日別アーカイブ: 2007年2月27日

『空飛ぶタイヤ』

空飛ぶタイヤ 空飛ぶタイヤ
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2006-09-15

少しだけマーケティング・リサーチを離れて・・・。
最近、新書やビジネス系の本ばかり読んでいましたが、久しぶりにエンターテイメント系の本を読んで、これがヒット、一気に読んでしまいました。(500ページ近い、それも2段組の本なのに!)

題名をみてピンと来る人もいるかもしれませんが、実際に起こったある事故をモチーフとしたフィクションで、組織というか、サラリーマンを見事に描いていると思います。
帯には、つぎのようにあります。

マンション耐久強度偽装やエレベーター事故、いじめの事実隠蔽などのニュースを見聞きするたび、なぜ大人が責任のなすりつけ合いを何ヶ月も続けるのか、私はつねづね不思議に思っていたのだが、この小説を読んで「ああ、こういうことであるのか」と深く納得した。(中略)じつに牽引力のあるエンターテイメント小説であり、同時に、人間性を疑うような事件の多い現在への、痛烈な批判でもある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・角田光代氏(朝日新聞11/5読書欄より抜粋)

この本を読んでいるとつくづく思います。
「顧客第一」という言葉を社是・社訓にしている会社は、それこそ星の数ほどあるでしょう。ない会社を探す方が難しいくらいかもしれません。
なのになぜ、雪印、パロマ、不二家、それに損保会社・・・、同じような事件が次々と続くのか?
そして、このような事件が起こると必ず、「体制はどうなっていたんですか?、制度はどうなっていたんですか?」という質問がなされます。そして、「今一度、社内の体制を見直し・・・」という、毎度おなじみの返答が繰り返される。
なのに、なぜ・・・。

答えはやはり、「人の弱さ」なのでしょう。
「ポジション」のもつ権力の魔力、そしてポジションがあたかもその人自身の力であるかのような錯覚を与え、その力で人を従わせようという気持ちを持った人が現れる。そして、そのポジションを得ることへの執着とそのポジションを守ることへの執着が、正常な判断を無くし、顧客を見えなくし、社員を見えなくし、制度や体制を形骸化させる。さらに、ポジションをもった人に汲々とつき従うだけの人々が、判断を放棄し、顧客を見なくなる。
全体として、内向きの力ばかりが強大化して、「ひらめ」や「かます」「ゆでがえる」が大量発生していく。
いくら、組織や体制、制度をいじっても、それを運用する人が、「ポジション」という見せ掛けの力に惑わされる限りは、同じことが続く。

そして、「愛社精神」はあるのに、「愛社員心」という言葉はない。
「会社がなくなれば、社員もなにもない」という理屈はよく聞かれますし、否定するつもりもありません。けど、「社員がいない会社も存在しない」ということは、ないのか?
人は組織のためにだけ、存在しているのか?

実際、太古の昔から繰り返されていたことですから、人のもつ業なのかもしれません。
映画「墨攻」での梁王しかり。この映画もおすすめです。)

結局、このような愚かな繰り返しを断ち切るには、『経営戦略を問いなおす』でも言われていたことに行き着くのではないかと思います。
最後は、「人」です。それも、「事業観」をもった経営者の力量です。
お客様に、そして社員に支えられていることを忘れずに、そして自分たちの会社の存在意義を常に指針として、考え、行動できる、そして人を見極める力量をもった経営者が一人でも多くなることを願わずにはいられません。

沈まぬ太陽」や「クライマーズハイ」と繋がる感じでしょうか。これらの本が好きな方は、きっと、はまると思います。
(個人的には、「個人対組織」をテーマにした本や映画に弱くて・・・。「踊る大捜査線~レインボーブリッジを封鎖せよ!」を見ながら、泣いてしまったくらいで^^;)。

雪印、パロマ、不二家・・・、これらの事件がどうして起こるのか、会社とは何か、個人とは何かを考えるには絶好の書だと思います。
前回の直木賞候補作でもあり、ミステリー、エンターテイメントとしても、断然のお勧めです!

PS.
最後に、マーケティング・リサーチっぽいことも少し。
この本の中に、つぎのような文章がでてきます。

カスタマー戦略課の業績考課は、顧客アンケートによるCS、つまり顧客満足度で測定することになっている。アンケートは年4回、四半期毎の実施だ。当初からこの査定方法について「正確に測れるのか」という疑問の声が上がっていたものの、過去二回は期待値を下回り、「カスタマー戦略課なにやっている」と叱責の声があがった。

きっと、これも多くの企業でみられる光景なのでしょうね・・・。
それも、アンケートをすること自体が目的となり、満足度の数値だけが目標となり、すべての基準となる。
池井戸さんわかってるな、とニヤっとさせられました。。。

調査の目的とタイプ~整理

owl さて、これまで何回かにわけて、調査の目的とタイプについてみてきたけど、整理できたかな?

