日別アーカイブ: 2006-11-22

「マーケティング・リサーチの理論と実践~理論編」

マーケティング・リサーチの理論と実践 理論編 マーケティング・リサーチの理論と実践 理論編
価格:¥ 9,450(税込)
発売日:2006-11

このところ、マーケティング・リサーチ関連の新刊が相次いでいます。
他にも紹介したい本はあるのですが、取り急ぎ日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)肝いりのこの本を。

アメリカで2年前くらいに出版されたものを、JMRAが主導して翻訳した本のようです。
(「ようです」と書いたのは、立ち読みした記憶に頼っているからです・・・。なにせ、お高い本ですので、まだ購入していません。。。)
内容は、マーケティング・リサーチに関して、網羅的に、かつ詳細に記述されています。
今回は、「理論編」として、原書の前半部分である理論的なパートが出版されました。
ちなみに、後半部分は実査と解析系が取り上げられるようです。

参考までに、もくじを引用しておきます。

第1章 マーケティング・リサーチ序論
第2章 マーケティング・リサーチ課題定義とアプローチの展開
第3章 調査設計
第4章 探索的リサーチの設計:二次データ
第5章 探索的リサーチの設計:定性調査
第6章 記述的リサーチの設計:質問法と観察法
第7章 因果的リサーチの設計:実験法
第8章 測定と尺度化:基本原理と相対尺度
第9章 測定と尺度化:絶対尺度
第10章 調査票と観察フォームの設定
第11章 標本抽出:設計と実行手順
第12章 標本抽出:標本サイズの決定(?)

事例がアメリカのものなので、多少理解しにくいところはあるかもしれませんが、「日本では」というようなコラムを差し込むなどの工夫もしているようです。

JMRAが、なぜここまで投資をしたのか?(あまり投資をしてこなかったので、これまで)
「はじめに」で監訳の小林氏は、つぎのように書いています(記憶ですので、正確なニュアンスはお伝えできませんが)。
海外に比べ日本でのマーケティング・リサーチ市場規模が小さいのは、日本でマーケティング・リサーチャーが育つ環境になかったからではないかという危機感がある、と。
海外では、大学や大学院の授業でマーケティング・リサーチの講座があり、イギリスでは資格制度まであるようです。

まったく、同感です。このブログの「業界の歴史」でも見てきたように、このような業界環境、背景により、日本では真のマーケティング・リサーチャーが育ちにくく、多くの調査会社やリサーチャーが情報の中間流通業者的な働き、位置づけしかとれなくなっているという側面があると思います。マーケティング・リサーチの理論と技術を学ぶには、かなりの部分を自助努力で補わなければなりませんでしたから。
日本において、真のリサーチャーを育て、調査会社のポジションを上げていくことは、マーケティング・リサーチの市場を拡大していく上で、必須でしょう。マーケティング・リサーチ市場が拡大するということは、イコール、より消費者サイドにたった企業活動、科学的な意思決定に基づく成功確率の高い企業活動を拡大するということにつながります。そしてそれは、最終消費者であるお客様にとっても、選択・購買の効率を高め、より自分の生活を高める商品やサービスを手に入れる機会が多くなることを意味します。

少々、私的な想いの部分が長くなりましたが、現役リサーチャー、これからリサーチャーを目指す人にとっては、この本は基礎を固める上で有用だと思います。
ただ・・・。
いかんせん、価格が高いです。。。
(価格が高いのも、マーケティング・リサーチというテーマに対する需要が少ないからです・・・。多くの人に買ってもらえるのであれば安くできるのでしょうが、見込める販売量が少ないので。難しいですね。。。)
なので、会社経費で購入してもらうとか、大学の図書館に入れてもらうなどしながら、入手してください。お金の余裕のある方は、もちろん自腹で。

そういえば、JMRA会員の方は、1000円引きで購入できるようです。
詳細は、こちら(→JMRAのホームページ)

(他にも、紹介したい本があるのですが、今日はとりあえずこの1冊で・・・)