日別アーカイブ: 2006年10月16日

「リサーチャーの仕事」

リサーチャーの仕事
価格:¥ 1,575(税込)
発売日:2000-02

「マーケティング・リサーチ業界」は、主に調査業界を知ることを目的として書かれていますが、仕事として、人の視点から「リサーチャー」について書かれているのが本書です。

「リサーチャー」は、何も調査会社にだけいるわけではないのですから、このようなスタンスでの本も必要だと思いますし、リサーチャーの本来の役割を理解するためには、こちらの本の方がよいかもしれません。リサーチが企業の中でどのような役割を担うのか?、リサーチャーの仕事は?、求められる資質や能力は?、組織の中でリサーチャーをどう活かすのか?、など内容も多岐にわたります。
比較のために、もくじを引用しておきます。

1章 ハイリスク時代のビジネス対応
2章 変化を読み取る
3章 リサーチを分類する
4章 リサーチャーの役割
5章 リサーチ・スペシャリストの役割
6章 リサーチャーの仕事
7章 リサーチャーに必要な知識
8章 リサーチャーに求められる能力
9章 リサーチャーを活かすビジネス・スタイル

あとがきには、つぎのように記されています。

リサーチャーの仕事は、基本的には地味でアカデミックなものである。発見に感動する研究心が必要である。だからと言って研究室に閉じこもっているのでは、仕事はできない。
フィールドに出て調査の対象者に接するのは、多くの場合は専門の調査員ではあるが、リサーチャーも、実査の現場を見ていないと、データの解釈が自信を持ってできない。調査員から報告を受けるだけでは、情報は十分ではない。体がいくつもあれば、自分が調査員になってデータを収集するのが理想である。

至言です。

「リサーチャー」という仕事がどんなものなのかを知りたい人には、こちらがお勧めです。




「マーケティング・リサーチ業界」

マーケティング・リサーチ業界 マーケティング・リサーチ業界
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2004-03

【追記:2008年4月に、新版が発行されてます→こちらに投稿

マーケティング・リサーチの業界は規模が大きくないため、この本が出るまでいわゆる業界本、リクルート本というものがありませんでした。
2004年3月出版なので記述されている業界データなどは古くなっていますが、マーケティング・リサーチ業界がどのようなところで、どのような仕事をしているのかを知るには、唯一の本といっていいでしょう。

ただ、この業界にいた人間からすると、少しきれいに書かれすぎているきらいもあると思います(Amazonの書評でも、そのようなコメントがみられます)ので、その点は注意して読んだほうがいいかもしれません。(まあ、他の業界でも同様でしょうが・・・)
「マーケティング・リサーチ」というと、スマートで知的な印象を持つ人も多いかもしれませんが、3章の「現場で働く人たち」を丹念に読んでいただければきちんと書いてあるとおり、結構、アナログで泥臭い仕事が多いのです、実査の現場を踏むことが重要なのです。

もくじを紹介しておきます。

第一章 マーケティング・リサーチとは
1.どんな仕事が中心か
2.マーケティング・リサーチ業界の動向
3.マーケティング・リサーチ業界の分類
4.今後の課題と挑戦
第二章 マーケティング・リサーチという仕事
1.職業人としてのマーケティング・リサーチ
2.キャリアパス
3.新卒者に求められること
4.リサーチャーに求められる資質と能力
第三章 現場で働く人たち

あとがきで、

「欧米ではリサーチャーの社会的ステータスも高く、調査会社は専門的な仕事をしている集団であるとみられているようです」

と書かれていることは、意味深ですが・・・。
(なぜ、「欧米では」と断っているのでしょう・・・)

調査会社に興味のある方は必読。

OWLはどんな人?(執筆者紹介)

P夫 owlさんは、これまでどんなことをやってきたんですか?

owl 最初に入った会社が、マーケティング会社だったんだ。ただ、それまで「マーケティング」とはどんなものかはほとんど知らなかった。大学でマスコミュニケーション論を専攻していて、広告には興味を持っていたんだけど、社会学系だったから、どちらかというと記号論とかコミュニケーション論、文化論からの視点でみていただけだったので。
社会調査論も勉強はしたんだけど、Q子さんと一緒で、いまひとつよくわからなかった。いや、わかっていなかった、というのがほんとうのところだね。ただ、この時に買わされた本は後で役にたったけどね。

Q子 そうなんですか。で、その会社ではどんなことを?

owl 最初に配属されたのが、リサーチで得られたデータの解析を主に担当する部署だった。当時はパソコン環境は今のように一人一台なんてとんでもない時代だったけど、SASという統計解析ソフトやASSUMという集計ソフトで集計をやったりしていたね。
今にして思うと、最初に集計・解析をすることができたのはラッキーだったかもしれない。後で調査会社に転職することになるんだけど、大きな調査会社は機能別に組織が分かれていることが多くて、自分で実際に集計や解析を経験できない人もいっぱいいるんだよ。
確かに、集計や解析を自分でできなくても、データの読み方とかがわかっていればそれでいいんだけど、やっぱり自分でソフトを操作することで覚えられることは多いからね。
それに、いろんな調査票をみることができたし、調査票の難しさがわかったのも実際に集計をしたことで覚えられたと思うし。

