インテージの2009年3月期決算が発表になっています。
2009年3月23日に、東証一部に指定替になってから初めての決算となります。
決算説明会資料および決算短信は、こちら↓からどうぞ。
(いつもは決算説明会のストリーミング映像もあるのですが・・・。後日確認して、アップされていたらページを更新しておきます。
【追記】→5/22に公表されています、ライブラリーからどうぞ。50分近くの映像です・・・)
数値を抜書きすると、下記のとおりです。
連結 売上 343億円(対前年+3.7%)
営業利益 33億円(対前年+0.2%)
経常利益 33億円(対前年+0.0%)単体 売上 266億円(対前年+ 1.8%)
営業利益 25億円(対前年+11.0%)
経常利益 25億円(対前年+ 6.3%)
連結・単体とも、売上、営業・経常利益いずれも対前年プラスは維持しています。
この経済環境を考えると、検討しているといえるのでは?
データで気になるのは、セグメント別での「市場調査・コンサルティング」の数字。全体では、
売上231億円・構成比67%・対前年比+6.0%
(営業利益29億円、対前年比+0.3%)
という数字です。さらに、カスタムリサーチとパネル調査にわけてみると、
カスタムリサーチ 売上 88.7億円・対前年比+0.0%
パネル調査 売上142.3億円・対前年比+10.1%
という結果に。
ほぼ独占のパネル調査は順調に売上を伸ばしましたが、カスタムリサーチはやや苦戦といったところでしょうか?
そこで、さらにカスタムリサーチを細分化すると、
従来型調査 売上47.5億円・対前年比+2.2%
インターネット調査 売上41.2億円・対前年比-2.2%
インターネット調査が苦戦のようです。
決算短信の中でも、「ここ数年にわたって成長の牽引役であったインターネット調査の伸び率が鈍化したこと、競争が激化して受注単価が下落傾向にあることから、増収減益となりました。」とコメントしています。
インターネット調査の減速が、単にいまの経済状況による要因が大きいのか、無条件で成長する時代が終わりに近づいたという構造的な要因なのかは、見極めが必要です。
(個人的には、構造的な要因が大きいように思っていますが。。。)
そして、2009年度の重点課題でも、「カスタムリサーチ分野の構造改革」が筆頭に上げられています。前提となる市場環境の認識については、他の調査会社・リサーチ会社にとっても同様であると思うので、引用しておきます。
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中長期の観点では、リサーチやデータに対するニーズは高まることがあっても、後退することはない。
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ただし、インターネットを基点とするパラダイムシフトが進み、その変化に対応できた企業のみが生き残ることができる。
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意思決定のための情報活用という観点からは、リサーチにとどまらず、周辺領域を含めた対応力の強化が成長のための必須条件。
(インテージ「2009年3月期決算説明会資料」P13)
この内容に同意できるかどうかは、皆さんご自身の判断で。。。(2つめなど、従来の調査会社に対しては、ある意味、挑戦的なフレーズであるとも取れますが・・・)
そしてこのような環境の中で、インテージがどのような方向性を考えているのかは資料をご覧ください。
さて、上場している同業2社はどのような状況か?
まだ年度末決算ではないですが、動向をピックアップしておきます。
まず、マクロミルから。
第3四半期決算(2009/5/15)や業績修正(2009/5/8)からみると、苦戦している模様。
このような中で、創業者の杉本氏が「代表取締役会長兼社長」へ復帰することで、意思決定の迅速化等を図る方向性を示しています。
続いて、クロスマーケティング。
こちらも、第1四半期決算説明会資料(2009/5/1)をみると、苦戦している模様。
とくに気になったのが、説明会資料P6~8のセグメント別情報。ここで、「大手調査会社」セグメントの売上が対前年比で▲32.1%。これは、どういうことか?・・・。(コメントは控えさせていただきますが・・・)
ただ、一方でクロスマーケティングは、さまざまな動きを同時にしています。たとえば、
コンベンショナルリサーチを中心に実施している会社を子会社化することで、インターネット調査以外の業務にも対応し、「総合的なマーケティングリサーチ会社」を目指すとしています。
以上、上場リサーチ会社3社の決算と動向を整理してきました。
第1四半期のGDP▲15.2%という状況は、当然リサーチ会社にも影響しているわけで、各社とも苦戦しているようです。ただし、他業界に比べると、まだ傷は浅いのかもしれませんね。(そして、この3社以外はどうか?むしろ、そちらの方が心配・・・)
インテージの環境認識にあったように、「生き残る」はどこか?
この時期の対応と、今後の戦略にかかっているのかもしれません。
PS.
過去の、インテージの決算関連のエントリーはこちら↓。