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「リクルート創刊男の大ヒット発想術」

リクルート「創刊男」の大ヒット発想術 リクルート「創刊男」の大ヒット発想術
価格:¥ 750(税込)
発売日:2006-08

「R25・藤井氏」つながりで、この本を。
以前から、リクルート出身者に興味を持っていました。なぜか、目に留まる人や、気になるブログの著者がリクルート出身者が多かったので、「リクルートというのは、一体、どうやって仕事をしているんだろう?」という想いがありましたので。
この本の著者のくらたまなぶ氏も、実は藤井氏と同じセミナーでプレゼンテーターをされたことがあり、その際の話が面白く、この本を読んでみようという気になりました。

著者は、リクルートで「とらばーゆ」や「じゃらん」など、それまで市場にない雑誌(=商品)を、14も世に送り出した方です。その際の仕事の流れについて、実体験を多く交えながら紹介してくれています。
まえがきで著者も書いてあるとおり、創刊にかかわらず、サイトの立ち上げ、企画、商品改良や新商品開発、既存事業の見直しや新規事業開発、新会社創業など、新たな市場を創造しようという場面で使えるノウハウが詰まってると思います。
ただ「リクルート」という組織だからできるのでは?と思うこともありますので、すぐにまねできるかどうかは別ですが、ヒントは与えてくれるのではないでしょうか。

もくじをみると雰囲気がわかると思うので、引用します。

1章 ちゃんとふつうに生活すること
2章 「人の気持ち」を聞いて、聞いて、聞きまくる
3章 「不」のつく日本語をもとめて
4章 ひたすらブレストをくり返す
5章 不平不満をやさしい言葉でまとめる
6章 まとめた言葉をカタチにする
7章 プレゼンテーション-市場への第一歩
8章 「起業」-夢を見すえて変化に即応する

この中で、2~3章がリサーチについて述べている章です。
いくつか、見出しを紹介しておきます。

・「マーケティング」とは、「人の気持ちを知る」こと
・ヒアリングのとっかかりは「算数」から
・とにかく「身近な人」から聞き始める
・用紙なし、録音なし、謝礼なし、90度の位置、友達感覚、2ショット
・「したこと」から、「思い」や「感じ」を引き出す
・いつでも、どこでも、誰でも、何でも、ヒアリング

4番目などは、ほんとうはグルイン、インタビューの理想型だと思うのですが、実践は難しいです。どこかの調査会社さん、グルインルームの改革をしてくれないでしょうか?会議室然としたものではなく、もっとサロン、居間のような感じのものに・・・。(もしも、そんなグルインルームを知っている方がいらっしゃっいましたら、教えてください。)

それと、6番目。これは、調査会社所属のリサーチャーに、とくに言っておきたいこと。ひとりでパソコンにしがみついているばかりでは、ダメ。テーマについて、もっといろんな人と話をしてみましょう、街へでましょう!

PS.
R25・藤井氏の話も、この本を読んでいたので、200人ヒアリングと聞いてもさほどの驚きは感じなかったです。リクルートならやるかも、と思っていました。。。

「実況!”売る力”を6倍にする戦略講座」

実況!“売る力”を6倍にする戦略講座 実況!“売る力”を6倍にする戦略講座
価格:¥ 680(税込)
発売日:2006-08

owlの最初に入ったマーケティング会社とは、この本の著者が設立に参画したところです。
最初に出会ったマーケティングの師が、水口健次であったことも、かなりラッキーなことだと思っています。師とは言っても、直接教えをいただいてわけでもなく、一緒に仕事の現場にいたことがそんなに多くなかったのが残念なのですが。。。
データから現象をスパッと解釈し、ポイントを明快なフレーズで語る姿をみて、すごいなと感じていました。リサーチの面白さを私に教えてくれた一人です。

この人の語り口は独特で、とくにこの本はその語り口がいかんなく発揮されています。「実況」とあるように、どこかのセミナーで話を聞いているような感覚に陥ります。また、水口健次の本でのもうひとつの特徴は、事例を元にして語られることが多いので、理解がしやすいということがあります。

もしかしたら、いわゆる「マーケティング理論」からははずれている点もあるのかもしれません。ただ、マーケティングは実学でもあると思っているので、理論に凝り固まらずに、実際に目の前で起こっていることを、どのように活かしていくのかがより重要であると思います。この本は、そんな視点を与えてくれます。

これまで、あまたのマーケティングの本を読んだけど、もうひとつ理解できなかった、ぴんとこなかったという方に、とくにお勧めします。

今回は、この本の裏表紙にある紹介文を、引用しておきます。
この紹介に偽りはないと思います。

「値下げと新商品なんかでは“問題”は解決しない」「お客さんは自分の欲しいものを知らない」「メーカー営業はもう威張れない」・・・。現場マーケティングの泰斗が「商売の基本」をユーモアたっぷりに教える「読む講演会」。一冊読めば、あなたの売る力は6倍に!

そういえば、この本にも紹介されていますが、水口健次は以前から「多次元接点戦略」という概念を提唱していました。少し前に、「コンタクトポイント」、「タッチポイント」という概念がブームになっていましたが、「多次元接点戦略」の方がより広い概念を呈示しているのではと感じていたことを思い出しました。

水口健次の他の著書もお勧めです。
こちら↓もあわせてどうぞ。

通念への反論-顧客、ブランド、価値営業の新しい真実がある- 通念への反論-顧客、ブランド、価値営業の新しい真実がある-
価格:¥ 1,365(税込)
発売日:2003-06-06

マーケティング戦略の実際 マーケティング戦略の実際
価格:¥ 903(税込)
発売日:1998-03

最後にこの場を借りて、私信を。
あとがきにお名前のあがっている澤田さん、二俣さん、峰政くん。お元気そうでなによりです。お名前を拝見して、懐かしく思っています。
覚えていらっしゃるかどうかわかりませんが、もしも、拙文が御目に留まることがあれば、ご連絡いただければうれしいです。