日別アーカイブ: 2008-06-25

『ネットリサーチ活用ハンドブック』

ネットリサーチ活用ハンドブック―ケースに学ぶマーケティング担当者必携本 (宣伝会議Business Books) ネットリサーチ活用ハンドブック―ケースに学ぶマーケティング担当者必携本 (宣伝会議Business Books)
価格:¥ 1,260(税込)
発売日:2008-06

ほんと、リサーチ関連の本が続々と出版されてますね。とくに、ここ1~2年での出版数はかなりのものになるのでは?(このblogで紹介していない本も、もちろんありますので、書店で眺めてみてください)
マーケティング・リサーチを取り巻く環境が大きく変わった、ネットリサーチの普及でリサーチユーザーが増えた、などさまざまな要因があると思いますが、とりあえずはリサーチ関連本の出版が賑わいを見せていることは喜ばしいことなのでしょう。。。
ただ、これだけ増えると内容もさまざま(取り上げている範囲、難易度、説明の深さなど)なので、この点は注意した方がいいかもしれませんね。実際に店頭で手にとって、内容を検討してから購入されることをお勧めします。

さて、今回紹介するのは、↓の本の改訂版といえる本(タイトルを変えていますので、改訂版という印象はないかもしれませんが)。
前回の出版から5年近く、すっかりネットリサーチも普及しています。「実践しましょう(≒使ってみましょう)」から、「活用しましょう」にタイトルが変わるのも、むべなるかな。。。

実践!!ネットリサーチ 実践!!ネットリサーチ
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2003-10-20

あ、前回同様、編集:宣伝会議、監修・編集協力:マクロミルですので。内容はネットリサーチに関する一般的なものともいえますが、マクロミルでしかできないこと&やっていないこともあると思いますし、逆に他社ではできるがマクロミルでは対応していないことは記載されていないかもしれませんので、この点は念頭に。

では、もくじの紹介を。

1.進化するネットリサーチ
2.ネットリサーチ活用の基礎
3.ネットリサーチ実践ワークフロー
4.事例に学ぶ!ネットリサーチ活用法

中でも参考になるのは、やはり「4」の事例でしょう。以下の12の事例が紹介されています。

1.商品開発(ダイキン工業)
2.トラッキング調査(キリンビール)
3.広告効果測定(ユニクロ)
4.日記式調査・写真調査(松下電工)
5.ブランドイメージ調査(ソニーマーケティング)
6.クラスター分析・ホームユーステスト(コンデナスト・ジャパン)
7.レアターゲット・施策に活かす(新潟県庁)
8.モバイルリサーチ(ダスキン)
9.海外調査(ヤマハ)
10.パブリシティ調査(バイエル薬品)
11.BtoB調査(ネクスウェイ)
12.社員意識調査・ES調査(インテリジェンス)

正直に言わせてもらうと、ところどころ、ちょっと気になる記述が無いわけではありません。
しかし、とくに事例をみると、ネットリサーチのくせや限界を理解した上での活用が行なわれているなという印象も、強く持ちました。
たとえば、キリンビールの方のつぎのコメントは、まさに。

「昨今はネット普及率の向上により、だいぶ解消されてきましたが、ネットリサーチは、今でも、居住エリアや年収、価値観などにネットユーザ特有の傾向が見られることがあります。このような特性を踏まえた上で結果を読むことが重要です。トラッキング調査では、前回調査と比較してどのような変化があるのかを見ます。数値が3%なのか5%なのかが重要なのではなく、時系列で相対的な変化を捉えることがポイントですね」

低コスト&スピードがネットリサーチの大きな強みであることはその通りなのですが、このあたりの意識を持って使っているかどうかで、結果が有益な情報になるかどうかの差が出てくるのではないかと思っています。
(これは、ネットリサーチに限ったことではないです。訪問調査だろうが、郵送調査だろうが、会場調査だろうが、あらゆる調査手法はメリットとデメリットを持っているわけですから、このあたりの理解は、リサーチデータを使う人には欠かせない知識だと思います。)

ふだんネットリサーチを利用している方も、今一度、ネットリサーチの限界と可能性を確認してみては?
(すでに十分に理解して活用している、という方には、入門的すぎると思いますが・・・)