P夫 実態把握、仮説探索、仮説検証というタイプ分類については理解できたんですけど、なんていうんだろう・・・、やっぱりそんなに意識しないといけないことなのかなと・・・。

owl うん、確かに無理やり分ける必要はないのかもしれない。
ここで覚えておいてほしいことは、調査目的に沿って、いろいろな調査のやり方があり、設計するにあたって、こういう視点は欠かせないということ。そして、実態把握→仮説探索→仮説検証というサイクルを回すことが効率的なマーケティングには必要ではないかということなんだ。
けど、すでに行っているリサーチについて、これはどのタイプだと無理やりどれかのタイプに当てはめて考える必要はないよ。

たとえば、「マインドリーダーへの道」さんのblogにあった粉ミルクの事例について、考えてみようか。この事例で取り上げられた「母親は、粉ミルクの銘柄をどうやって決めるのか」についての調査は、どのタイプだろう?

Q子 『Y社市場調査課ではこの情報を検証すべく』と書かれているんだから、仮説検証型ではないですか?

owl そう、この文脈でいくと、確かに仮説検証型のリサーチと位置づけられそうだよね。
でも、「マインドリーダーへの道」さんも最後の方で書いている、『論理を大切にすること以前に、そもそも消費者が特定の銘柄(ブランド)を選好するプロセスやきっかけ、つまりは「消費者心理・消費者行動」を十分に理解できていなかったことが問題だったのではないでしょうか。』という意見に大賛成なんだよね。
つまり、この程度のことは、本来実態把握型リサーチで押さえられるというか、押さえておくべきことだと思うんだ。
そうなると、この調査の目的であった「母親は、粉ミルクの銘柄をどうやって決めるのか」ということについては、実態把握型で調査すべきか、仮説検証型すべきかという問題設定自体がナンセンスで、Y社はたまたま実態を把握できずにいたところに、営業情報から仮説を見出し、それを検証した、という整理が正しいということになる。

P夫 なんか、ますますわからなくなるかも・・・。

owl う~ん・・・^^;
こういう例えではどうだろう。みんな、健康診断はしているよね?

P夫 まあ・・・

owl 健康診断は、なんでするの?

Q子 体に、どこか悪いところがないか調べるためじゃないですか。自覚症状はなくても、どこか悪いところがないかを定期的に調べることで、病気の早期発見をするという。

owl で、何か悪いところが見つかったら?

Q子 精密検査ですよね、やったことないですけど・・・。

P夫 ぼく、ありますよ。胃に影があるとかで、胃カメラを飲まされました。二度とイヤですけど・・・

owl 結果はどうだったの?

P夫 潰瘍が見つかったとかで、薬で治療をしましたけど。

owl で?直ったの?

P夫 再検査では、なんともないと。
僕の病気が、何の関係があるんですか?-_-

owl ごめんごめん^^;でもね、ちょっと考えてみて。

まず、毎年健康診断をしているよね。これって、いってみれば実態把握型のリサーチをしていることになると思わない?
そして、何かおかしなところが見つかったら精密検査をしてみる。これは、仮説探索型のリサーチ。具体的に、どのような病気かを健康診断とは別の手法で探し当てているんだよね。
で、治療をしてみる。これも、いってみれば仮説にあたるよね。この病気・症状なら、この治療法と薬って。そして、実際に直ったかどうかを再検査してみる。いってみれば、仮説検証型のリサーチ。
こうやって当てはめてみると、それぞれのリサーチの役割や位置づけってわかりやすくならない?

