日別アーカイブ: 2006年12月25日

『マーケティング・インタビュー』

マーケティング・インタビュー マーケティング・インタビュー
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2004-07-30

定性調査に関する本を、もう一冊。
梅沢氏の本は、グループインタビューについての最初=企画から、最後=分析・報告まで書かれていましたが、本書はもっと「聞き出す技術」に焦点をあてて書かれています。

グループインタビューにしても、一対一のインタビューにしても、企画・設計はできても、実際に対象者の本音を聞きだすことは、また別の技術がいることです。
著者も「はじめに」で、つぎのように書いています。

筆者はこのような調査のインタビュアー(専門的にはモデレーターと呼ばれる)として、この10年間で1万人以上にのぼる消費者・専門家の声に耳を傾けてきた。そうした経験から言えることだが、消費者の気持ちを「聞き出す」には工夫がいる。漠然と質問をぶつけているだけでは答えてくれない。インタビューの進め方、質問の投げかけ方、回答の受け止め方、そして人の意識を掘り下げる手法などを学び実践することで、聞きたかったことが「聞き出せる」ようになる。

本書では、この「聞き出す技術」について、事例を交えながら教えてくれます。
これからインタビューを行ってみたい方、これまで行ってきたけど、なかなかうまくいかないと感じている方、ぜひ本書を参考にしてください。きっと、「聞き出す技術」のヒントを得られると思います。
もくじを紹介します。

第1章 マーケティング・インタビューでわかること
第2章 言語以外の情報を読み取る
第3章 インタビュアーが守るべき3つの原則
第4章 インタビュー対象を選ぶ
第5章 「聞き出す」ための視点と枠組み
第6章 安心して話してもらうために
第7章 語りにくいイメージを探る方法

「聞く技術」は何も、グループインタビューやデプスインタビューなどの場面だけで必要になる技術ではありません。ちょっと気になることを、友人や知人、家族などに聞いてみるときにも役立つ技術(スキル)です。
また、私見ですが、インタビュアーは本来、テーマや課題を持っている人が、直接、対象者に問いかけるのが一番だとも思っています。なにも、調査会社に任せることはない、と感じています。
ぜひ、本書で「聞く技術」について理解をして、ご自身でインタビュー(などと構えずに、聞いてみる、でもいいです)を行うことが、皆さんのビジネスに大きな成果をもたらすと思います。

なお、このblogでも、これまで「インサイト」に関する本をいくつか紹介しています。
こちらの本も、あわせて読んでいただくと、よりよいと思いますので、こちらもご参考ください。

「リクルート創刊男の大ヒット発想術」
「アカウントプランニングが広告を変える」
「インサイト」「図解でわかるインサイトマーケティング」

『グループ・ダイナミック・インタビュー』

グループダイナミックインタビュー―消費者の心を知りマーケティングを成功させる秘訣 グループダイナミックインタビュー―消費者の心を知りマーケティングを成功させる秘訣
価格:¥ 2,625(税込)
発売日:2005-04

マーケティング・リサーチに関する本をいくつか紹介しましたが、これらの本で、なかなか理解できないのが、定性調査の技法です。
そこで、グループインタビューを理解するために参考になる本を、いくつか紹介しておきます。

最初は、グループ・インタビューの代表的な実践者のひとり、梅澤氏が代表執筆をされた本です。梅澤氏は、これまでにも何冊か、グループインタビューに関する本を出版されており、ずいぶん参考にさせていただきました。
(→代表的な本は、こちらです。

実践グループインタビュー入門―消費者心理がよくわかる ステップ別・原則・留意点・チェックリスト
価格:¥ 2,039(税込)
発売日:1993-06  )

これまでの本は、調査会社の実務者向けに書かれていましたが、本書は「発注者」を意識して書かれているようです。「はしがき」で、つぎのように述べています。

この本は前著と比べると、発注企業のマーケターやリサーチャー、および開発担当者や経営者を強く意識してまとめられています。それは、発注者企業の方々に深く理解していただくことが、マーケティングを成功に導く調査にとって非常に重要な要因であると考えるからです。

