日別アーカイブ: 2006年12月19日

『鈴木敏文の「統計心理学」』

鈴木敏文の「統計心理学」―「仮説」と「検証」で顧客のこころを掴む 鈴木敏文の「統計心理学」―「仮説」と「検証」で顧客のこころを掴む
価格:¥ 700(税込)
発売日:2006-03

『ビジネスマンのための統計心理学』の中でも、紹介されている本です。
リサーチャーにとっては必読の本だと思います。

鈴木敏文の考え方やモノの見方は、過去に様々な本や雑誌で紹介されていますが、この本では「発想の視点、顧客心理の掴み方、統計術」という3つのテーマについて、55の金言と著者のキーワード化によってわかりやすく整理されています。

たとえば、発想の視点としてつぎの5つが紹介されています。

・変化の流れを時間軸で捉えると、今の時代の動きがわかる
・時間軸を輪切りにすると、本当のようなウソがみえてくる
・時間軸で未来に目を向けると、今の時代の顧客心理が読める
・脱経験的思考-過去の「常識」は今の「非常識」
・陰陽両面的志向-買い手の「合理」は売り手の「非合理」

とくに、リサーチャーが読むべきは第3章です。漫然とデータをみて、解釈することへの戒めが述べられており、肝に銘じておきたい内容です。
6つのポイントで整理されています。

・売り手から買い手へ、視点を変えると別のデータが見える
・統計データは鵜呑みにするな、その背景や中身を突き詰めろ
・同じデータ、情報でも「分母」を変えると意味が逆転する
・なぜ、モノが売れないのか、心理抜きには統計は読み切れない
・仮説・検証で初めてデータが生きる、WHYとWHATの問題意識を常に持つ
・自分の都合のよいように、数字のつじつま合わせをするな

鈴木氏の話はいまではあまり耳にしなくなりましたし、CVSのビジネスについては一個人として思うところもあるのですが、それは置いておいても、やはりデータを読む視点、スタンスには学ぶべきことが多い本です。

『ビジネスマンのための心理学入門』

ビジネスマンのための心理学入門 ビジネスマンのための心理学入門
価格:¥ 730(税込)
発売日:2004-09

マーケティングやリサーチを行っていく上で、心理学の知識はとても重要です。
ほんと?、と思っている人には、まず、この本からどうぞ。
著者は、様々な著作を出している精神科医の和田先生で、ビジネスの場面で心理学がどのように役立つのかについて書かれている「心理学入門」です。

この本は、大きく3つのテーマで書かれています。

  • 職場の心理学の視点
  • マーケティングで使う心理学の視点
  • そして、心理学を学ぶにはどうするのか

なので、マーケティングやリサーチに役立つ視点での記述は、全体の1/3程度です。
もくじを引用すると、こんな感じです。

序章  サイコロジカルビジネスとは何か?
第一章 心理学を学ぶと世の中が正確に見えてくる
第二章 心理学を使って相手をコントロールする
第三章 心理学をどこで学べば良いのか
第四章 たった6作で学べる「ビジネス心理学理論」
第五章 ビジネスの場面での仮説の立て方
第六章 日本の未来はどうなるのか
終章  世界中でサイコロジカルビジネスが必要になる

「ビジネスと心理学ってどう結びついているの?」「心理学って、ビジネスに本当に役立つの?」と思っている方には、参考になる本だと思います。
また、マーケティングやリサーチ以外でも、職場でのマネジメントに悩んでいる方にもヒントとなることがあると思います。

著者もあとがきで、つぎのように書いています。

患者にしろ、心理ビジネスのクライアントにしろ目の前にいる人を助け、成功に導くためには、なるべく多くの処方を用意しておいたほうがいい、それだけの話である。
だから、本書の内容も少なくとも知っていることが邪魔になるとは思えない。たった一つでも二つでも使えそうだと思えるものがあれば、それだけでも頭に残してもらい、使う機会があれば、本の値段と、それを読むのにかけた時間のもとくらいは取れるだろうし、ひとつのアイデアで押したものと比べるとリスクは少ないはずだ。

同意です。
リサーチを究めようとするなら、様々な視点での知識が必要になります。
そのためにも、乱読は必要だと思っています。
とくに、いまは新書がつぎつぎに出版される、幸せな時代です。
(書籍の紹介なのか、乱読のすすめなのか、わからなくなってしまいましたが・・・)