Q子 ほんとだ・・・。いってみれば、リサーチって企業の健康診断であり、精密検査であり、再検査であり、ってことなんですね。

owl そう思うよ。だから、実態把握型のリサーチが重要なんだよね、病気になる前にその兆候を発見しようというんだからね。それに、体も市場も、それぞれの個体で違うのだからふだんどのような状態にあるのかを知らないと、変化もわからないからね。

今度は、素直に実際の商品開発の事例で整理してみようか。
教材は、『新製品・新事業開発の創造的マーケティング』で取り上げられていた「からだ巡茶」にしてみよう。

1.現状把握と仮説整理
・世の中で起こっている事象を把握するためのデータ整理
→既存市場データ、時系列市場トレンド、消費者意識データ、飲料購入調査から
・有識者ヒアリングの実施
→コンビ担当営業部隊へのヒアリング、スーパー担当へのヒアリング

2.初期仮説設定と開発キーワードの整理

3.仮説の深化
・専門家ヒアリング
・店頭観察
・一般消費者の「漢方意識」調査(web調査)

4.仮説の検証
・マーケットサイズとターゲットの特定のための一般消費者調査(web調査)
→因子分析、重回帰分析、クラスター分析の実施
・グループインタビュー
→ターゲットのプロファイリング

5.総合コンセプトの作成と承認

6.処方開発、ネーミング開発、パッケージ開発
→パッケージスクリーニングテスト

7.最終バンドル調査
→上市に近い状態でプロトタイプをつくり、総合的に製品としてどの程度の消費者受容性があるかのシミュレーション調査

どう?きちんと、実態把握→仮説探索→仮説検証の流れを踏んでいることがわかるでしょう?
とくに、最初のデータ整理で使われているのは、このときにあらためて調査をしているのではなくて、継続して実施している調査データがあってはじめて可能な分析だということに注意してほしいな。

P夫 なるほどね・・・。こうやって、具体的な事例をみるとよくわかりますよね。
でも、逆に、自分たちがいかにきちんとやっていないかということも気づかされますけど・・・。

owl 本を読んでもらうと、それぞれのステップでどんなことを考えたかも具体的にわかるから、興味をもったらぜひ読んでみてね。その方が、より理解は深まると思うから。

さて、これで調査目的とタイプの話は終わり。
つぎからは、他にもいっぱいあるリサーチを行う上で知っておいて欲しいことを話していくね。仮説、代表性、時系列データと横断分析、バイアスと偏り、%や平均の意味などをテーマにしていくつもり。
それと、そろそろマーケティングについての本も読んでおいてもらった方がいいだろうね。仮説探索の話なんかも、プロダクトコーン理論を理解している方が理解は早かったりするだろうし。
いくつか紹介していくので、目を通しておくこと。

Q子 はーい^^

仮説検証型リサーチ(調査)

owl 長らくご無沙汰しておりました・・・、皆さんも健康にはお気をつけください・・・。

Q子 もう-_-

owl 今日は、調査タイプの最後、仮説検証型のリサーチについて。
紹介したい本が溜まってきているから、さくさくいこうね^^;

さて、実態把握も終わり、仮説探索も終わり、ある仮説ができあがりました。
そこで必要になってくるのが、果たしてこの仮説は正しいのか、このまま開発を進めて大丈夫なのかというステップだよね。

P夫 でも、仮説はあくまで仮説であって、いちいち確認が必要ですかね・・・。
それと、そもそも「仮説」ってなんですか?これも、わかったようでわからない言葉なんですが・・・。

owl そうだね、「仮説」って言葉は結構使うけど、ほんとうのところってよくわからないよね。ただ、これを説明しはじめると長くなるので、機会を改めて説明することにする。
今回は、たとえば商品開発に際して、ターゲットはどうするのかとか、コンセプトはどうするのかとか、もっと進んで商品自体の仕様は、パッケージは、価格は、流通先は、広告は・・・といったように、いろいろなことを決めないといけないでしょ?その、いろいろなこと、方向性といえばいいかな、とりあえずはこれらのことと思っておいてもらえればいいや。

Q子 それをいちいち確認しなければいけないんですか?

owl 「しなければならない」ということはないかもしれない。ただ、市場に商品を出した時のリスクを少しでも小さくしようと思ったら、した方がいいだろうね。
仮説はあくまで仮説であって、それがほんとうにお客様に受け入れられるかどうかは別の話だから。

P夫 みんなそんなことやっているんですか?だいたい、さっきのターゲット、コンセプト、商品仕様、パッケージ・・・みたいに、その都度で調査をしていたら、開発に時間はかかるし、お金はかかるし。。。

owl うん、P夫君のいうことも、もっともだと思う。
でも、じゃあ仮説のままでつぱっしって、いざ市場に出したらまったく売れなかったというのも問題なんじゃない?

