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「社会調査のウソ~リサーチ・リテラシーのすすめ」

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ 「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
価格:¥ 725(税込)
発売日:2000-06

「データの罠」を読んでいて、思い出した本です。
発行は2000年と少々古いですが、内容は「データの罠」と同様に、世の中のデータや調査の問題点を指摘するものになっています。
ただ、第4章で「過ち」が起こる原因、逆にいえばリサーチをする時に注意しないといけないことが具体的に記述されている点で、よりリサーチや調査の実務には役立つ本です。

序章から、「本書の論点」とされている部分を引用します。

①世の中のいわゆる「社会調査」は過半数がゴミである。
②始末が悪いことに、ゴミは(引用されたり参考にされたりして)新たなゴミを生み、さらに増殖を続ける。
③ゴミが作られる理由はいろいろあり、調査のすべてのプロセスにわたる(いろいろと例示するつもりである)
④ゴミを作らないための正しい方法論を学ぶ。
⑤ゴミを見分ける方法(リサーチ・リテラシー/research literacy)を学ぶ。

著者は社会調査論の先生なので、ところどころ専門的になっているところもありますが、やはり新書ですので専門書のような難しさはないと思います。

お勧め。




「データの罠~世論はこうしてつくられる」

データの罠―世論はこうしてつくられる データの罠―世論はこうしてつくられる
価格:¥ 714(税込)
発売日:2006-09

最近発売されたばかりの本です。
主にマスコミで取り上げられたデータや調査を引用しながら、これらのデータや調査を見るときにどのような点に注意すべきかを教えてくれます。

この本の中でも「日本人は平均志向が強い」と指摘されていますが、実際に調査をしていても、「ランキングで1位になっているから選ぶ」「皆がいいと言うから選ぶ」「他の人はどう思っているんだろう」というような反応をする人が少なくありません。つまり、世間で公表されているデータや調査、口コミに影響されやすいようです。しかし、そのデータが正しく収集され、分析されたものでないとしたら、根本的に行動のベースが覆ることになりかねません。

そこで、データや調査結果を、どうみればよいのかというリサーチ・リテラシーが重要になるのです。ふだん、何気なく見ているデータや調査について、正しく理解する一歩になると思います。

序章から、この本の内容を紹介する部分を引用します。

第一章ではまず、世論調査の問題点について、その質問の仕方、選択肢の設定、対象者のサンプリング手法などを論じ、また、最近流行のインターネット調査やテレゴングが世論調査の名に値しないことを指摘する。
第二章では、家計調査や選挙の出口調査、各種のランキングなどさまざまな調査にまつわる課題や、視聴率調査で、コンマ1ポイントの差を競うことの無意味さなどを明らかにする。
第三章では、データの正しい見方について、日本人の平均信仰や英語力、人口などさまざまな事例をもとに解説する。
第四章では、官から民への変革期において、必ずしも正しいデータをもとに議論されていない点を明らかにし、終章で、データの罠を見抜くポイントについて具体的にまとめ、一人一人がデータを見る眼を養うことの大切さと、マスコミの姿勢の問題点を指摘する。

著者は元官僚で、今は大学の先生ですので、この紹介文もやや固めですし、「選択肢」「サンプリング」などの専門用語も出てきていますが、新書なのでそんなに読みにくい本ではないと思います。

お勧め。