このblogでも、以前書かせていただきましたが(→こちら)、調査、リサーチは調査会社に任せておけばいいというものではなく、発注者側にも積極的に関わりをもっていただき、様々な情報を提供していただいたり、一緒に議論させていただかないと、真に役立つ結果を得ることはできません。
このような視点を、正面きって述べていることに敬意を表しますし、またこのような視点でリサーチに関する本を出すことは、とても大切なことだと思います。
なので、調査会社でグループインタビューを担当する方はもとより、グループインタビューを発注することのある方にも、ぜひ目を通していただきたい本です。

内容は、これまで長年にわたりグループインタビューを実施してきた著者だからこそ書ける、具体的で、体系付けられた内容になっています。
もくじを紹介します。

第1章 GDI成功の前提
第2章 GDIの企画
第3章 リクルート作業の重要性と行い方
第4章 GDIの司会
第5章 GDIの分析・報告書
第6章 GDIをスムーズに進行させるための業務
補章  GDIを支える梅澤マーケティング理論

ちなみに、本書の「補章」で書かれていることを、もっと詳しく知りたいと思った方は、こちらの本をあわせてどうぞ。
著者がこれまで、長年のグループインタビューの現場から得た消費者心理の知見を整理しています。

消費者心理のわかる本―マーケティングの成功原則55 消費者心理のわかる本―マーケティングの成功原則55
価格:¥ 2,100(税込)
発売日:2006-09

『レバレッジ・リーディング』

レバレッジ・リーディング レバレッジ・リーディング
価格:¥ 1,523(税込)
発売日:2006-12-01

今回は、リサーチを離れた本の紹介です。
以前、どこかで「乱読のすすめ」を書いたと思いますが、このことをうまく整理してくれている本が出ています。
副題に、「100倍の利益を稼ぎ出すビジネス書「多読」のすすめ」とあります。

著者は、本を読むことについて、つぎのように書いています。
(ただし、ここでいう「本」は、ビジネス書のことです)

ビジネス書には世界的な経営者や、さまざまなビジネスで成功した人のノウハウが詰まっています。熊谷さんのお父さんの言われるとおり、汗水たらし、血のにじむような努力をした人の数十年分の試行錯誤の軌跡が、ほんの数時間で理解できるよう、本の中には情報が整理されているのです。

実際のビジネスがスポーツ選手にとっての試合だとしたら、ビジネスパーソンが本を読むことは、スポーツ選手にとっての練習にあたります。つまり、本を読まないビジネスパーソンは、練習しないでいきなり試合に臨むスポーツ選手のようなものです。(・・・中略・・・)練習すればするほど上達するように、読めば読むほど、実践に使えるベースが貯まっていきます。この累積効果により、レベルアップして仕事ができるようになります。だからこそ、たくさんの本を読むことが必要なのです。

そして、誤解しないでほしいのは、たくさんの本を読み、いろいろな人の意見を参考にするからといって、決して他人の意見を鵜呑みにするわけではないということです。むしろ、一人の人間の言うことだけに耳を傾けても丸ごと信じてしまわないためにも、なるべくたくさんの本を読むのです。

いかがでしょう?
なるほどと思う方は、この本を読んでみてください。この本には、つぎのような内容が書かれています(カバー袖からの引用です)。

・速読とは違う多読のメリットとは?
・膨大な書籍から、良書を選び出すには?
・一日一冊を読みこなす効率的な本の読み方とは?
・読書のための環境と時間はいかにして作り出すか?
・読んだままで終わらせないための工夫とは?
・本のエッセンスを実践に結び付けるには?

人が、実際に経験できることなんて、たかが知れています。とくに、リサーチャーは、クライアントの仕事について実際に経験できることなど、ほとんどありません。
しかし、クライアントがどんな仕事をしているのか、その業界での現在の課題は何なのか、もっと広く今の世の中で焦点となっているテーマは何なのか。このようなことについては、常に意識していることが重要です。
そのために、本ばかりでなく、新聞や雑誌を読むことも必要ですし、テレビを見ることも、とても大切なことになると思います。

ただ、最後の方で著者も言っているように、知識だけで十分ということではない、ということも心に留めておいてください。稲盛和夫氏のつぎの言葉を、引用しています。

「知識に経験が加わってはじめて、物事は『できる』ようになるのです。それまでは単に『知っている』にすぎない。情報社会となり、知識偏重の時代となって、『知っていればできる』と思う人も増えてきたようですが、それは大きな間違いです。『できる』と『知っている』との間には、深くて大きな溝がある。それを埋めてくれるのが、現場での経験なのです」