これまでビジネスを行う上で心理学についてあまり考えたことがなかった人、本書をきっかけとして、心理学にも興味をもってもらえると、仕事の幅も広がると思います。

intermission

「寺子屋」お待ちの皆様(いるんでしょうか・・・?)、次の展開に向けてしばらく幕間とさせていただきます。
次回からは、リサーチの具体的なことについてやっていこうと思うのですが、どのような内容にしようかと思案中です。。。

構成は、どうしようか・・・。
教科書的にしても、つまらないし・・・。
とはいえ、ばらばらにやっても理解しずらくなるか・・・。

内容はどうしようか・・・。
これだけ、調査環境が変わっているのに、教科書的にやってもしかたがないな・・・。
でも、原理原則を知らずに応用だけやっても、確かな理解にならないし・・・。

事例、エピソード・・・。
どこまで踏み込もうか・・・。
創作で、どこまで真実味が出せるか・・・。

などなどと、考えております。
年明けから新シリーズとしてはじめようと思いますが、「こんな内容を期待している!」「こんなことが知りたい!」というようなことがありましたら、どんどんコメントください。
参考とさせていただきます。

それまでは、本紹介をメインに進めていきます。
⇒「マーケティング・リサーチの寺子屋~出張書店」で紹介している本を中心に)

寺子屋にあわせて紹介しようかと思っていたのですが、それではいつのことになるやら・・・、なので、ベーシックなものから、そうでないものまで、マーケティング・リサーチや市場調査に参考になると思われるものを、どんどん出していこうと思っています。
あらかじめ、こちらで興味があるものを読んでおいてもらった方が、blogの内容もより理解しやすくなると思いますし。。。
(年末年始の休みにも入りますし・・・)

話はかわりますが・・・
今日の「カンブリア宮殿(テレビ東京)」は、医師の鎌田實さんでした。
以前から個人的に思っていたことに、リサーチャーはお医者さんと同じ気持ち、姿勢が必要ではないか、ということがあります。
相手が、人間か、企業や組織か、という違いはありますが、どこに問題があるのかを適切に判断できることが必要ではないかと。そして、問題や課題を適切に伝え、クライアント(患者さん)のよくなりたいという気持ちに応え、よくなるための行動を手助けすることが大切なのではないかと。
ただ、お医者さんは自分で処方や施術を行うことができますが、リサーチャーはこれらのことを自分で行うことはできません。これは、大きな違いですが。

今日の鎌田さんの発言で、強く同意したことはつぎのことです。
カンブリア宮殿のHPより引用させていただきました)

「医学は生物学とは違い、人間科学である。人間の疾病を部品の故障というようなデカルト的なとらえ方をせず、対象の個別性やその人が生きてきた歴史に配慮し、それぞれの『生きている意味』を尊重して、治療していくべきではないだろうか」
「ぼくら医療者はつい、肺炎という疾患だけをとり出して、入院が必要という常識を振りかざしてしまう。彼は自分の命全体を見つめながら、多様なファクターを多重に分析し、入院が必要かどうか考えていた。ぼくら医療者はこの患者のわがままをもっと大切にしなければいけない」

よく、西洋医学と東洋医学の違いなどと議論されることですが、患部にだけ注目し要素還元主義的な治療を行うのか、人体を小宇宙とみたててホリスティックな立場で治療を行うのか。。。
医療にかかわらず、哲学でも西洋と東洋の違いとしていわれていることですよね。
(たぶん・・・です。医学も哲学も専門ではないので、間違いがありましたらご指摘ください)

で、リサーチ。
ひとつのデータや、特定の事象にとらわれ、木を見て森を見ずになってしまうことがあります。また、クライアントの背景や周辺情報、これまでの過程や結果を見ずに分析を行い、ピントはずれの結論を導きだすこともあります。
いずれも、戒めたいことです。
クライアントにとってのリサーチャーは、かかりつけのお医者さんのように、そのクライアント全体を視野に入れ、過去のリサーチ結果もふまえながら、仕事をしていくべきだと思っていますし、そうありたいと思っています。
(リサーチャーとお医者さんを一緒にするのは、失礼かもしれませんが・・・)

なので、「コトー先生」や「医龍」や「救命病棟24時」や「白い巨塔」や・・・、
医療関係のドラマを見るのが好きなowlなのでした・・・。