マーケティング・メトリクス 価格:¥ 2,730(税込) 発売日:2010-01-13 |
以前、このblogで下記の本を紹介しました。
この本は、データを軸にする経営、ビジネス・インテリジェンスの重要さを説いたものでしたが、今回紹介する本書『マーケティング・メトリクス』は、もっと具体的に、どのようなデータを使うのか、ということに焦点をあてています。
ここで紹介されている指標は119本。網羅的で、基本的な指標が紹介されています。
また、「マーケティングの基本問題別に整理しながら、具体的な事例も交えて展望」(本書 p.ⅳ)されています。
では、どのような分類で整理がされているのかを、もくじで確認します。
序章 マーケティング・メトリクスがなぜ必要なのか
Ⅰ章 魅力的な対象市場を選ぶ
Ⅱ章 市場シェアを確保する
Ⅲ章 売上の収益性を高める
Ⅳ章 顧客創造で売上を積み上げる
Ⅴ章 バリュー顧客を狙う
Ⅵ章 ブランド化で競争力を持続させる
Ⅶ章 広告で市場普及を加速する
Ⅷ章 強い販路を構築する
Ⅸ章 営業力を強化する
終章 組織型ダッシュボードの構築に向けて
これらの基本問題別に、どういう視点で、どのようなデータを使い、どのように計算するのか、が整理されています。指標そのものを覚えることも、もちろん必要ですが、その指標の意味=計算式の意味もあわせて理解すべきです。さらに、具体的な指標についての理解だけでなく、マーケティング活動のポイントを理解することもできるでしょう。
ただ、「マーケティング・メトリクス」という言葉自体が、よくわからない方もいらっしゃるかもしれません。簡単に言ってしまえば、マーケターが意思決定を行う際に依拠する数的指標、とでもいえるでしょうか。
そして、このメトリクを理解するには、さらに終章のタイトルにもある「ダッシュボード」を理解すると、わかりやすいのかもしれません。そう、車のダッシュボードのメタファです。車を運転するときにダッシュボードでメーターを確認するのと同様に、経営においてもダッシュボードのデータを確認しながら、運営を行っていくことが必要だということです。
ここで、具体的な商品としての「マーケティング・ダッシュボード」をいくつか紹介しておきます。マーケティング・メトリクスに興味を持たれた方は、以下の資料もご覧いただくことで、よりマーケティング・メトリクスを理解できると思います。(いずれのリンクも、PDFが開きます)
マーケティングダッシュボード~マーケティング戦略の「見える化」
(野村総合研究所『知的資産創造』2006年5月号)
とはいえ、ここまできっちりしたものを構築しようとすると、それなりの費用がかかりそう。。。
すでに意思決定に際し、なんらかのデータを常にウオッチしている企業は少なくないと思いますが、さらに基本的な指標にはどのようなものがあるのか、マーケティング活動の基本的な流れを指標という視点で理解したい方は、本書を手にとってみるといいでしょう。
ただし個人的には、ここで紹介されている指標は、ほんとに基本的な指標であり、誰もが知っておいてよい(知っておくべき?)指標だという感じもしています。(そういう意味では、必読書になりますね)
そして、もっと大切なのは、「どの指標を重視するのか」であり、KPIの指標として使うとするなら、もっと独自性の高い指標を開発することも必要ではないかと思っています。この点については、ちょうど『日経情報ストラテジー』で特集されていたので、そちらを参考にしていただければと思います。
(ちなみに、まだ読んでませんが、3月号も関連がありそうです
→ 2010年3月号もくじ )
こちら ↓ を見ると、2月号の特集趣旨がわかると思いますので、あわせてどうぞ。
(似たようなことは、著書の田村先生も本書の中で、指摘されています)
※「KPI」って何?という方は、こちらへ → 情報マネジメント用語事典(by IT Media)