P夫 マーケティングの会社なのに、集計ばかりやっていたんですか?

owl そんなことはないよ(笑)。報告書も書いてたよ。この会社は、機能別に組織が分かれていなくて、クライアント別にチームを作って仕事をしていたんだ。だから、何かひとつの業務をしていればいいというわけではなく、いろいろなことを経験できたのもよかったね。
だからかな、リサーチをするにしても、マーケティングの視点から、調査を設計したり、結果を読むくせをつけてもらったね。この会社はマーケティング・エージェンシーとしては日本でも有数の会社だと思うし、その中でマーケティングやリサーチの勉強ができたことが、またまたラッキーだったと思うね。
マーケティング・リサーチというのは確かに「調査」だし、社会調査の基礎を知らないといけないけど、目的は「マーケティング」に寄与することだから。リサーチ、調査はあくまで手段であって、その結果をどうマーケティングに活用できるかが求められていることだから。「調査結果はこうでした」で終わっていては何の意味もなくて、「だからこうするのがいい」ということが言えないとね。

P夫 あれ?僕もいくつか調査会社に仕事を頼んだんですけど、出てくる報告書は「○○は▲▲%」ってことだけ書いてるものが多いですけど・・・。だから、その後がたいへんで。

owl それがすべてだとは思わないけど、確かに調査会社の報告書はリコメンドが弱いものが多いかもしれない。日本では、調査会社は「データを収集して、集計すること」までが業務とされることが少なくないからね。調査会社に仕事を出すほうにも問題があるとも思うけど。

Q子 じゃあ、なんで調査会社に入ったんですか?

owl マーケティング会社で仕事をしていて、リサーチの仕事が面白いと思ったことが大きいかな。マーケティング会社なんで、リサーチは一部でしかなくて、クライアントが結果を出すためにマーケティングの展開までをサポートしていたんだ。でも、そうなるとリサーチをしなくてもいい仕事も少なくないからね。それに、もっといろいろな業界のリサーチをやってみたいとも思ったし、もっとリサーチを知りたいとも思っていたね。
で、調査会社に入ったんだけど・・・。

Q子 けど?

owl うん。期待通り、それまで携わったことのない業界の仕事もできたし、いろいろなリサーチ手法も知ることができた。リサーチを究めるということでは、とても勉強になったよ。
でも、今度はどうもマーケティングから遠くなった気がするんだ。さっきも言ったように、リサーチは手段でしかないと思うんだけど、調査会社は、いかに正しいデータを収集するか、そのデータを使いやすいように集計・加工することが主な業務だったから。

Q子 そうなんですか?調査会社も希望しているんですけど・・・。

owl  それもいいんじゃないかな。マーケティングを仕事としていくためには、リサーチの知識は絶対必要だと思うからね。ただ、ほんとうに自分がやりたいことが何かをしっかり持って、会社とは別に勉強をしていかないと、日々の仕事に埋没してしまうことがあるから、その点だけは注意する必要があるだろうね。

Q子 で、いまではフリーでお仕事をしているんですよね?それはなぜですか?

owl うん、世の中にはいろいろな調査会社があるということがわかったのも、調査会社に入っていい点だったね。でも、そうなると、「この調査は、他の調査会社の方が得意なのでは?」ということを思うことも少なくなかった。でも、調査会社が他の調査会社に実査を頼むというのはなかなか難しいし、頼まれるほうも嫌がるしね。
だったら、特定の調査会社に所属することなく、フリーの立場でいればいいと考えたんだ。クライアントのテーマによって必要とするリサーチ手法や分析手法は異なるよね。そして、調査会社はそれぞれ得意とするリサーチ手法、分析手法を持っているんだから、クライアントのテーマにあわせて調査会社を使い分ければより効果的で効率的な仕事ができると思った。
で、私は何をするかというと、クライアントのテーマに沿った企画・設計を行い、実際にデータを収集する部分については調査会社をコーディネート、プロデュースしていく。で、調査会社の報告書とは別に結果をサマライズし、クライアントと一緒に今後の活動について考える。こんな活動ができれば、理想的だなと思ったんだね。

P夫 う~ん・・・。じゃあ、調査会社は具体的にどんなところなんですか?実は、僕も調査会社と仕事をしていて悩むことがあるんですよね・・・。なんか、こちらの意図が伝わらないというか、わかってないというか。

owl よし、では次回は日本の調査業界について、少し話をしよう。
では、つぎの本を次回までに読んでおくこと。

マーケティング・リサーチ業界
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2004-03

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