月別アーカイブ: 2007年12月

「経済学ってこんなにおもしろい」

ほぼ1年前、「行動経済学?、経済心理学?、神経経済学?」というエントリーを書きました。
そこそこアクセスのあるコンテンツで、「行動経済学」に関心がある人も結構いるんだなと思ったしだいです。

さて、今回紹介するのは雑誌なのですが、週刊東洋経済の今週号(2007年12/15号)の特集が「経済学ってこんなにおもしろい」と題し、行動経済学をはじめとした経済学の新しい学説を紹介しています。
もくじの詳細は、こちら↓でご覧ください。

週刊東洋経済HP

もくじをご覧いただければおわかりのとおり、25のQuestionに対し、経済学説を用いて回答を行なうという内容になっています。「行動経済学」に興味はあるけど、専門書を読んでもよくわからないとか、実際の社会現象にどのように応用しているんだろうと思う方には、入門編として手ごろな内容だと思います。

それぞれのQ&Aで使っている経済学のキーワードが、ごく簡単に紹介されているのですが、つぎのようなものが取り上げられています。

  • 行動経済学、確率加重関数、フレーミング効果、現在志向バイアス、プロスペクト理論、法と経済学、サンクコスト効果、保有効果、トレードオフ、ネットワーク外部性、完全競争市場、経済の外部性、選好の内生性、ナイトの不確実性、行動ファイナンス、金融工学の誤り、共有地の悲劇、情報の非対象性、進化心理学、囚人のジレンマ、神経経済学

いまでしたら、まだ書店にも並んでると思いますので、興味のある方はどうぞ。

直接、行動経済学とは関係ないですが、↓の本も、いろいろな社会の仕組みを経済学的な視点から解説を行っていて、結構おもしろかったですので、あわせてご紹介を。(結構、売れている本のようですので、すでにお読みになった方も多いかと思いますが)

スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学 スタバではグランデを買え! ―価格と生活の経済学
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2007-09-14

また、このblogでの過去エントリーで関連するものを以下にあげておきますので、よろしければこちらもどうぞ。

QPR by マクロミル&東急エージェンシー

(ほぼ一ヶ月、更新せず・・・。少々さぼりぎみでした、すいません・・・)

萬さんから、コメントで情報をいただいています。
コメントに埋もれさせるのはもったいない情報ですので、あらためてエントリーとして取り上げます。

以前リリースがありました、マクロミルと東急エージェンシーによる共同事業が稼動のはこびとなったようです。
以下は、萬さんからのコメントをそのまま引用させていただきます。

東急エージェンシーとマクロミルが新しいホームスキャンを行うようです。

◇携帯型バーコードスキャナを用いた商品購買調査『QPR』サービス開始
http://www.macromill.com/client/corporate/release/20071128_qpr/index.html

パネル数も1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)、2府4県(大阪・京都・兵庫・奈良・和歌山・滋賀)エリアの16~69歳の男女5,000人と拡大ということも着目ですが、
*携帯型のバーコードスキャナ
  http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200711290024a.nwc
*アンケート調査

というのはいいですね。
これなら、家庭内に於ける消費行動を量的にかなり実態に近く把握できます。

前々から似たような手法がありましたが、マクロミルが本格的に参入すると、機械的にも進歩が見られますね。
うん、凄い。

詳しくはリンクを辿っていただくとして、少し説明を。

「QPR」というのは、東急エージェンシーがかなり以前から実施していた調査です。
調査協力者の方に、バーコードリーダーを貸与して、買物した商品をすべてスキャンしてもらうことで、実際に売れている商品と実売価格を追うというもの。
ただし、コンビニとか自販機のように、購入&そのまま外で消費される商品については、追うことができないという欠点がありました。
この調査に、今度マクロミルも共同実施者として参画することになり、対象者の拡大とともに、スキャナーをハンディタイプにすることで、この欠点を克服することができるようになったのがひとつのメリットです。

そして萬さんもおっしゃっているように、対象者に対して、追跡的な「アンケート調査」を実施することができるようになったのが、ふたつめのメリットです。おそらく、これまでもベーシックな属性データ等は収集していたと思いますが、「インターネット調査の機動性」を最大限に活用することで、リアルデータ(誰が、何をかったのか)に、コーザルデータ(なぜかったのか?など)を結びつけることが容易になるというのが大きいです。

それも、確実に購入者を捉えられるのは元より(実は、スクリーニングで確実に購入者を捉えるというのは結構たいへんだったりします。人の記憶はあいまいで・・・)、初期ユーザーを捉える、購入サイズ別に捉える、購入チャネル別に捉える、ということも技術的には可能なのではないでしょうか?(あくまでも推測です。興味を持った方は、直接マクロミル社に問合せください。)

小売店パネル(POSデータパネル)では少々ミソをつけてしまいましたが、消費者を対象とした分野においては、やはり強みを発揮しますね。
できることなら、少しはオープンデータとして公表していただけるとうれしかったりしますが・・・。