日別アーカイブ: 2012-09-21

『しくみづくりイノベーション』

しくみづくりイノベーション

しくみづくりイノベーション
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2012-09-14

本書は、電通コンサルティングによるもの。
タイトルよりも、「顧客を起点にビジネスをデザインする」というサブタイトルに惹かれて購入したのですが、読んでおくべき本だと思います。
(基本的な考え方のベースが私に似ているから・・・、というのが理由ですが。。笑)

本書で主張されているのは、MDBD=マーケティング・ドリブン・ビジネス・デザイン、つまり「最終顧客を理解することによってイノベーションを生み出し、市場投入を最適化するために事業体制を再構築し、高い業績を上げる手法(カバー折り返しより)」です。
そのための手法としてTPM(ターゲティング、ポジショニング、メイキング)があるとしています。

もくじは、こちら。

第1章 「ものづくり」から「しくみづくり」の時代へ
第2章 しくみの起点は顧客
第3章 ステップ1:ターゲティング-顧客を正しく理解する
第4章 ステップ2:ポジショニング-しくみのデザイン
第5章 ステップ3:メイキング-実践を通じて学習する
第6章 「しくみづくり」を可能にする組織
第7章 マーケティング発想で変えるビジネスのあり方

とくに、読んでほしいのは第3章です。
「顧客を正しく理解する」、すなわちリサーチについて書かれています。すでに、このblog他でも主張してきたこと、他の方が問題提起をされていることが、端的にまとめられています。いまのマーケティングリサーチの課題を、いまいちど再確認するのに良い内容です。
参考までに、この章の見出しを紹介すると、つぎのようになります。

・「需要の場」の発見と調査の限界
・思考を支えるアブダクション
・顧客との関係を構築する新たな技法
  (注:取り上げられているのは、ビッグデータとエスノグラフィです)

さらに1章と7章、そして「まえがき」も、なぜ顧客起点なのかという背景を理解するためには必須の内容だと思いますので、あわせて。

リサーチに携わるものとして、本書で必ず読んで欲しいのは上記の章(3章、そして1章と7章、はじめに)なのですが、これからのリサーチャーには、全体を通して読んでほしい内容でもあります。
もくじだけでは、わかりにくいですが、「TPM」は、つぎのような内容になっています(本書、pp.51-52)。

T:ターゲティング~顧客理解による需要創出可能箇所の特定
P:ポジショニング~需要充足価値創造のための事業の再構成
M:メイキング~ベータ版による学習の加速とその反映

つまり、Tだけではなく、PやMも顧客起点の考え方が反映されています。このあたりを理解できるようになると、「真の顧客起点とは何か」への理解が深まると思います。(もしかすると新しいリサーチテーマのヒントにもなるかもしれません)

そして、本書で何度か引用されている、2008年出版のこちらの本もあわせて読むといいかもしれません。(こちらを再読して気付いたのですが、つまるところ本書=『しくみづくりイノベーション』は、創発を具体的な方法論に落とし込んだもの、と言えそうですね)

創発するマーケティング 創発するマーケティング
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2008-03-14