P夫 それはそう。でも、いまの時代って、とにかく他社に先駆けて新しい商品を出せるかというのも、必要ではないですかね?失敗したと思ったら、すぐに改良すればいいと思うし。ソフトなんか、発売された後で、つぎつぎとバージョンアップのソフトをダウンロードさせたりするじゃないですか?

owl たしかに、いまはとにかく発売してしまうことが、最大のテストマーケティングという考え方も、あながち否定できないとも思うよ。
費用対効果の問題だよね。開発コストがそんなにかからないとか、ソフトのようにすぐにバージョンアップをすることができるような商品、あるいは他社がすでに成功しているミートゥー商品だったら、あえて費用をかけて調査をするよりも発売した方がいいという考え方も成立すると思う。
でも、開発にそれなりのコストがかかる商品だとか、ここ一番の商品だとかだったら、やはりきちんと検証を繰り返しながら、商品をブラッシュアップして、発売する方が結局は費用対効果が高いということも少なくないんじゃないかな?

P夫 そうですね・・・。

owl それに、いまはweb調査もある。早く、安く、ターゲットを絞り込んだ調査をすることができる環境になっているんだし。これが、web調査の最大のメリットだし、リサーチにおける貢献だと思うんだけど。

Q子 で?仮説検証のリサーチってどうやるんですか?

owl 難しく考えずに、できたコンセプトや商品仕様、パッケージなんかを直接、お客様に想定している人達に聞けばいいんだよ。

P夫 へ?そんなんでいいんですか?注意することとかは?

owl いい質問^^
いま、P夫くんは、どんな質問を想定したんだろう?

P夫 「あなたは、このコンセプトについてどう思いますか」とか?

owl で、「いいと思う」「まあいいと思う」てな感じで選択肢をつくると。

P夫 まあ・・・。

owl それで?

P夫 で、「そう思う」「まあそう思う」という人が多ければOKと・・・。

owl まあ、ふつうはそう考えるよね。
でも、いつかも話したと思うけど、よほどひどいものでなければ「まあそう思う」くらいは、回答するんじゃない?それで、ほんとうにいいんだろうか?

P夫 でも、アンケートってそんなもんでしょ?

owl では、少し質問を変えて。この調査をする目的って何?

P夫 仮説が正しいかどうかを検証すること。

owl 確かにそう。でも、正しいかどうかがわかるだけでほんとうにいいのかな?
では、ここでいくつか仮説検証型リサーチの整理をしてみるね。

まず、目的はなんだろうか?
一番知りたいのは、P夫くんもいうように仮説は正しいのか、言葉を変えると消費者のニーズにあうのかということ。これは、避けて通れない関門だよね。では、ニーズに合うというのをどうやって判断するのか。単純に「どう思いますか」の答えだけではなんともいえないでしょう?もっと、いろいろな視点で検証しないと。たとえば、回答者は提示したコンセプトを理解してくれたのか、共感してくれたのか、関心をもってくれたのか、これまでの商品と比べて差別性があると感じてくれたのか、新しいと感じてくれたのかなど多角的に捉えておくことが必要じゃないかな。それと、具体的に買ってみたいと思ったのか、これまで購入してきた商品からスイッチしたいとまで思ってくれたのか、くらいまで押さえることも必要かもしれないよね。コンセプト段階では難しいかもしれないけど。

で、ニーズに合う、あるいは合わないとわかったとして、それでいいのか?そんなことはないよね?具体的に、つぎのステップに進むにあたって、どこを強化すべきか、補強すべきか、直すべきかがわからないと、どうしようもないでしょう?これが、2番目の目的。

そして、仮説っていくつかある場合がほとんどなんだけど、じゃあどれがいいのかを最終的に決断しないといけない。複数案の中から、最善案を決定しないといけないよね?これが3番目の目的かな。これは、1番目と2番目の目的から判断することだと思うけど。

P夫 ふむ・・・。なんとなく、納得です・・・。

owl これで、目的は整理できた。調査票もつくれる。では、つぎに設計はどうするか?
どう?

P夫 どうって。。。ふつうに、誰に、どのように聞くかを決めればいいのでは?

owl そうなんだけどね^^;
これまでの、実態把握型や仮説探索型のリサーチと、この仮説検証型のリサーチのもっとも違う点は、調査設計かもしれないと思うんだ。
前の2つは、極論すると数字としての厳密性はそんなに高くないといえるかもしれない。でも、「検証」という言葉でもわかるように、このタイプのリサーチは、設計の厳密性が結構重要になる。さっき言ったように、最終的には複数案の中から最善案を決めなければならないわけだからね。
「ほんとうに、B案に比べて、A案の支持が高いといえるのか」ということが言えないと意味がない、ということだよね?
ここで、「実験計画法」の知識が必要になってくる。

