月別アーカイブ: 2008年7月

びっくり!だけど、なるほど・・・

博報堂から、一本のリリースが発表されていました。
かなりびっくりしましたが、よくよく考えると、なるほどと納得のできるものです。。。

博報堂、マーケティングリサーチ会社「株式会社東京サーベイ・リサーチ」の株式を取得(博報堂ニュースリリース:2008年7月14日発表)

「株式を取得」といっても、発行済み株式の74.4%の取得による連結子会社化ですし、社長も博報堂の方がなるようです。電通-電通リサーチほどではないかもしれませんが、それに近い形になるのでしょうか?

東京サーベイリサーチ(TSR)社は1965年の創業ですから、リサーチ業界ではかなりの老舗企業です。それに、ネットリサーチ以前には、リサーチ業界のランキングで10位前後に位置づけられていたのではないでしょうか。

これで、民族系(日本資本)・独立系・非装置系調査会社の一角がまた崩れました。
(今年2008年の4月には、やはり1969年設立の調査会社スミスが「NTTデータスミス」になっています。)

ただ、このblogでも何度も指摘してきたように、マーケティング・リサーチのネット化とグローバル化の動きの中で、民族系(日本資本)・独立系・非装置系調査会社は厳しいポジションにあり、なんらかの動きを取らないと生き残りが難しいのではという仮説が、どんどん現実化しているだけでもあります。
そして、ネット系調査会社との提携や外資系企業との提携など業界内での選択肢のほかに、広告代理店やコンサル会社といった、データ収集機能を内在化したい企業の傘下に入るというのも、大きな選択肢のひとつとしてあるのだということが明らかになったということです。(このことが何を意味するのか・・・。あまりうれしくないことなので明示しませんが、わかる人にはわかっていただけるのではないでしょうか。)

で、このような流れの中で、TSRは業界内での選択ではなく、広告会社の傘下に入る選択をしたということです。博報堂とTSRの関係は、以前からかなり強いものだったので、ある意味、当然であり妥当性な選択といえるかもしれません。(この動きについては、個人的にも、いろいろと思うところがあるのですが、さすがにここでは触れられませんので。。。)

さて、残された民族系・独立系・非装置系の各社は、これからどんな道を進むのでしょうか?まだまだ、業界再編は続きそうです。。。

PS.関連エントリー

ネットリサーチ2社の新たな動き

ネットリサーチのメイン2社である、マクロミルとヤフー・バリュー・インサイトに新たな動きが。

◆マクロミル、韓国へ

まずはマクロミル。

マクロミル、韓国に新会社を設立(japan.internet.com)

韓国における新会社設立に関するお知らせ(マクロミル社、リリース資料)

中国に関しては、すでにM&Aで進出しているはずですが、今度は韓国へ。
それも、Ipsos Korea 社のCEOを引き抜いて、ですか?!
モニター構築から始めるようですが、既存のモニター会社はなかったのかな?

◆ヤフーバリューインサイトとヤフー、共同化へ

ついで、ヤフーバリューインサイト。

ヤフーバリューインサイト、ヤフーと「Yahoo! リサーチ」を共同運営(japan.internet.com)

2008年7月1日より、ヤフー株式会社と『 Yahoo!リサーチ 』を共同運営
(ヤフーバリューインサイト社、リリース資料)

これで、旧インフォプラント時代のブランド名はなくなり、すべてを「Yahoo!リサーチ」のブランド名の元で運営していくようです。(ただ、モニターは今後も2本建でいくようですが・・・)

ヤフーバリューインサイトが設立された時も指摘させていただいたと思いますが、やはり気になるのは、つぎのパラグラフです。

今後は、Yahoo! JAPANの行動ターゲティングの技術や行動履歴を活用し、広告接触、検索行動などのインターネット上の消費者行動を分析・解明する高付加価値調査サービスの開発を進めます。さらに、モバイル、TVなど今後発展するインターネットの各種デバイスに対応したマーケティングリサーチサービスについても、親会社であるYahoo! JAPANとの連携を深め開発検討を行う予定です。

どのようなサービス、仕様になるのか具体的なことはまったくわかりませんが、ヤフー社と共同でリサーチを運営するメリットは、まさにこの点にあると思いますので、今後の展開に期待したいと思います。

(ただ、ヤフーバリューインサイト社のHPと別に、「Yahoo!リサーチ」のHPもあるということは、それぞれ事業を行なっているということ?。このあたりはわかりにくいのですが・・・。
それと、ヤフーとインテージが組んだ「インテージ・インタラクティブ」は?気づかないうちに、持ち株比率が大きく変更になっている <→リリースはこちら> ようですが。。。)

ネットリサーチの両雄は、着々と次の手を打っているようです。
リサーチ業界の上位集中化は、さらに進むのでしょうか・・・。

(リサーチ業界売上ランキングは、こちらで紹介してます~中ごろ以降にあります)