インサイト 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2005-02-17 |
「インサイト」について、もう少し知りたいという方に向けての本を2冊。
まず、その名もずばり「インサイト」。
入門書として読むには手ごろな本です。ただ、あまり奥行きはありません。
インサイトとは何か、インサイトを見つけるリサーチ手法は、発見したインサイトをどうマーケティングに結びつけるのかということと、ハーゲンダッツとシックをケーススタディとして取り上げています。
ただ、この本で一番共感してしまったのは、「はじめに」に書かれていたつぎの文章でした。
(グループインタビューで)
この日の座談会も司会者の仕切りのもと、「この点はいいと思います」「ここは、こういうふうに変えたほうがいい」など、理路整然と話し合いが進んでいた。ところが、話し合いの途中でたまたま、司会者がトイレか何かの急用で部屋を出た。そのときである。鏡の向こう側(座談会会場)で、とんでもないことが起きたのは。
司会者がいなくなったとたん、対象者たちがホンネで自由気ままに話し出したのだ。「この商品は売れないと思うな」「いままでのと変わらない」「私には必要なさそう」といった声が飛び交ったのである。
さっきまでの話し合いはいったい何だったのだろう、という感じだ。もし、司会者がいるときの発言だけを元にして新製品を出したとしたら・・・。想像するのも恐ろしい。司会者が部屋に戻ってくると、何事もなかったかのように話し合いが再開されたから、一同苦笑いだ。
あってはいけないシチュエーションですが、実際にあります。なので、私は謝礼を取りにわざと席をはずすようにしています。あるいは、謝礼を配る時や、帰り支度をしている時に核心の質問をしたりします、この時はふっと気が緩む瞬間ですから。
それと、クライアントの方。グルインは、必ず同じ瞬間に立ち会うようにしてください。その場での表情や、行間の雰囲気がとても大切ですから。あとでまとめられた報告書は、極論すれば報告書のための報告書であって、そこで雰囲気や行間を伝えることは難しいですので・・・。
インサイトの本題から横道にそれてしまいましたが、とりあえず、「インサイト」ってなんだという方の入門書として、どうぞ。
図解やさしくわかるインサイトマーケティング 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2006-09-22 |
つぎに、「インサイトマーケティング」。図解とあるように、左ページ文章、右ページチャートで構成されています。
やはり、インサイトとは何か、脳科学とインサイトとの関係、インサイトマーケティングの進め方、インサイトを発見する技術、などで構成されています。いってしまえば、ノウハウ本です。
いまのところ、インサイトについて、ある程度、実務的に書いている本はこれだけだと思うので、実務でどう使うんだろうと思われる方は、こちらの本を。
ただ、読んだからといって、ほんとうにできるかどうかは別だということを心しておいてください。さきほどのグルインの事例にもあるように、彼ら、彼女らのほんとうの心を知ることは、簡単ではないので。