Q子 実験、ですか?「あるある」みたいな?まゆつば・・・-_-

owl まあ、あれも本当はそうなんだよね。それが、正しい実験を行ってないばかりか、結果を捏造しているかもしれないから、問題になっているんだけどね。
この、「実験計画」は、結構難しいからね。ここでは、説明しないけど。。。

では、設計にあたって何を決めないといけないか。
まず、手法をどうするか?
WEBでやるのか、対象者を会場に呼んで行う会場テストか、回答者の自宅に商品を送って実際に使ってもらうHUT(ホーム・ユース・テスト)か、あるいはデータより改善ポイントの抽出を主眼にグルインでやるか。テストをするもの(コンセプトか、プロダクトか、パッケージか・・・)によって、また開発段階や、商品カテゴリーによって決まってくる。

つぎに、調査対象者をどうするか?
今のユーザーのみか、これまでユーザーでなかった人も含めるのか。あるいは、ヘビーユーザーのみでいくか、ライトユーザーまで含めるか。さらに、自社ブランドユーザーのみでいくか、競合ユーザーも含めるのか。これは、開発しようとしている商品の位置づけで決まるよね。

で、最後に、どんなテストをするのか。
これは、複数案を、どのように対象者にふりわけるか、提示するのかということだけど、これが実験計画を理解していないと、どうにもならない。何も知らないと、かなり適当な調査計画になってしまうから、注意が必要なんだ。
ピュア・モナディックか、シーケンシャル・モナディックか、一対比較でいくか。
ブランド名は提示するか、提示しないのか。
テスト品の提示順はどうするのか。系列位置効果とか、隣接効果の問題があるので。
これらで、調査結果はかなり変わってしまうから。

P夫 う~ん・・・。なんか、また魔法の言葉が・・・。モナ・・・なんですか?

owl 聞いたこと無いの?でも、これまで商品開発の調査ってやっているんだよね?

P夫 一応・・・。

owl だとすると、やばいかも・・・。
こんなことあまり言いたくないけど、へたをすると調査会社の人間でも、このあたりのことについて、正しく理解していない人間もいるかもしれないからな・・・。
これも説明を始めると長くなるから、今回は説明しないけど、一度自分で言葉を調べておいた方がいいかもしれないね。後で、きちんと説明するけど。
とりあえずは、この本(『マーケティング・リサーチの論理と技法』)あたりで勉強しておいた方がいいかもね。

Q子 少しでいいので、さわりだけでも。。。たとえば、どんなことですか?

owl そうだね・・・。
たとえば、君たちの名前、P夫くんとQ子さん。これも、なんの意味もなくつけたわけじゃないんだよね。

Q子 へ?

owl たとえば、提示したい案が3つあるとする。調査の現場では、呈示試料というんだけど、この3つの試料に名前をつけるときに、たいてい、P、Q、Rという記号を振り分けるんだ。なぜだと思う?

Q子 さあ・・・。

owl 最近、「県庁の星(→ CD)」って映画みたんだけど、この中でも象徴的な場面があったね。

Q子 織田裕二と柴崎こうのですか?けっこう、おもしろかったですよね^^

owl ある意味、マーケティングの勉強にもなるしね。「データでは、見えてこないことがいっぱいある」的なセリフがあったけど至言だよね。
で、この中で、お弁当つくりの競争の場面があるんだけど、AチームとBチームに分ける時に、県庁から研修に来ている織田裕二は最初Bチームといわれてむっとするんだ。
なんでだと思う?

P夫 そりゃ、AチームとBチームだったら、Aチームの方が正統派というか、いいチームという印象があるからじゃないですか?

owl そうだよね?どうしても、A、B、Cという記号には、すでに序列関係のイメージがついてしまっている。だから、CよりB、BよりAがいいと直感的に思ってしまうんだよ。
だから、調査のときの呈示試料についても、そのようなイメージを与える危険性を排除するために、P、Q、Rという記号をつけているんだ。
君たちの名前を、P夫くんとQ子さんにしたのも、調査屋のくせ^^;

Q子 なるほどねー。そんなところにまで、気をつかうんですね。

owl そう、この例は一部でしかないんだけど、とにかく調査の回答者に少しでも予断を与えたり、心理学的な見地からのバイアスがかからないように、いろいろと工夫をしているんだよ、調査の現場では。
そんなことを知らない人はいっぱいいるし、なんでこんなに準備に時間がかかるんだみたいなことを言う人もいっぱいいるけどさ(ブツブツ・・・)

Q子 はいはい^^;