もうひとつ、備忘録を。
かねてから、脳科学や認知心理学の研究をしてきた博報堂ですが、専門組織を発足し、本格的に事業化するようです。
新聞記事で代表的なものも紹介(Yahoo!ニュースのソース)。
博報堂 20人の新組織 脳科学でマーケティング支援(Fuji Sankei Business i :2009/8/19)
フジサンケイの記事では、脳科学、ニューロばかりが注目されていますが、博報堂のリリースをよく読むと、そればかりではなく、これまで同社で行ってきた様々な手法もあわせて提供するようです。
詳しくは上記のリリースを見ていただければと思いますが、その提供サービスを列挙すると下記のとおりです。
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EEG(Electro EncephaloGraphy)
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fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)
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アイ・トラッキング調査
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ZMET(Zaltman Metaphor Elicitation Technique)調査
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レスポンス・レイテンシー調査
ニューロマーケティングや潜在意識を測定、解明するための主な手法が網羅されていると思います。
ちょうど、この前の「ガイアの夜明け」でもやっていたのですが(2009/8/18放送)、インタビューやアンケートで、「この商品を使って、快適に感じますか」というような質問への回答と、実際に脳を測定し「快適なときに反応する部位が反応している」という事実とでは、まったくその意味は異なります。
回答者本人が意識していない潜在的な意識を正確に捉えることができるという点で、これらの装置を使う意味は、とても大きいと思います。
ただ・・・
とくに、EEGやfMRI、アイトラッキングは「測定装置」であり、あくまでも「仮説」に対して、ほんとうによい「結果」が得られるのかということが、明らかになるだけだということは、認識しておく必要があると思います。
つまり、基本的には「仮説検証」のためのツールである、ということです。いま流行の「インサイト」を発見するためのもの、仮説を創造するためのもの、ではないということです。
調査の目的と手法の組み合わせについての理解は、とても重要なことです。このあたりを認識されないと、せっかくの新しい手法も、「使えない」という評価になってしまわないかと、ちょっと心配しています。。。
関連して。
少し前に、脳科学に関する研究報告書を見つけていましたので、あわせて紹介しておきます。
(PDFが直接開きます)
「脳科学の産業応用への推進に資する脳機能計測機器に関する調査事業」~脳科学の産業応用を推進する支援策の策定に向けて~ 調査報告書
(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構:H21年3月)
脳科学測定技術のシーズ保有企業側、ユーザー企業側それぞれの視点から、現状の整理と産業応用にむけての課題が整理されています。
このblogでの、関連エントリーもどうぞ。
2007/1/8に紹介している本 『欲望解剖』は、すでに文庫本になっていますので、購入される方は、こちらでどうぞ。
欲望解剖 (幻冬舎文庫) 価格:¥ 480(税込) 発売日:2009-08 |