日別アーカイブ: 2007-05-18

『サスティナブルカンパニーの条件~持続的成長企業「インテージ」の挑戦』

サスティナブル・カンパニーの条件―持続的成長企業「インテージ」の挑戦 サスティナブル・カンパニーの条件―持続的成長企業「インテージ」の挑戦
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2007-03

ほんと、リサーチ会社についての企業本が出るとは想像していませんでした。
(なので、気付いたのが少し遅くなって、今頃のエントリーになっているのですが。)

リサーチ業界を題材に企業本を書いた著者はどんな方だろうと思って略歴を見ると・・・。
なんだ、社会調査研究所(インテージが社名変更を行う前の社名です)の出身の方じゃないですか。現社長の田下氏とも、お歳が近いようですし。ある意味、納得です。
(なんか、インテージさんの広報blogのようになってますよね・・・。でも全然関係ないんです、インテージさんとは。けれど、リサーチ業界でインテージさんを見ておかないと意味ないですし、また上場して企業情報を公開しているのがインテージさんとマクロミルさんだけなので、どうしてもこの2社の情報が中心になってしまうんですよね。。。)

で、内容。
正直に言わせてもらうと、そんなに面白くなかったです。。。(もしかしたら、私がリサーチ業界にどっぷり浸かっているからかもしれませんが。)
一応、インテージをケースとして「サスティナブル・カンパニー」の要件を抽出するということなのですが、ほとんどの部分がインテージの紹介に終始している感じで。
「インテージ」という企業そのものに興味がある方は、一度、目を通しておくのもいいでしょう。ただ、この本でリサーチ業界について理解しようとは思わないでください、この本に書かれていることは、あくまでも「インテージ」のことなので。

いつものように、もくじは紹介しておきましょう。

プロローグ 絶えず変革を求める会社がさらに変わるとき
第1章    危機感なくして持続的成長はない
第2章    新たな人材の登用が変革を加速する
第3章    本社移転がさらなる進化の契機に
第4章    ナンバーワン企業が歩んできた道のり
第5章    変革のDNAを共有する仲間たち
第6章    なぜ、この会社は持続的成長ができるのか

この本の中で、へ~と思ったことは、つぎの2つでした。
「INTAGE」という社名が、Intelligence+Ageからの造語だということ。そして、ESOMAR(マーケティングリサーチの国際団体)の2005年の国際カンファレンスで次のような趣旨の発表がされているということ。(以下は、本書からの引用ですが、確かに以前JMRAのホームページで見たことを思い出しました。今でも、JMRAのホームページで元本の抄録を読むことができます)

こうした状況下、戦略・ITコンサルティングファームと戦うために、マーケティング・リサーチ会社がなすべきことが見えてきた。レポートではその内容を以下のように指摘する。

一 戦略・ITコンサルティング力のいずれか一方、または両方を備えること。
二 戦略・ITコンサルティングファームとのパートナーシップを結ぶこと。
三 マーケティングデータを価値ある情報へと変えるビジネススキルを身につける必要性があると認識している人間を雇い入れるか、または自社でそのような教育を施すこと。

マーケティング・リサーチ会社は、それぞれが特定の市場をますます重点的に取り扱うようになってきており、その中で幅広いサービスを提供しているというのが実情だ。特定分野での経験や集積される知識はとても重要なものとなる。なぜならば、クライアントはマーケティング・リサーチ会社にデータ分析にもとづくインサイトの提供を期待しているからだ。
これによりリサーチャーのスキルも見直しを要求される。ダイナミックに変化するビジネス環境にあって、マーケティングデータを超えたインサイトや、そればかりかビジネス上の解決策まで求めるようになっているのだ。リサーチャーは「これまで」なにが起こったかを報告するよりも、むしろクライアントが「その先」を見据えられるように手助けすべき存在とならなければならないのである。

(日本でも、クライアントが「インサイトの提供を期待」しているかどうかは別にして)
やはり、これからのリサーチ会社の方向性は、このような事であり、自分が感じていたことは間違いではなかったのだなと思いました(そして、コメントをくれた萬さんの考え方も、一緒でしたし)。
早くから「インテリジェンス・プロバイダー」を目指したインテージは、この視点からも、やはり日本のリサーチ会社では、特別な存在といえるのかもしれませんね。

(で、そのインテージの決算説明会の様子がWEB上で見ることができます。インテージのIRページからご覧ください。もしかしたら、この本よりおもしろいかも。リサーチ業界の今とこれからを知るにも、いいかもしれません。ただし、45分ありますので時間のあるときにどうぞ。。。)