しているようです。)

この合併・買収問題が、今後どうなるかも興味深いですが・・・、
(TNSとGfKの合併がご破算になると、インテージの世界トップ10入りも先伸ばしになってしまいそうですし・・・)

ここで確認したいのは、「なぜ、WPPが、こうまでしてTNSを買収したいのか」ということ。同記事によると、WPPの狙いはつぎの点にあるとしています。

WPPは傘下に市場調査会社のカンター・グループを抱える。カンターとTNSを統合すれば同業界で世界2位に浮上し、最大手の米ニールセンを追撃する体制が整う。これにより景気の影響を受けやすい広告事業への依存度を弱める考えで、今回、GfKの決定を歓迎する声明を出している。
(「独GfK、TNSの争奪戦から撤退」NNA.EU/2008.8.29)

この記事を素直に読めば、「事業分野のひとつである情報部門を拡大することで、広告依存の事業構造から脱却する」ということになりますか。これは、リサーチが収益性のある事業と考えている、ということでもありますよね?

日本の場合はどうでしょう・・・?
日本で広告代理店(やメディア)がリサーチ会社を傘下に置くのは、純粋に「リサーチ機能」を手元に置きたい、ということのように思うのですが。
リサーチ会社の情報力とか、収益性を見込んでのこと、とは正直思えない。。。
となると、日本と欧米のリサーチ会社は、その(社会的?)ポジションが異なっているとも言えそうですし、実際に異なっているとしたら、何が違うのか?要因は何なのか?ということを、考える必要もあるのではないかと・・・。
(実際、日本と欧米のリサーチ会社のポジションは異なる、とよく耳にします。。。)

今回のTNSとGfKの記事から、このようなことを考えてしまいました。。。
完全に個人的な感想なので、実態がどうなのかは定かではありませんが。

【追記2008.12.8】

結局、WPPグループのTNSの買収は成功し、TNSはWPP=カンターグループの一員になったようです。
TNSインフォプランからのリリースが出ていましたので、引用しておきます(リリース日:2008.11.29)

ロンドン発、2008年10月31日付プレスリリースで、TNSは、英国の大手広告会社WPPの Information, Insight and Consultancy Division, The Kantar Groupファミリーになったことが、正式に発表されました。
TNSブランド、TNS独自のサービスおよび製品開発は、優先的に継続され、弊社TNSインフォプランも含めて、経営陣、経営組織の大きな変更はございません。 TNSがWPP, The Kantar Groupファミリーになったことで、更にお客様のニーズに対応し充実したサービスを提供できると信じております。
TNSインフォプラン社員一同、お客様のお役に立てるサービスを提供できるよう、一層努力する所存ですので、今後ともどうぞ宜しくお願い申し上げます。
(TNSインフォプラン、リリース)